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No.8268 (Re:8084) 【国土交通省】東急の運賃上限変更の認可申請事案に関する答申
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2022-04-06 00:19:20
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                          Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                              令和4年4月 5日
                          総合政策局運輸審議会審理室

     「東急電鉄株式会社からの鉄道及び軌道の旅客運賃の
       上限変更の認可申請事案」に関する答申について


 令和4年1月12日付で国土交通大臣から運輸審議会に対し諮問がありました標記事案について、審議の結果、認可することが適当であるとの結論に達し、本日、国土交通大臣に対して答申しました(答申結果は別添のとおりです)。


 運輸審議会は国家行政組織法第8条に基づく審議会で、個別法の規定に基づき、国土交通大臣の行う許認可等の個々の行政処分等の適否について諮問を受け、これに対して、公平な立場から各方面の意見を汲み上げ、公平かつ合理的な決定を行う常設の機関です。
当該事案については今後、国土交通大臣が運輸審議会の答申内容等を踏まえて処分を行う見込みです。

 審議における配付資料及び議事概要は以下のURLで公表しています。 
 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/unyu00_sg_000021.html 




                              国 運 審 第2号
                              令和4年4月5日

国土交通大臣 斉藤 鉄夫 殿
                      運輸審議会会長 牧 満

              答  申  書

       東急電鉄株式会社からの鉄道及び軌道の旅客運賃の
           上限変更の認可申請について

                              令4第4001号

 令和4年1月12日付け国鉄事第502号をもって諮問された上記の事案については、令和4年3月1日東京都において公聴会を開催し、審議した結果、次のとおり答申する。

               主   文

 東急電鉄株式会社からの申請に係る鉄道及び軌道事業の旅客運賃の変更については、別紙に掲げる額を上限として認可することが適当である。

               理   由

1.申請者は、平成17年3月20日から、消費税に係る運賃改定を除き17年余にわたり、現行運賃を実施しているものである。近年、乗降客数は堅調に推移してきたものの、令和2年当初からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発出等により、外出自粛や通勤客のテレワークへの移行等の行動様式の変容がみられ、乗降客数は大きく落ち込んだ。令和元年度の収支率は102.4%であったところ、令和2年度には78.6%に下落し、収益の悪化が著しい。行動様式の変容が一定程度定着し、需要の回復が見通せない一方、安全の確保に必要な設備投資は引き続き実施する必要があり、旅客運賃を改定して鉄軌道事業の安全な輸送と健全な経営を維持したいとして、旅客運賃の上限変更認可を申請したものである。

2.国土交通大臣は、鉄道運送事業者及び軌道経営者からの旅客運賃の上限の変更の認可にあたっては、鉄道事業法第16条第2項、軌道法第11条第1項及び関係通達に基づき、当該旅客運賃の上限による総収入が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであることを確認の上、鉄道事業法第16条第1項及び軌道法第11条第1項の認可をするものとされている。

3.当審議会は、本事案の審議にあたり、公聴会を開催し申請者の陳述及び一般公述人の公述を聴取したほか、現地視察、通勤定期旅客運賃の上限額を含む当審議会に提出された資料、所管局から聴取した説明等に基づいて検討を行った。その結果は、次のとおりである。
 平年度(原価計算期間)である令和5年度から令和7年度までの3年間の収入算定の基礎となる現行運賃を維持した場合の総収入は合計423,627百万円、適正な総括原価(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの)は468,535百万円と推定されるので、差引き44,907百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
 これに対して、旅客運賃の上限を主文のとおり改定した場合、総収入は466,803百万円、適正な総括原価は468,535百万円と推定されるので、差引き1,731百万円の不足を生ずるものと見込まれる。

4.令和2年当初からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大を起因とする消費者の行動様式の変容により、コロナ禍前の需要への回復は見通せないとする申請者の需要見通しは、沿線利用者を対象としたアンケート調査(令和2年12月)、内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の動向(令和2年12月と令和3年11月調査の比較)等を踏まえており、かつ所管局が別途実施した外部委託調査結果の想定範囲内にあることを勘案すると、合理性が認められる。他方、安全・安心投資を主体とした設備投資の継続を前提とする原価を推定した結果、本件申請に係る旅客運賃の上限による総収入が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるので、本件申請は上記2.の認可基準に適合するものと認められる。したがって、鉄道事業法第16条第1項及び軌道法第11条第1項に基づき、国土交通大臣が本件申請を認可することは適当であると認める。

                 要望事項

 新型コロナウイルス感染症の影響は先行き不透明な状況が続いており、東急電鉄株式会社の鉄軌道事業における需要見通しは一定の合理性が認められるものの、想定された旅客輸送量と実績が大きく乖離する可能性がある。このため、国土交通大臣は、本件申請の認可にあたり、鉄道事業法第54条第1項及び第2項の趣旨に基づき、期限に係る条件を付すことを検討されたい。
 また、付された期限までの間の東急電鉄株式会社の経営実績について、実績が想定された収支率となっているかの検証結果並びに事業構造変革及び輸送需要創出への取組状況について、毎年、当審議会に報告されたい。
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