NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.6600 【JR西】踏切事故防止キャンペーンで前進脱出を啓発
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-10-29 22:06:23
 JR西日本    NEWS RELEASE


       踏切事故防止キャンペーンを実施します

                          2020年10月28日
                          西日本旅客鉄道株式会社

 当社は、「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」において、到達目標の一つに踏切障害事故のさらなる減少を掲げ、さまざまな踏切の安全を確保するためさまざまな取り組みを進めています。

 これまでに、踏切障害事故の約半数を60歳以上のドライバーが占めていることが分かっていましたが、このたび、安全研究所の研究により、高齢ドライバーが踏切に閉じ込められた際の行動の傾向が明らかになりました。

 これを踏まえ、11月上旬に実施する「踏切事故防止キャンペーン」において、踏切に閉じ込められた際に取っていただきたい行動と、車や人などが踏切に閉じ込められた場面に遭遇した際に取っていただきたい行動を啓発する取り組みを実施します。

1.安全研究所での研究内容
 別紙参照

2.踏切事故防止キャンペーン概要
(1)踏切における啓発活動
 踏切をご通行される一般のお客様を対象に、リーフレットとノベルティを配布します。

 日時:2020年11月5日(木)8:00〜9:00
 場所:阪和線東貝塚−和泉橋本駅間 東貝塚南一踏切
      <所在地>大阪府貝塚市半田108−1

(2)駅・車内における啓発映像の放映
 キャンペーン期間中、踏切に立ち入る人や車を見かけた場合は踏切非常ボタンを押すことを慫慂する啓発映像を、駅・車内のディスプレイで放映します。

(3)高齢者ドライバーを対象とした啓発活動
 門真免許センターにご協力をいただき、11月2日(月)〜10日(火)の期間に一般講習・高齢者講習を受講される高齢ドライバーを対象に、リーフレットとノベルティを配布します。



参 考

 高齢ドライバーの踏切障害事故防止に向けた聞き取り調査の結果について

1.調査の目的
 過去5年間に当社管内で発生した踏切内で列車と自動車が衝突する事故について、ドライバーの年齢を年代別に集計すると、約半数が60歳以上の高齢ドライバーであった。しかし、当該ドライバーが踏切内に閉じ込められた後にどのような行動をとったのかを詳細に把握することは難しいため、高齢ドライバーの踏切事故防止に対し効果的な対策の検討に向けて、高齢ドライバーが踏切内に閉じ込められた後の行動を明らかにする目的で聞き取り調査を行った。

2.調査概要
 今回は大阪府警察様にご協力いただき、門真運転免許試験場で免許更新に伴う認知機能検査を受検した75歳以上の高齢ドライバー約60名(以下、「A群」とする。)を調査協力者として、30分程度の聞き取り調査を行い(図1)、「自動車運転中に踏切内に閉じ込められてしまう」という想定のCG映像を調査協力者に視聴してもらいながら質問に回答してもらう調査を行った(図2)。
 質問は、「踏切内に閉じ込められてしまった場合に自身はどのように対処しますか?」「踏切内に閉じ込められた際の正しい対処法を知っているか」等の内容で、高齢ドライバーがどのような行動をとるのかを聞き取った。また、今回は年齢層による比較を行うために40〜65歳の若年ドライバー約80名(以下、「B群」とする。)にも同様の調査を行った。

3.調査結果
 自動車運転中に踏切内に閉じ込められた場合、当社では「そのまま前進して自動車で遮断桿を押し上げて脱出する」ことを推奨行動としている。

@踏切内に閉じ込められた後の行動について
 調査協力者の踏切内に閉じ込められた後の一連の行動を「非常ボタンを押す」「踏切外まで移動する」のように、ひと行動単位に分解したうえで、全体的な傾向をつかむためにどの時点で推奨行動の回答があったかに着目し分析を行った。その結果、A群はB群に比べ、閉じ込められた後の最初の行動で推奨行動を回答する人の割合が低く、最後まで推奨行動の回答がない人の割合が高かった(図3)。

 次に、最初の行動で推奨行動の回答がなかった人がどのように回答したのかを把握するために、踏切内に閉じ込められた後の最初の行動に着目し、類似している行動を分類したうえで分析を行った結果、A群はB群に比べ、推奨行動である前進して車ごと脱出すると回答した人の割合が低く、可能ならバックする(後ろの遮断桿が降りていないならバックする、後ろが詰まっていないならバックする等)と回答した人の割合が高かった(図4)。
 さらに、最後まで推奨行動の回答がなかった人に着目し、行動理由について分析を行った結果、「列車との衝突を避けるため自分の身を守る人」「遮断桿を折ってはいけない」「遮断桿があることでそれ以上進めないと感じていた」と回答していた人がいることが分かった。
 これらのことから、高齢ドライバーは踏切内に閉じ込められた後の最初の行動として推奨行動ではなく、バックすることを思いつく傾向があることが分かった。また、最後まで推奨行動の回答がない人の中には、遮断桿の存在そのものが推奨行動の妨げとなっている人がいることが分かった。

A推奨行動を知っていたかどうかについて
 調査協力者に推奨行動を知っていたかについて質問した結果、A群はB群に比べ、推奨行動を知っている人の割合が低かった(図5)。現在でも啓発活動を行っているものの、B群でも知っていた人の割合は約4割程度に留まっているため、まだ啓発が十分ではないと考えられる。
 次に、推奨行動を知っていたと回答した人にどのようにして知ったかについて質問した結果、B群では「テレビで知った」「教習所等で教わった」「啓発活動で知った」と回答した人が多かった。A群では、そもそも知っていた人が少なかったことと、情報源が分散していたため、特定の媒体であると言い切れないが、過去に職場の教育・研修で推奨行動を教えてもらっていた若干名については早く的確な回答ができていた。
 これらのことから、高齢ドライバーに対しては様々な媒体での啓発と併せて、集合教育のような形式で丁寧に啓発を行うことがより効果的と考えられる。

B行動と知識の関係について
 ここまでの@とAの結果から、踏切内に閉じ込められた後の行動と推奨行動を知っていたかの関係について分析を行った結果、推奨行動を知っていた人のうち、最初の行動で推奨行動を回答した人の年齢層に大きな差はみられなかった。つまり、推奨行動を知っていた高齢ドライバーは若年ドライバーと同程度の割合で最初の行動として推奨行動を回答しており、高齢ドライバーへの推奨行動の啓発を強化し知名度の底上げを図ることで、踏切事故の防止につながる可能性があると考えられる。

4.まとめ
 今回の聞き取り調査では、高齢ドライバーは若年ドライバーに比べ、踏切内に閉じ込められた後の最初の行動として推奨行動を回答する人の割合が低く、バックすることを思いつく傾向にあることが分かり、推奨行動を知っている人の割合も低く、まだまだ啓発が十分でないことが分かった。
 一方で、年齢層に関わらず最初の行動として推奨行動を回答した人のほとんどが、推奨行動を知ったうえで回答しており、推奨行動を啓発していくことの重要性を改めて認識することができました。さらに、高齢ドライバーへは、集合教育のような形式で丁寧に啓発を行うことがより効果的である可能性があるという、今後の啓発活動の方針に対する知見も得られた。
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