NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.3646 (Re:3644) 【国土交通省】(別添2)監督命令書
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2018-07-28 17:56:04
                           国鉄事第111号
                         平成30年7月27日

北海道旅客鉄道株式会社
代表取締役社長 島田 修 殿
                             国土交通大臣
                              石井 啓一

     事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令

 貴社は、地域の人口減少や他の交通手段の発達に伴い、厳しい経営環境に置かれている。こうした厳しい経営環境の下で、貴社は、平成28年11月に、単独では維持することが困難な線区を公表し、これまで地域の関係者との協議を続けてきた。これを受けて、国土交通省においては、貴社の事業範囲の見直しや経営自立に向けた方策について、関係者とともに検討を行ってきたところである。
 貴社は、国鉄改革の趣旨に則り、徹底した経営努力によって収支を改善して、経営自立を図る必要がある。その上で、関係者による相互の連携及び協力の下で、将来にわたって持続可能な交通体系を構築するとともに、他の輸送機関とも適切に役割を分担して、必要な輸送力の確保に努め、地域において求められる輸送サービスの提供を的確に行っていく必要がある。
 これらを踏まえ、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律第13条第2項の規定に基づき、別添「JR北海道の経営改善について」の1.に掲げる取組を着実に進めるよう命令する。
 この処分に不服があるときは、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、国土交通大臣に対し行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づく審査請求をすることができる。
 また、この処分について訴訟により取消しを求めるときは、処分があったことを知った日から6月以内に、国を被告として行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)に基づく処分の取消しの訴えを提起することができる。


                                  別添
                          平成30年7月27日
                          国 土 交 通 省

          JR北海道の経営改善について

 JR北海道は、地域の人口減少や他の交通手段の発達に伴い、厳しい経営環境に置かれている。こうした厳しい経営環境の下で、JR北海道は、平成28年11月に、単独では維持することが困難な線区を公表し、これまで地域の関係者との協議を続けてきた。これを受けて、国土交通省においては、JR北海道の事業範囲の見直しや経営自立に向けた方策について、関係者とともに検討を行ってきたところである。
 JR北海道は、国鉄改革の趣旨に則り、徹底した経営努力によって収支を改善して、経営自立を図る必要がある。その上で、関係者による相互の連携及び協力の下で、将来にわたって持続可能な交通体系を構築するとともに、他の輸送機関とも適切に役割を分担して、必要な輸送力の確保に努め、地域において求められる輸送サービスの提供を的確に行っていく必要がある。
 これらを踏まえ、JR会社法に基づき、JR北海道に対して、経営改善に向けた取組を着実に進めることを命ずることとする。

1.JR北海道の経営改善に向けた取組
 北海道新幹線の札幌延伸の効果が発現する平成43年度に、JR北海道が経営自立することを目指す。この目標の達成に向けて、JR北海道は、次の事項をはじめとする収益の増加とコストの削減に取り組み、徹底した経営努力を行うものとする。

●札幌市圏内における非鉄道部門も含めた収益の最大化
●新千歳空港アクセスの競争力の一層の強化
●インバウンド観光客を取り込む観光列車の充実
●北海道新幹線の札幌延伸に向けた対応
●JR貨物との連携による貨物列車走行線区における旅客列車の利便性の一層の向上及びコスト削減
●経営安定基金の運用方針の不断の見直しを通じた運用益確保
●JR北海道グループ全体を挙げてのコスト削減や意識改革
●地域の関係者との十分な協議を前提に、事業範囲の見直しや業務運営の一層の効率化

 事業範囲の見直しについては、鉄道よりも他の交通手段が適しており、利便性・効率性の向上も期待できる線区において、地域の足となる新たなサービスへの転換を進める。
 また、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区においては、平成31年度及び平成32年度を「第1期集中改革期間」とし、JR北海道と地域の関係者が一体となって、利用促進やコスト削減、実証実験や意見聴取などの取組を行い、持続的な鉄道網の確立に向け、2次交通も含めたあるべき交通体系について、徹底的に検討を行う。その際、国は交通体系のあり方の検討を行う地域の関係者に対して、必要な支援を行う。その上で、「第1期集中改革期間」の検証を行い、着実な取組が行われていることを前提として、平成33年度から平成35年度までの「第2期集中改革期間」に移行するとともに、第1期集中改革期間の検証結果を第2期集中改革期間における取組に反映する。
 JR北海道と地域の関係者は、集中改革期間における取組の結果を毎年度検証し、最終年度(平成35年度)には総括的な検証も行う。その際、利用者数等の目標に対する達成度合い等を踏まえ、事業の抜本的な改善方策についても検討を行う。

 JR北海道は、今年度中に、これらの徹底した経営努力を盛り込んで、第1期集中改革期間の事業計画を策定するとともに、平成31年度から平成35年度までの中期経営計画及び平成31年度から平成42年度までの長期経営ビジョンを策定する。
 経営改善を確実なものとするため、これらの計画やビジョンに盛り込んだ取組については、四半期ごとに鉄道局とともに検証を行い、情報を開示する。数値目標の達成状況を可能な限り迅速に検証し、速やかに改善方策を講じることができるようにするため、部門別の収支管理などの体制を整える。
 外部の厳しい意見・アドバイスを経営に反映させる仕組みを構築する。

2.関係者による支援・協力
 JR北海道が徹底した経営努力を行い、地域の関係者と一体となって、前半の2年間における第1期の取組、集中改革期間の5年間における取組、経営自立に向けた12年間の取組を各段階で着実にこなしていくことを前提として、その間、国、地方自治体、関係者等が必要な支援、協力を行うことにより、JR北海道の収支改善を図り、経営自立を目指す。
 国の支援は、国鉄清算事業団債務等処理法の規定に基づき、鉄道運輸機構を通じて行う。同法の規定に付された期限内の平成31年度及び平成32年度の2年間における国の支援及びその総額は、以下のとおりとする。

(1)利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区における鉄道施設及び車両の設備投資及び修繕に対する支援
 (※)地方自治体等からも同水準の支援が行われることを前提に、具体的な仕組みについては、地方自治体等との協議も踏まえ、今後検討・調整する。道内自治体の厳しい財政状況を踏まえ、必要な地方財政措置が講じられるよう要求を行う。
(2)貨物列車走行線区における貨物列車の運行に必要な設備投資及び修繕等に対する支援
(3)青函トンネルの維持管理に対する支援
(4)経営基盤の強化に資する前向きな設備投資に対する支援

 総額(2年間) 4百億円台
 なお、額は今後確定する。
 (1)から(3)までは全額助成、(4)は助成1/2、無利子貸付1/2

 平成33年度以降については、国鉄清算事業団債務等処理法の規定に付された期限が到来することから、その時点において、JR北海道及び地域の関係者の取組状況を検証し、着実な進展が確認されることを前提として、JR北海道の健全な経営を確保するための枠組みを構築するとともに、JR北海道の経営自立に向けた国の支援を継続するため、所要の法律案を国会に提出することを別途検討する。

 上記の資金面の支援に加えて、鉄路が直接つながるJR東日本から、新幹線ネットワークを活用した連携や、人的支援、技術支援、観光分野における協力など、最大限の協力・支援を求めることとする。

 また、国は、平成42年度末における北海道新幹線の札幌延伸を見据えて、東京と札幌を結ぶ新幹線の最大限の高速化を実現するための方策について、北海道と本州の間の物流の確保にも十分配慮した上で、必要な検討を進めるものとする。