NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.4731 (Re:4730) 【国土交通省】相鉄・JR直通線の加算運賃設定に関する答申 [別紙]
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2019-04-25 21:55:34
別紙

事案番号  平31第4001号 

事案の種類 鉄道事業における旅客運賃(加算運賃)の上限設定認可

申請事業者 相模鉄道株式会社

事案の内容
 相鉄・JR直通線(西谷・羽沢横浜国大間)の開業に伴う旅客運賃(加算運賃)の設定相鉄・JR直通線内の西谷から羽沢横浜国大までの区間を乗車する場合及び同区間と他の区間とにまたがって乗車する場合は、次の金額を加算する。
 普通旅客運賃           30円
 通勤定期旅客運賃(1ヶ月) 1,140円
 通学定期旅客運賃(1ヶ月)   430円

運輸審議会答申 認可することが適当である。 


                            国運審第2号
                        平成31年4月25日

国土交通大臣 石井 啓一 殿
                     運輸審議会会長 原田 尚志

            答  申  書

      相模鉄道株式会社からの鉄道の旅客運賃の
         上限設定の認可申請について

                         平31第4001号

 平成31年2月28日付け国鉄事第330号をもって諮問された上記の事案については、審議した結果、次のとおり答申する。


            主     文

 相模鉄道株式会社からの申請に係る鉄道の旅客運賃の上限設定については、相鉄・JR直通線及び相鉄・東急直通線の開業に伴う資本費コストの回収が完了するまでの間、相鉄・JR直通線内の西谷駅から羽沢横浜国大駅までの区間を乗車する場合及び同区間と他の区間とにまたがって乗車する場合の加算運賃の上限として、次の額を認可することが適当である。

 1.鉄道の普通旅客運賃        30円
 2.通勤定期旅客運賃(1ヶ月) 1 ,140円
 3 .通学定期旅客運賃(1ヶ月)   430円


            理     由

1.申請者は、神奈川県央部及び横浜市から東京都心への速達性向上、シームレス化による広域ネットワークの形成、周辺路線の混雑緩和等を図るべく、相鉄線西谷駅からJR東海道貨物線横浜羽沢駅までの間に、都市鉄道等利便増進法に基づく速達性向上事業として、整備主体と営業主体を分離する、いわゆる「受益活用型上下分離方式」により、相鉄・JR直通線を整備し、2019年11月30日の開業を予定している。
 当該事業では、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)が鉄道施設の整備を行い、相模鉄道株式会社は、整備主体である機構に施設使用料を支払うこととなっており、当該施設使用料については、相鉄・JR直通線による受益相当額を基に決定することとなっている。
 仮に基本運賃のみによる受益相当額を基に施設使用料を決定した場合、施設使用料によって賄われる事業資金の償還期間が大幅に延び、都市鉄道等利便増進法第5条第4項に基づく速達性向上計画の認定基準の一つである「事業の計画が経営上適切なものであること」を満たさないことから、事業収支の均衡、経営の健全性と利用者間の負担の公平を図るため、相鉄・JR直通線に加算運賃を設定するべく、本申請におよんだものである。
 なお、相鉄・JR直通線と併せて、相鉄線羽沢横浜国大駅から東急東横線・目黒線日吉駅までの相鉄・東急直通線も、同じ速達性向上計画として整備を行い、2つの直通線は一体の計画として整備されることから、本事案の審議の検討に用いる収支には、相鉄・東急直通線に係るものも含まれている。相鉄・東急直通線の開業時期は2022年下期とされており、相鉄・JR直通線と同時期の開業であれば、相鉄・東急直通線に係る加算運賃についても、本事案と併せて審議するところである。しかしながら、今般の諮問は、相鉄・JR直通線に係る加算運賃についてのみであったことから、相鉄・JR直通線に係る加算運賃についてのみ審議を行った。

2.国土交通大臣は、鉄道運送事業者からの旅客運賃等の上限の設定にあたっては、鉄道事業法第16条第2項に基づき、当該旅客運賃等の上限による総収入が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであることを確認の上、鉄道事業法第16条第1項の認可をするものとされている。また、鉄道の加算運賃については、「加算運賃の終了時期の判断方法と情報提供の方法について」(平成25年国鉄事第234号)において、加算運賃は、資本費コストの回収が完了するまで、その設定を継続することができるものであるとされている。

3.当審議会は、本事案の審議にあたり、当審議会に提出された資料、所管局から聴取した説明等に基づいて検討を行った。その結果は、次のとおりである。
 旅客運賃の上限を主文のとおり設定した場合、平年度(原価計算期間)である2020年度から2022年度までの3年間の運賃算定の基礎となる適正な総括原価(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの)は10,919百万円、総収入は7,852百万円と見込まれるので、差引き3,067百万円の不足を生じ、収支率が71.9%となるものと見込まれる。

4.以上のように、本件申請に係る旅客運賃の上限による総収入が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるので、本件申請は上記2.の認可基準に適合するものとして、鉄道事業法第16条第1項に基づき、国土交通大臣が本件申請を認可することは適当であると認める。ただし、「加算運賃の終了時期の判断方法と情報提供の方法について」にあるように、加算運賃は、主として新規路線の開業等に伴い発生する多額の資本費コストを回収するために設定されるものであることから、機構に対して支払う施設使用料を含めた資本費コストの回収が完了するまでの期間に限る。