NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.5998 (Re:5996) 【国土交通省】[参考]静岡県からの意見書
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-03-28 22:21:38
参 考
                            令和2年3月23日
国土交通省
 鉄道局長 水嶋 智 様
                        静岡県中央新幹線対策本部長
                        静岡県副知事 難波 喬司

       リニア中央新幹線静岡工区に係る有識者会議について

 令和2年3月6日における貴省との上記の協議案件について、貴省が提示された委員構成(案)に対する県の見解、また公募を行うこととした理由、並びに若干の意見を付して、下記のとおり申しあげます。

                  記

1 委員候補者の中立公正性に対する疑義
 3月6日の協議後、記者会見の席で突然、貴省は氏名の明記された委員構成(案)を報道各社に配布された。協議の席上、県側は個人名の公表に反対を表明しており、それを無視し、予期に反したものである。
 委員候補者は、その翌日(3月7日)の地元新聞の朝刊に「国交省 委員構成示す」の見出し、つづいて3月12日の朝刊には「委員案に受注業者監査役」の見出しで、二度にわたって全員の氏名が大きく報じられた。記事は、リニア中央新幹線静岡工区の受注企業の社外監査役を務めている人物名を明らかにしたうえで、当該企業から報酬を得ている以上、当該企業の一員とみなされ適格性が疑われるという内容である。同様の意見は新聞読者、関係者(県の専門部会委員、県議、大井川流域の地元等)からも寄せられた。知事の3月13日の記者会見での発言は、これらの意見を受けたものである。
 それを受けた3月17日の国土交通省での記者会見で貴省は「監査役は中立的立場で会社経営の業務監査及び会計報告を行う」「交通工学系の専門家」「JR東海とは関係ない」などと弁明されたが、同候補者は JRの前身・旧国鉄に在籍歴のあること、JR東海の中央新幹線懇話会メンバーであることなど、JR東海との関連性が極めて濃いことから、中立公正性に欠けると言わざるを得ない。

2 水循環に関する委員候補者の偏りに対する疑義
 有識者会議において最大のテーマは水問題であり、大井川流域全体の水循環である。それらについて、科学的根拠に基づき、かつ世間に理解される形で検証する有識者会議において、交通工学の専門家はテーマと直接関係がない一方、水循環基本法にのっとって議論のできる有識者が不足しているのではないか、という意見が寄せられている。一言でいえば、委員構成(案)には偏りがある。
 上記1及び2により、県では、「水循環、水問題に知見を有し、かつ中立性の確保できる最善の委員候補者(案)を貴省に提出するべきである」と判断した。
 静岡県は、従来から一貫して「広く会議を興し、万機公論に決すべし」の姿勢で県政に臨んでいる。貴省の委員候補(案)に対して本県の意見を回答するにあたっては、リニアに対する国民の高い関心に照らし、広く公論を反映しているのが望ましいと考える。委員の選定にあたっては、国民各層からテーマに通暁した優秀で適切な人材を募り、最高の学識を結集するのが最善の策である。「委員構成は中立公正を旨とすること」という貴省との申し合わせにより、リニア中央新幹線の国民生活への影響、特に本県に及ぼす水環境のマイナスの影響の大きさに照らし、委員に関する県意見は、公募を通して選ばれた委員(案)をもって回答することにしたのである。そのことに特段の問題はないと考える。
 委員候補者は 47項目について議論できる高い見識と専門性が求められる。公募に応じられた委員候補者の適格性については、公募期間終了(3月31日)後、検討すべき47項目をとりまとめた二つの専門部会の委員各位のご意見をうかがう期間を1週間ばかり設け、そのご意見を尊重しながら県が慎重に選定した候補者を「案」として4月中旬頃を目途に貴省に御返答申し上げる。

3 生物多様性について議論する場合の委員構成貴省の委員構成
 貴省の委員構成(案)では、まずは地下水と河川流量、水循環に関してのみ検討するとされており、いわば「第一次」の委員構成(案)である。
 しかし、南アルプスならびに大井川水系の生物多様性の保全は、きわめて重大な関心事であり、47項目のテーマでもある。
 それゆえ、生物多様性の問題を議論する場合、どなたを座長にするのか、また専門家はどういう方なのか、委員構成(案)を双方が合意した上で、世間に公表しておくことは、中立公正を担保するために、きわめて重要である。
 そこで、生物多様性の委員候補(案)についてもご提示いただきたい。今回の第一次の委員構成(案)に加え、次回は、生物多様性を議論する場合の座長・構成委員(案)の「全員」を構成員名簿として明記していただきたい。

4 有識者会議におけるJR東海の立場の明確化
 有識者会議で、JR東海が説明責任を果たす立場で参加することを示すため、委員構成名簿にJR東海の立場を明記していただきたい。

5 その他
 問題解決のため貴省の設置される有識者会議を本県はきわめて重視している。そうした中、貴省と本県との打ち合わせの中途段階で、貴省が委員構成(案)を記者に配布提供したことは、個人情報への配慮を欠く不用意なもので、はなはだ遺憾であった。
 有識者会議についての本県の以上の見解は、1月30日に貴省に申し入れて貴省の合意を得た5項目(会議の公開、全47項目の議論、JR東海への指導、委員の中立公正、座長の中立性)によっている。最後に、有識者会議の座長については、委員構成が明確になった段階で、選定されるべきものと考えていることを、念のため申し添える。