ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-03-28 22:21:06 |
令和2年3月27日
静岡県 御中 国土交通省鉄道局 リニア中央新幹線静岡工区に係る有識者会議について(回答) 貴県より手交された令和2年3月 23日付「リニア中央新幹線静岡工区に係る有識者会議について」において疑義等があるとされた事項につきまして、下記のとおり回答いたします。 記 ○川勝静岡県知事から石井前国土交通大臣へのご発言も踏まえ、国土交通省が議論の整理役として本件への関与を強めた昨年8月から既に7ヶ月以上が経過し、また有識者会議を提案してから2ヶ月以上が経過していますが、未だに会議の開催の目処が立っておりません。 ○本件については、水資源に関する大井川流域市町等の方々の懸念を払拭するためにも、早期に有識者会議を立ち上げ、トンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方やトンネルによる大井川中下流域の地下水への影響に関する科学的・工学的な検証を開始することが肝要と考えております。 ○知事が3月24日の定例会見で「リニアのできるだけ早い開通を望んでいる」という趣旨の発言をされておられるとおり、リニアの早期実現と自然環境への影響の回避・軽減を両立させることが我々の共通認識であると考えております。 ○委員の構成など、貴県からの見解における個別の論点に対する国土交通省の考え方は別紙のとおりですが、両者の見解の相違を克服し、一致点を見い出すための努力を継続していくことが必要であると考えております。 ○このため、委員の構成については、国土交通省としては、選定した委員の中立公正性に関しては問題がないと判断していますが、3月23日の会見で難波副知事が述べられたように、「中立性・公正性については、主観、価値観が入る問題」であるため、今後議論を進めていくにあたり大井川流域市町等の方々のご懸念が払拭できないとのお考えであれば、貴県としてご異論がある委員については、委員ではなく別の立場で関与頂くことも国土交通省の責任において検討したいと考えております。 ○以上のとおり有識者会議の人選等に関してお互いの認識を確認した上で、今後はスケジュール感を共有しつつ議論を行っていくことが必要であると考えております。まずは、4月中旬を目処に 1回目の有識者会議を開催することを提案させて頂きます。 別 紙 1 委員候補の中立公正性に対する疑義について (1)委員構成の公表について ・貴県は「3月6日の協議後、記者会見の席で突然、貴省が氏名の明記された委員構成(案)を報道各社に配付された。協議の席上、県側は個人名の公表に反対を表明しており、それを無視し、予期に反したものである。」と指摘されています。 ・国土交通省としては、3月6日の会議の冒頭(記者会見の1時間半前)に、鉄道局より委員を公表する旨を明確に伝え、会議の中でも本件について確認しております。 ・また、3月6日に委員候補者を公表することを前提に準備を行っていたため、各委員候補の方々に「委員構成案を会見で公表すること」、「静岡県に委員構成案を照会した結果、静岡県から何らかの意見が出てくる可能性もありえること」等を説明し、承諾を頂いておりました。そのため、個人情報に関する問題を惹起することはなかったと考えております。 (2)委員候補の中立性について ・貴県は、委員候補の一人がリニア中央新幹線静岡工区の受注企業の社外監査役を務めていることをもって「当該企業の一員とみなされ適格性が疑われる」としており、また、「JRの前身・旧国鉄に在籍歴のあること、JR東海の中央新幹線懇話会メンバーであることなど、JR東海との関連性が極めて濃いことから、中立公正性に欠けると言わざるを得ない」と指摘されております。 ・当該委員候補がJR東海の受注企業の社外監査役であることについて、社外監査役は、法令上、当該会社の違法または著しく不当な職務執行を監視することを目的としており、同社からの独立性をもって、客観的・第三者的立場から職務に当たることが求められていることから、中立公正性には問題がないと考えております。 ・また、旧国鉄への在職歴があることについては、当該委員候補の在職期間は 1966年4月の就業から1年未満であり、その時期に中央新幹線は基本計画線にも位置づけられておりません。 ・さらに、中央新幹線懇話会については、当該委員候補によれば、同委員候補が鉄道以外の他の公共事業等に精通している土木系の専門家を集めた懇話会であり、JR東海からの委嘱や報酬は一切ないとのことです。 ・以上より、中立公正性には問題がないと考えております。 ・国土交通省としては、本件はリニア中央新幹線の工事に起因する問題を議論する場であることから、本件を検討するに当たっては、リニア中央新幹線の事業そのものに精通している委員も最低1名は不可欠であると考えていたところです。 ・なお、当該委員候補は、超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会委員長として、これまで長年にわたりリニア技術の審議に関わってこられたこと、国土交通省の国土審議会、交通政策審議会など数多くの審議会等の委員を務められたこと等を総合的に勘案し、幅広い見識をお持ちであることから委員候補にあげさせて頂いたところです。 2 水循環に関する委員候補者の偏りに対する疑義について (1)水循環の有識者の数の不足について ・貴県は「水循環基本法にのっとって議論のできる有識者が不足しているのではないか、という意見が寄せられている」として、「委員構成(案)には偏りがある」と指摘されておりますが、国土交通省が選定した委員構成(案)6名のうち、水文学、地下水学、河川工学といった水関係の委員は座長を含めて3名、その他はトンネル工学1名、土木計画学1名、環境地盤工学1名であります。 ・知事が2月12日の定例会見で「水循環基本法に関わられた学者が加わるのが望ましい」、「最大の問題は地下水の問題なので、地下水に関わる専門家が入ることが望ましい」旨のご発言をされたことを踏まえ、国土交通省では、3名の水関係の委員のうち、2名は「水循環基本法フォローアップ委員会」の委員を選定しています。このうち、1名は当該委員会の座長であり、かつ、内閣官房が設置した「水循環施策の推進に関する有識者会議」の座長でもあります。さらに、他の1名は日本地下水学会会長という地下水分野での第一人者であります。 ・このように、水循環基本法にのっとって議論のできる有識者を複数選定していると考えております。有識者会議では水問題の議論が大変重要であることは国土交通省も認識しており、この問題について十分な議論を行うためには、極めて高い専門性や深い造詣をお持ちの先生方に適正数お入り頂き、密度の濃い議論をして頂くことが重要であると考えております。 (2)交通工学の専門家について ・また、貴県は「『交通工学の専門家はテーマと直接関係がない』との意見が寄せられている」としていますが、国土交通省が交通工学の専門家を加えた理由としては、先に述べたとおり、本件はリニア中央新幹線の工事に起因する問題を議論する場であることから、本件を検討するに当たっては、リニア中央新幹線の事業そのものに精通している委員も最低1名は不可欠であると考えたことによります。 (3)その他 ・副知事から頂いたご意見で専門部会の匿名の委員や新聞記者の意見に基づき指摘を頂いていた箇所がありますが、現在は枠組みづくりの問題であるので、貴県としてのご見解を頂きたいと思います。 ・さもないと、専門部会の委員に議論の責任を負わせることになってしまい、専門部会の委員は当事者ではないという貴県の主張と矛盾すると考えます。 ・さらに、貴県は有識者会議の委員を公募する理由を、中立公正性の確保と水循環に関する専門性の確保のためとされています。一方、これまでの貴県からの説明では、貴県の専門部会の委員は中立的で専門的とされています。本有識者会議には専門部会からの参加も予定していることから、なぜ専門部会委員の参加を得ながらさらに公募する必要があるのかについても、さらなる説明を求めたいと思います。 3 生物多様性について議論する場合の委員構成について ・生物多様性については、貴県の専門部会での今後の議論の状況により、有識者会議で検証が求められるテーマや論点も変わってくると思われることから、現時点で委員の選定を行うことは難しいと考えており、有識者会議で議論を行うこととなった段階で、当該論点の議論にふさわしい委員構成を検討することとさせて頂きたいと考えております。 4 有識者会議におけるJR東海の立場の明確化について ・委員構成(案)の中に「説明責任者:JR東海」と明記したいと考えております。 5 その他について ・貴県の「貴省と本県との打ち合わせの中途段階で、貴省が委員構成(案)を記者に配布提供したことは、個人情報への配慮を欠く不用意なもので、はなはだ遺憾であった」との指摘については、上記1(1)のとおりです。 ・また、座長の人選については、当該5要件を満たすだけではなく、本件重要な課題を議論する有識者会議を適切に進行しとりまとめることができる方である必要があると考え、国土交通省の社会資本整備審議会会長、同審議会河川分科会会長などを歴任された方が適任と判断し、選定させて頂いたところです。 |
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