NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.8273 (Re:8268) 【国土交通省】東急の運賃上限変更を認可
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2022-04-09 00:48:04
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                          Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                               令和4年4月8日
                               鉄道局鉄道事業課

   東急電鉄株式会社の鉄軌道事業の旅客運賃の上限変更認可について


 令和4年1月7日付けで東急電鉄株式会社(以下「東急電鉄」)より申請のあった、旅客運賃の上限変更については、4月5日に運輸審議会より「認可することが適当である」旨、答申が出されましたので、本日、国土交通省として認可いたしました。


 鉄道の旅客の運賃は、鉄道事業法第16条第1項に基づき、その上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならないとされています。認可にあたっては、同法16条第2項に基づき、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査することとされており、また、同法第64条の2に基づき、運輸審議会に諮らなければならないこととされています(軌道法においても同様の取り扱いを実施)。
 令和4年1月7日付けで東急電鉄より申請のあった、旅客運賃の上限変更について、運輸審議会に諮問したところ、4月5日に「認可することが適当である」旨の答申が出されました。これを受け、本日、国土交通省として申請どおり認可をいたしました。

■運賃の改定概要 
○東急電鉄は、令和元年度末に世田谷線、こどもの国線を除く全ての駅に整備を完了したホームドア、センサー付固定式ホーム柵をはじめとして車内防犯カメラ、踏切障害物検知装置の100%設置、地震、豪雨といった災害対策等の安全性の確保や新型車両の導入、駅バリアフリールートの100%整備など利便性、快適性の向上等、コロナ禍前の過去5か年平均では大手民鉄の平均を大きく上回る約540億円の設備投資を実施しており、その結果、減価償却費等の資本費や維持管理に関する費用が増大している。 

○新型コロナウイルス感染症拡大によりリモートワークを始めとする新しい生活様式が急速に普及した影響で、特に定期券利用者の減少率は関東大手民鉄各社と比較しても最大であり、令和2年度に引き続き令和3年度も営業赤字が見込まれる等の状況が続いている。緊急事態宣言が解除された令和3年10月以降も定期券利用者がコロナ禍前と比較して約3割減少しており、緊急事態宣言中と同水準で推移していることから、今後も需要の回復は見通せない状況にある。 

○このような状況下においても、鉄道インフラを適切に維持・更新して将来世代に負担を先送りすることなく、安全・安心な鉄軌道事業を継続するとともに、多様化・複雑化する社会的要請に応じた価値を提供するため、固定費削減・生産性向上を目的とした「鉄道事業の強靭化」を始めとする経営努力の更なる徹底を前提に、運賃改定を行うもの。

○今回の認可では、令和10年3月31日までの期限を設け、運賃改定後の令和5年度から3年間(令和7年度まで)の総収入と総括原価の実績を確認することとする。

(変更内容)
○「鉄道対キロ区間制」の初乗り運賃は10円程度の改定とし、その他の区分の改定率は概ね全体の改定率(12.9%)と同程度とする。
 ・初乗り運賃(3キロまで):1円単位上限運賃  140円(現行126円)
               10円単位上限運賃 140円(現行130円)
 ・「鉄道均一制」のこどもの国線は据え置く。
 ・「軌道均一制」の世田谷線は10円程度の改定に留める。
               1円単位上限運賃  160円(現行147円)
               10円単位上限運賃 160円(現行150円)

○定期旅客運賃
 ・通勤定期旅客運賃:普通旅客運賃にあわせて改定する。
 ・通学定期旅客運賃:据え置く。

○実施予定年月日:令和5年3月
 ○改定率          ○収入実績及び推定 (単位:億円)
 ┌────┬─────┐┌────┬─────┬───────────┐
 │    │ 改定率 ││    │令和2年度│ 令和5〜7年度推定 │
 ├────┼─────┤│    │ (実績) │  (3年間平均)  │
 │普通運賃│13.5%││    │     │ 現 行 │ 改 定 │
 │定期運賃│12.1%│├────┼─────┼─────┼─────┤
 ├────┼─────┤│ 収入 │1,149│1,412│1,556│
 │ 全体 │12.9%││ 原価 │1,462│1,562│1,562│
 └────┴─────┘├────┼─────┼─────┼─────┤
             │差引損益│ ▲312│ ▲150│   ▲6│
             │ 収支率 │78.6%│90.4%│99.6%│
             └────┴─────┴─────┴─────┘
  ※定期運賃の割引率(鉄軌道合計)
   通勤37.8%(現行37.8%)
   通学77.1%(現行73.9%)

<参考>
○鉄道事業法(昭和61年法律第92号)
 (旅客の運賃及び料金)
第十六条 鉄道運送事業者は、旅客の運賃及び国土交通省令で定める旅客の料金(以下「旅客運賃等」という。)の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをしなければならない。
3〜5 (略)
 (運輸審議会への諮問)
第六十四条の二 国土交通大臣は、次に掲げる処分等をしようとするときは、運輸審議会に諮らなければならない。
 一 第十六条第一項の規定による旅客運賃等の上限の認可
 二〜五(略)