NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.9310 【JR海】東海道新幹線 2037年度末に周波数変換装置を静止型に統一
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2023-05-26 22:41:05
                           2023年5月24日
                           東海旅客鉄道株式会社

     東海道新幹線 すべての周波数変換装置の静止型化について

 東海道新幹線では、全線にわたって周波数60Hz (ヘルツ)の電気によって列車を走行させているため、周波数が50Hzである富士川以東の地域では、電力会社から受電した電気を回転型及び静止型の2種類の周波数変換装置(以下、「FC」という)で60Hzに変換しています。
 このたび、東海道新幹線のすべてのFCを、技術開発の成果によって、省エネルギー性や省メンテナンス性に優れる静止型FCとすることとしましたのでお知らせします。

1.概要
(1)回転型FC、静止型FCの特徴と技術的な課題(別紙1)
・回転型FCは、東海道新幹線開業以来設置されてきた型式であり、大型のモータと発電機を組み合わせて周波数を変換する装置、静止型FCは、パワー半導体を用いて周波数を変換する装置です。
 
※パワー半導体:大きな電力を扱うことができ、主に電力の制御や変換に使用される半導体のこと

・回転型FCは架線の地絡等による瞬間的な大電流やダイヤ乱れ等による過負荷が発生しても電力供給を継続できる一方、稼働時のエネルギーロスが大きくなります。
 
※地絡:架線に鳥や蛇などの介在物が接触した場合に、電流が地面に流れること
 
※過負荷:多数の列車が同時に加速した場合等に、機器の性能を超える電流が流れること

・静止型FCは省エネルギー性や省メンテナンス性に優れますが、瞬間的な大電流や過負荷が発生すると、機器の保護のために自動的に電力供給を停止します。

・当社ではこれまで、回転型FCから、メリットの大きい静止型FCへの置き換えを順次進めてきましたが、瞬間的な大電流や過負荷の発生に備えて、回転型FCを一部残す必要がありました。

(2)技術開発・施工内容(別紙2)
・今回、以下2つの技術を新たに開発しました。
@架線の地絡等が発生した際でも電力供給を継続できるように、静止型FCを制御して該当する回線の電圧を急激に下げ、電流を抑制する技術を開発(世界初の技術(特許取得済)
Aダイヤ乱れ等で列車が集中する場合、過負荷の発生を事前に予測し、回避するために必要な加速制限を自動的に算出する技術(世界初の技術(特許出願済))
・これにより、綱島周波数変換変電所の2台の回転型FCを静止型FCに取り替え、これまで技術的に実現困難だった、東海道新幹線のFCをすべて静止型FCとすることが可能となりました。

2.効果
(省エネ化)
・年間約4千万kWhの電気使用量、年間約2万トンのCO2排出量を削減できる見込みで、カーボンニュートラルに向けた効果が期待できます。
(省メンテナンス化)
・回転型FCと比較して静止型FCは可動部分が少なく構成部品も少ないため、メンテナンスの省力化が見込めます。これにより、将来労働力人口が減少していく中でも、メンテナンス体制を維持しやすくなります。
⇒省エネ化、省メンテナンス化により年間約9.8億円のコスト削減を見込みます。

3.スケジュール:2032年度末新3号静止型FC(綱島) 運用開始予定
         2037年度末新2号静止型FC(綱島) 運用開始予定
          ⇒2037年度末をもってすべてのFCの静止型化完了

4.工事費:約268億円
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