NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.8647 (Re:8635) 【国土交通省】近鉄の旅客運賃、上限変更(R5.4.1)を認可
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2022-09-02 23:58:45
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                         Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                            令和4年9月 2日
                            鉄道局鉄道事業課

  近畿日本鉄道株式会社の鉄軌道事業の旅客運賃の上限変更認可について


 令和4年4月15日付けで近畿日本鉄道株式会社(以下「近畿日本鉄道」)より申請のあった、旅客運賃の上限変更については、8月30日に運輸審議会より「認可することが適当である」旨、答申が出されましたので、本日、国土交通省として認可いたしました。


 鉄道の旅客の運賃は、鉄道事業法第16条第1項に基づき、その上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならないとされています。認可にあたっては、同法16条第2項に基づき、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査することとされており、また、同法第64条の2に基づき、運輸審議会に諮らなければならないこととされています(軌道法においても同様の取り扱いを実施)。
 令和4年4月15日付けで近畿日本鉄道より申請のあった、旅客運賃の上限変更について、運輸審議会に諮問したところ、8月30日に「認可することが適当である」旨の答申が出されました。これを受け、本日、国土交通省として申請どおり認可をいたしました。

■運賃の改定概要 
○近畿日本鉄道の輸送人員は、平成3年度をピークに、沿線の少子高齢化や生産年齢人口の減少、自家用車の普及や道路交通網の発達等の影響を受け約3割減少した。ここ数年の間は、景気の好転やインバウンド需要に支えられ下げ止まっていたが、令和2年初頭より新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、再び大きく減少することとなった。 
○一方、運賃の水準を維持するため、できうる限り効率的な事業運営を追及し、駅運営の合理化、ワンマン運転の導入・拡大、車両・施設保守体制の見直し、管理部門の効率化などにより、営業費用は平成30年度には平成7年度と比べて大手民鉄最大となる約27%の削減を達成した。 
○しかし、テレワーク、Web会議等のビジネスのオンライン化、買い物等の日常消費のオンライン化といった「新しい生活様式」による鉄道利用の消失は、コロナ禍の長期化によってすでに定着しつつあり、アフターコロナ期においても従前には戻らないと考えられる。また、近畿日本鉄道沿線各府県の人口減少は、愛知県を除き全国平均を上回るペースで今後も続くとされており、これに伴い鉄道需要も減少していくものと考えられる。 
○近畿日本鉄道は運賃改定により、老朽化した一般車両の更新に加え、車内防犯対策の強化、激甚化する自然災害への対策、可動式ホーム柵設置等のバリアフリー整備の加速、駅のリニューアルなど快適な利用環境のさらなる整備、将来へ向けた技術開発等を推進し、すべての利用者に安全・安心・快適な輸送サービスを提供していくこととしている。 
○今回の認可では、令和10年3月31日までの期限を設け、運賃改定後の令和5年度から3年間(令和7年度まで)の総収入と総括原価の実績を確認することとする。

(変更内容)
○普通旅客運賃
 ・現行の運賃に1.185を乗じて、10円単位に四捨五入する。
 ・利用者が多い短距離区間1〜10キロまでの運賃は上記の算定結果から、10円減額する。
 ・初乗り運賃(3キロまで):180円(現行160円)
 ※吉野線、湯の山線、鳥羽線、志摩線、けいはんな線における加算運賃は変更しない。

○定期旅客運賃
(通勤定期旅客運賃)
 ・現行の運賃に1.185を乗じて、10円単位に四捨五入する。
 ・過去複数回の消費税率改定に伴う運賃改定の際に発生した、運賃段差(乗車距離に応じて加算される運賃額)を最大70円調整する。
(通学定期旅客運賃)
 ・現行の運賃に1.0925を乗じて、10円単位に四捨五入する。
 ・過去複数回の消費税率改定に伴う運賃改定の際に発生した、運賃段差を最大50円調整する。

○実施予定年月日:令和5年4月1日
○改定率
 ┌────┬─────┐
 │    │ 改定率 │
 ├────┼─────┤
 │普通運賃│17.2%│
 │定期運賃│16.7%│
 ├────┼─────┤
 │ 全体 │17.0%│
 └────┴─────┘
 ※定期運賃の割引率(鉄軌道合計)
  通勤41.6%(現行42.2%)
  通学82.5%(現行80.9%)

○収入実績及び推定(単位:億円)
 ┌────┬─────┬───────────┐
 │    │令和2年度│ 令和5〜7年度推定 │
 │    │ (実績) │  (3年間平均)  │
 │    │     │ 現 行 │ 改 定 │
 ├────┼─────┼─────┼─────┤
 │ 収入 │1,000│1,277│1,434│
 ├────┼─────┼─────┼─────┤
 │ 原価 │1,448│1,542│1,542│
 ├────┼─────┼─────┼─────┤
 │差引損益│ ▲448│ ▲265│ ▲109│
 ├────┼─────┼─────┼─────┤
 │ 収支率 │69.1%│82.8%│92.9%│
 └────┴─────┴─────┴─────┘

<参考>
○鉄道事業法(昭和61年法律第92号)
 (旅客の運賃及び料金)
第十六条 鉄道運送事業者は、旅客の運賃及び国土交通省令で定める旅客の料金(以下「旅客運賃等」という。)の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをしなければならない。
3〜5(略)

 (運輸審議会への諮問)
第六十四条の二 国土交通大臣は、次に掲げる処分等をしようとするときは、運輸審議会に諮らなければならない。
一 第十六条第一項の規定による旅客運賃等の上限の認可
二〜五(略)