ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2021-04-06 02:06:07 |
第10回企画展 重要文化財
ホジ6014号蒸気動車のすべて 〜誕生からこれまでの歩み〜 はじめに 1909(明治42)年以降に登場した鉄道院の蒸気動車は、客車の片側に小型蒸気機関車の蒸気機関と走り装置を装備し、都市近郊の列車増発を目的に単車運転を可能としたことで、都市へのアクセス性を改善してきました。 当時、地方の鉄道建設が促進される中、蒸気機関車による牽引列車ではなく、小単位での輸送を原則とする蒸気動車が運行されていました。その後、使用線区の輸送需要の増加や蒸気を動力としないガソリン動車やディーゼル動車などに置き換えられ、蒸気動車は他の線区へ転属するなどし、1949(昭和24)年に全てが廃車となりました。 リニア・鉄道館が保管・展示するホジ6014号蒸気動車は、日本国有鉄道が1962(昭和37)年に鉄道記念物に指定すると共に名古屋工場にて復元整備をしたものです。その後は、長く博物館明治村で公開展示され、2011(平成23)年3月からは当館の常設展示としました。 この蒸気動車は、「気動車の始祖」と言えるもので、現存する唯一の車両です。現在に至るまで多くの方々の“遺す意志”が引き継がれ、2019(令和元)年7月には国の重要文化財に指定されました。 本書では、蒸気動車が誕生した経緯や鉄道輸送の発展に貢献するなど、現在に至る歴史的な記録に触れながら、重要文化財としての価値などを紹介します。これまで鉄道をご利用いただいたお客様をはじめ、車両の保存に向けた取り組みに関係された方々に感謝の気持ちを込めて編集しました。多くの方に鉄道の歴史的な経緯や科学技術などに関心を寄せていただければ幸いです。 2021年3月 リニア・鉄道館 書 名: 第10回企画展 重要文化財 ホジ6014号蒸気動車のすべて 〜誕生からこれまでの歩み〜 発 行 日: 2021年3月10日発行 価 格: 1,200円(税込) 編集・発行: 東海旅客鉄道株式会社 リニア・鉄道館 印 刷: 株式会社ジェイアール東海ウェル 写真・資料協力(敬称略・順不同) 工藤 憲二(工) 久保 敏(久) 白井 昭 (白) 山田 司(山) 清水 武(清) 臼井 茂信(臼) 福島 隆雄(福) 鈴木 靖人(鈴) 野上 基長(野) 高橋 弘(高) 豊田 浩基(豊) 牧野 俊介(牧) 杉山 裕美(杉) 日本製鉄株式会社(日) 九州旅客鉄道株式会社(直) 博物館明治村(明) 名鉄資料館(名) 鉄道博物館(鉄) 京都鉄道博物館(京) 九州鉄道記念館(九) 株式会社交通新聞社(交) 編集協力 : 株式会社ジェイアール東海ウェル 協力者(敬称略・順不同) 藤田吾郎 河合陽太 名取紀之 須田 寛 田中義人 中川 彰 公益財団法人鉄道総合技術研究所 鉄道友の会 株式会社東芝 東芝インフラシステムズ株式会社 川崎重工業株式会社 株式会社長谷川模型 そ の 他: リニア・鉄道館内の総合案内に限り販売 目次 はじめに 5 第1章 蒸気動車の誕生 7 第1節 新しい車種の誕生 8 第1項 鉄道のはじまり 8 第2項 鉄道敷設法による鉄道建設 8 第3項 新しい車種が登場 8 第4項 車両製造と運轉整備 9 第5項 求められた輸送形態 9 第2節 世界の蒸気動車 10 第1項 蒸気動車の実用化 10 第2項 ボールドウィン社製蒸気動車 10 第3項 セルポレー式蒸気動車 10 第4項 ガンツ社製の装置部品 10 第3節 国内の蒸気動車 11 第1項 気動車の始祖 11 第2項 瀬戸自動鉄道株式会社 11 第3項 鉄道院(関西鉄道を買収) 11 第4項 鉄道院(工藤式蒸汽自動客車) 12 第5項 初瀬軌道(工藤式蒸汽自動客車)12 第6項 三河鉄道(工藤式蒸気動車) 12 第7項 蒸気動車と内燃動車の動向 13 コラム@「時代考証に必要な写真」 14 第2章 工藤式蒸気動車の概要 15 第1節 汽車製造株式会社の概要 16 第1項 汽車製造株式会社の設立 16 第2項 製造した主な車両 16 第3項 技術の継承 16 第2節 鉄道院の車両形式 17 第1項 鉄道院で運行した蒸気動車 17 第2項 6000形式(ガンツ式) 17 第3項 6005形式(工藤式1次形) 18 第4項 6005形式(工藤式2次形) 18 第5項 6060形式(工藤式) 18 第6項 蒸気動車の漸減 18 第3節 工藤兵治郎が考案した特許 20 第1項 工藤兵治郎とは 20 第2項 特許の概要(特許第18746号) 20 第3項 折返運転の実現 20 第4項 車体から機関走行部を分離 21 第5項 模型による再現 22 コラムA「66年ぶりに分離した機関走行部」24 第3章 ホジ6014号蒸気動車の慨要 25 第1節 新製時の姿 26 第1項 落成畤の6005形式(2次形)26 第2項 車両称号規程の変遷と形式図 26 第3項 運転操作の扱い 27 第2節 車両履歴と運行実績 28 第1項 車両配置の変遷 28 第2項 関西圏での運行実績 29 第3項 北九州地区での運行実績 29 第3節 外観上の主な変更点 30 第1項 落成写真との比較 30 第2項 連結器関係 30 第3項 ブレーキ方式 31 第4項 燈具 31 コラムB「見慣れない「噸」の文字」 32 第4章 鉄道車両の文化的な価値 33 第1節 文化財としての意義 34 第1項 文化財とは 34 第2項 文化財としての意義 35 第3項 鉄道車両の保存 35 第2節 鉄道記念物に指定 36 第1項 鉄道記念物とは 36 第2項 指定の意義 36 第3項 指定に至る経緯 36 第3節 重要文化財に指定 37 第1項 重要文化財とは 37 第2項 指定までの経緯と意義 37 第3項 評価されたこと 38 第5章 車両保存への取り組み 39 第1節 鉄道記念物指定前後の整備 40 第1項 犬山遊園での公開展示 40 第2項 鉄道記念物として永久保存 41 第3項 唯一の蒸気動車を復元整備 41 第2節 博物館明治村での整備 44 第1項 屋外展示のための定期修繕 44 第2項 国鉄名古屋工場による整備 44 第3項 保管庫の設置 45 第3節 リニア・鉄道館の開設に向けた整備46 第1項 ホジ6014号として整備 46 第2項 名古屋工場で整備開始 46 第3項 車体の標記文字 47 第4節 リニア・鉄道館の展示後の整備 48 第1項 重要文化財の指定前 48 第2項 重要文化財の指定後 48 第3項 車両の清掃作業 49 コラムC「標記文字の再確認』 50 第6章 蒸気動車の現在の姿 51 第1節 車両外形の特徴 52 第1項 車体構造 52 第2項 屋根構造 52 第3項 台車構造(従台車) 52 第4項 ブレーキ構造 53 第5項 車体塗装と標記 53 第6項 その他 53 第2節 車両室内の特徴 54 第1項 客室エリア 54 第2項 建具(引戸、開戸、窓ほか) 54 第3項 機関室エリア 55 第4項 後部運転室エリア 55 第5項 その他 55 第3節 機関走行部の特徴 56 第1項 蒸気機関の構造 56 第2項 走り装置の構造 57 第4節 今後の取り組み 58 第1項 新製持の姿を再現する 58 おわりに 59 寄稿(“ホジ6014”に想う」 60 気動車の発展史 63 用語解説 63 表 紙:展示中のホジ6014号 裏表紙:休館日のホジ6014号と給水柱 |
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