NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.5908 (Re:5907) 【国土交通省】新幹線の新たなバリアフリー対策(中間とりまとめ)全文
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-03-03 23:23:35
                             令和2年3月3日
        新幹線の新たなバリアフリー対策について
             (中間とりまとめ)


                     新幹線のバリアフリー対策検討WG

1.新幹線のバリアフリー対策のこれまでの取組
 新幹線のバリアフリー対策は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」や「公共交通機関の車両等の移動等円滑化整備ガイドライン」等に従い、これまで各鉄道事業者によって着実に取組が進められている。新幹線内の車椅子スペースについては、1列車ごとに1席以上設けられるとともに、車椅子使用者の利用が可能な多目的室や一部の事業者ではグリーン車内の車椅子スペースの整備も図られてきた。また、平成30年3月の「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び整備に関する基準(以下「基準」という。)」等の改正により、客室内の車椅子スペースについて、1列車ごとに2席以上、隣接する通路の幅は400mm以上とされたところである。

2.2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を迎えるに当たって
 現在、我が国においては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした共生社会の実現に向けて、平成29年2月に「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が関係閣僚会議で決定され、それに基づく取組が着実に実行されているところである。さらに、平成30年12月には、「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律」が公布、施行される中で、障害の有無にかかわらず誰もが当たり前に快適に移動や旅を楽しめる環境の整備に向けた気運が高まりつつある。
 また、近年の技術革新の進展により、車椅子の回転性能や走行性能が向上し、車椅子使用者が外出しやすくなったことや、主要駅ではエレベーターの設置が当たり前となり、さらに一部の事業者ではホームドアの整備と合わせて車椅子使用者が駅員の介助がなくても乗り降りしやすくなるようにホームと車両の間の段差・隙間を小さくする改修を東京大会までに進めるなど、車椅子使用者の社会参画に向けた環境整備が進んでいる。
 「バリアフリー政策」は、高齢者・障害者のための福祉政策ではなく、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる成熟国家に相応しいユニバーサル社会、共生社会の実現を目指すべきものである。
 大会が開催される今年を、大会のレガシーとなる「真の共生社会」の実現に力強く前進する「歴史的転換」の年にしなければならない。

3.「真の共生社会」に相応しい、あるべき新幹線の姿
 現在の一般客室内の車椅子スペースは、座席に移乗せずに車椅子に乗ったままでは、通路にはみ出てしまい、ワゴンなどが通るたびにデッキに出なければならない場合がある等、快適とはいえず、また、車椅子スペースの数が限られているため、車椅子使用者がグループで移動する際には、乗車する列車を分散しなければならないのが実情である。
 世界の高速鉄道をみると、通路にはみ出ない車椅子スペースが、一般客室内の窓際に配置されるなど、車椅子に乗ったままでも快適に旅ができる配慮がなされている。訪日外国人旅行者数が増加する中、観光先進国の実現に向けて、車椅子使用者も含めた全ての訪日外国人旅行者が快適な移動や旅を楽しめるよう、海外から日本を訪れた車椅子使用者であっても高い満足感を得られるような高レベルの車椅子利用環境を整備することが極めて重要である。
 我が国の新幹線の安全性、スピード、運行頻度、正確性は世界に冠たるものであり、東京大会のレガシーとして、「真の共生社会」の実現に向け、新幹線のバリアフリー化はその象徴となるべきものである。
 そのため、新幹線のバリアフリー対策の抜本的な見直しとして、以下の基本方針に基づく取組を進め、国、鉄道事業者及び障害者団体が連携し、鉄道利用者の理解と協力の下、障害の有無にかかわらず誰もが当たり前に快適に移動や旅を楽しむことができる世界最高水準のバリアフリー環境を有する高速鉄道の実現を目指すこととする。

4.基本方針
@ 移乗が困難な方、保護者の付き添いや介助が必要な方等、様々な障害の状態※1に対応し、障害のある方が一般の方と同様にグループで快適に乗車できるよう「車椅子用フリースペース」(仮称)※2を一般客室の窓際に設ける。また、車椅子対応トイレ及び多目的室についても広さや快適性の改善を図る。

※1)様々な障害の状態 :
 移乗が困難な方、移乗される方、保護者の付き添いや介助が必要な方、ストレッチャー式車椅子の方、同じ姿勢を保つのが困難なリクライニング機能付き車椅子の方などが想定される。
※2)車椅子用フリースペースの要件:
・車椅子に乗ったままでも車窓が楽しめるよう窓際に面していること。
・車椅子が通路にはみ出ることなく通路の通行を阻害しないこと。
・大型の車椅子の方もグループで利用可能であること。
・車椅子使用者の移乗用席、介助者用席、同伴者用席が近くに配置されていること。

A これまで電話や窓口での申し込みが必要であった車椅子対応座席※3について、ウェブでも対応可能※4とする。また、これまで当日には一般の方にも販売していた車椅子対応座席について、当日でも車椅子使用者に確保する。さらに、介助要員(駅係員)の確保に係る調整方法や窓口でのきっぷの予約・発券方法等の運用の改善により、待ち時間の短縮等の利便性向上を図るとともに、案内方法の改善を図る。

※3)車椅子対応座席 :
 車椅子スペースに隣接し、車椅子使用者が当該スペースを利用する際に予約する座席
※4)車椅子用フリースペースに対応したウェブ申し込み・販売方法 :
 車椅子用フリースペースに対応したウェブ申し込み・販売方法については、席数や車内のレイアウト等を踏まえて検討したうえで決定する。


5.基本方針を踏まえた取組 

5.1 可及的速やかに実施 
(1)車椅子用フリースペース(仮称)の創設

● 車椅子に乗ったまま利用できる席数や車内のレイアウトの考え方等について、車椅子使用者も参加する実車等を用いた実証実験を行い、検討したうえで決定する。また、その内容について基準等の改正を行う。

(2)現行の車椅子対応座席の申し込み方法・案内方法の改善
● 全新幹線において車椅子対応座席のウェブ申し込みを導入する。
● 車椅子対応座席を利用する際の案内方法について、2日前までの申し込みを求めない形に変更する。
● 普通車指定席の車椅子対応座席の販売方法を変更し、当日においても車椅子使用者用に確保する(一般用席として販売しない)。

5.2 上記5.1の実施状況等を踏まえ、以下の事項について具体的な改善を検討
● 介助要員(駅係員)の確保に係る調整方法や窓口でのきっぷの予約・発券方法(予約・発券に要する時間の短縮や希望する駅での受取)等の運用改善(検討の結果、結論を得られたものは、可及的速やかに実施)。
● 車椅子用フリースペース(仮称)に対応した利便性の高いウェブ申し込み・販売方法の導入。
● 一般の方と同様に普通車(自由席)・グリーン車に乗車できるよう車椅子用フリースペース(仮称)の設置。
● 介助者と共に使用できる車椅子対応トイレ及び車窓が楽しめる多目的室のレイアウト等。

 ※ 5.2の各取組の具体的なスケジュールは引き続き検討
撮影日:
撮影場所:
キャプション:
画像サイズ: 740×289(43%表示)
撮影日:
撮影場所:
キャプション:
画像サイズ: 1284×905(25%表示)
撮影日:
撮影場所:
キャプション:
画像サイズ: 777×1148(41%表示)