ほりうち(ccbu8181) 2019-04-25 23:10:36 |
○添付資料の目次 1.経営成績等の概況………………………………………………………… 2 (1)当期の経営成績の概況………………………………………………… 2 (2)当期の財政状態の概況………………………………………………… 5 (3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当………………… 5 2.経営方針…………………………………………………………………… 6 (1)会社の経営の基本方針 ……………………………………………… 6 (2)中長期的な会社の経営戦略…………………………………………… 6 (3)会社の対処すべき課題………………………………………………… 7 3.会計基準の選択に関する基本的な考え方……………………………… 8 4.連結財務諸表及び主な注記……………………………………………… 9 (1)連結貸借対照表………………………………………………………… 9 (2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書……………………………11 (連結損益計算書)………………………………………………………11 (連結包括利益計算書)…………………………………………………12 (3)連結株主資本等変動計算書……………………………………………13 (4)連結キャッシュ・フロー計算書………………………………………15 (5)継続企業の前提に関する注記…………………………………………17 (6)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示……………17 (7)連結財務諸表に関する注記事項………………………………………17 (連結貸借対照表関係)…………………………………………………17 (連結損益計算書関係)…………………………………………………17 (セグメント情報等)……………………………………………………17 (1株当たり情報)………………………………………………………20 (重要な後発事象)………………………………………………………20 5.個別財務諸表………………………………………………………………21 (1)貸借対照表………………………………………………………………21 (2)損益計算書………………………………………………………………23 (3)株主資本等変動計算書…………………………………………………25 1.経営成績等の概況 (1)当期の経営成績の概況 当社グループは、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実を図るとともに、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化等の取組みを続け、収益力の強化に努めました。 東海道新幹線については、大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を引き続き推進したほか、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、需要にあわせたより弾力的な列車設定に取り組みました。また、N700A(3次車)の投入を進めるとともに、引き続きN700S確認試験車による走行試験を実施しました。 在来線については、名古屋工場の耐震化等の地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。 営業施策については、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスである「エクスプレス予約」及び「スマートEX」をより多くのお客様にご利用いただくための取組みを実施し、3月には「スマートEX」の登録者数が約226万人となるとともに、指定席に占めるネット予約の割合が約4割となりました。また、沿線の観光資源の魅力を活かした営業施策を推進するなど、ご利用拡大に向けた取組みを積極的に展開しました。 超電導磁気浮上式鉄道(以下「超電導リニア」という。)による中央新幹線については、工事実施計画の認可を受けた品川・名古屋間について、地域との連携を密にしながら、測量、設計、用地取得を進めるとともに、大深度地下においてシールド工法でトンネルの掘削工事を行う第一首都圏トンネル北品川工区、第一中京圏トンネル坂下西工区等で工事契約を締結しました。また、これまでに工事契約を締結した工区において、地域にお住まいの方々へ工事概要や安全対策等についてご説明するための工事説明会を開催したほか、南アルプストンネル静岡工区について、静岡市と中央新幹線の建設と地域振興に関する基本合意書を締結するとともに、工事作業員等の宿舎施設の建設を開始するなど、今後の工事着手に向けた準備に取り組みました。工事については、新たに東京都の東雪谷非常口、神奈川県の等々力非常口、愛知県の神領非常口及び名城変電所で本格的な工事に着手しました。既に工事に着手している南アルプストンネル山梨工区では斜坑、先進坑、本坑の掘削、長野工区では斜坑の掘削を進めるとともに、品川駅及び名古屋駅では地中連続壁や工事桁を施工したほか、山岳トンネル、都市部非常口等で工事を着実に進めました。加えて、昨年10月に中央新幹線品川・名古屋間の大深度地下使用の認可を受けました。引き続き、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視して着実に取り組みます。 一方、山梨リニア実験線においては、営業線仕様の車両及び設備により、2編成を交互に運用して、引き続き長距離走行試験を実施することなどにより、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた実証等を進めるとともに、超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みました。また、「超電導リニア体験乗車」を引き続き計画的に実施し、多くの方々に速度500km/h走行を体験していただき、累計参加者数は10万人を超えました。 海外における高速鉄道プロジェクトへの取組みについては、米国テキサスプロジェクトの事業開発主体に対し、現地子会社「High-Speed-Railway Technology Consulting Corporation」による技術仕様策定等の技術支援を進めたほか、現地子会社「High-Speed-Railway Integration Corporation」を設立し、日本側企業とともにプロジェクトのコアシステム受注の契約に向け、事業開発主体との協議等準備活動を行いました。また、引き続き超電導リニアシステムを用いた米国北東回廊プロジェクトのプロモーション活動を推進しました。加えて、台湾高速鉄道において技術コンサルティングを進めました。さらに、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを推進しました。 鉄道以外の事業については、JRセントラルタワーズとJRゲートタワーを一体的に運営し、積極的な営業・宣伝活動を行うことで、収益の拡大を図りました。また、流通事業の活性化や駅商業施設のリニューアルを行い、競争力、販売力の強化に努めました。 さらに、経営体力の一層の充実を図るため、安全を確保した上で設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化の徹底に取り組みました。 上記の結果、当期における全体の輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、前期比2.4%増の657億3千6百万人キロとなりました。また、営業収益は前期比3.1%増の1兆8,781億円、経常利益は前期比8.4%増の6,326億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比10.9%増の4,387億円となりました。 これをセグメントごとに示すと次のとおりです。 @運輸業 東海道新幹線については、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を着実に進めました。地震対策については、より安全性の高い方式に改めた脱線防止ガードの敷設を進めるなど、東海道新幹線全線を対象にした脱線・逸脱防止対策に取り組みました。また、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、お客様のご利用の多い時期や時間帯に、需要にあわせたより弾力的な列車設定に努め、多くのお客様にご利用いただきました。さらに、N700A(3次車)の投入、既存車両に地震ブレーキの停止距離短縮等の3次車の特長を反映させる改造工事を進めるとともに、N700S確認試験車により、加速性能やブレーキ性能等の確認のための16両編成及び8両編成の基本性能試験や、バッテリ自走システムによる基本性能試験を行ったほか、長期耐久試験を開始しました。加えて、可動柵について、新大阪駅20〜26番線ホームへの設置工事を進めるなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。 在来線については、名古屋工場の耐震化等に加え、橋脚の耐震補強等の地震対策を引き続き進めるとともに、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。また、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせ弾力的に増発や増結を行いました。さらに、車種や両数が様々であるという当社の実情に適合した可動柵の開発を進め、金山駅での実証試験を完了し、金山駅東海道本線ホームへの設置に向けた準備を行いました。加えて、内方線付き点状ブロックへの取替を進め、乗降3千人以上の駅で整備を完了しました。そのほか、新型車掌携帯端末を活用し特急列車等の車内改札方法の変更を行うなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。なお、「平成30年7月豪雨」により被災した高山本線について、早期復旧に取り組み、昨年11月21日に全線での運転を再開しました。 新幹線・在来線共通の取組みとしては、車両や設備の異常を早期に発見し、対応を迅速化するためのさらなる取組みを進めるとともに、自然災害や不測の事態等の異常時に想定される様々な状況に対応すべく実践的な訓練等を実施しました。また、地震対策として、駅の吊り天井の脱落防止対策を進めました。さらに、当社ホームページにおける各列車の走行位置や遅延状況等の詳細な運行情報の提供や、Twitterによる運行情報の配信等を開始しました。 営業施策については、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスである「エクスプレス予約」及び「スマートEX」をより多くのお客様にご利用いただくために積極的な宣伝活動を行うとともに、「EXのぞみファミリー早特」をはじめとした観光型商品等の販売促進に取り組み、幅広く需要の喚起を図りました。また、京都、奈良、東京、飛騨、伊勢志摩等の観光資源を活用した各種キャンペーンやこれと連動した旅行商品を設定しました。さらに、JR6社で行う「愛知デスティネーションキャンペーン」を通じて、自治体や旅行会社等と連携し、魅力ある観光素材・商品の開発や観光列車の運行等に取り組むとともに、「Japan Highlights Travel」、「Shupo」等を通じて地域との連携を強化し、お客様のご利用拡大に努めました。加えて、訪日外国人の利便性向上を図るため、在来線への駅ナンバリング導入、東海道新幹線や特急「ひだ」における無料Wi-Fiサービスの提供開始、特急「ひだ」車内の和式トイレの一部の洋式化を行ったほか、タブレット端末やスマートフォン等を活用した駅・車内における英語放送の充実に努めました。また、TOICAについては、3月に3路線、18駅に導入するなどご利用エリアを拡大しました。 当期における輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、東海道新幹線は前期比2.8%増の562億7千7百万人キロ、在来線は前期並みの94億5千9百万人キロとなりました。 バス事業においては、安全の確保を最優先として顧客ニーズを踏まえた商品設定を行い、収益の確保に努めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比2.6%増の1兆4,613億円、営業利益は前期比6.7%増の6,648億円となりました。 A流通業 流通業においては、「タカシマヤゲートタワーモール」において開業1周年キャンペーンを開催するとともに、「ジェイアール名古屋タカシマヤ」と「タカシマヤゲートタワーモール」が連携して、顧客ニーズを捉えた営業施策を展開することで、収益力の強化に努めました。また、駅構内の店舗においてリニューアルを実施したほか、品揃えの拡充等を通じて競争力を高めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比3.8%増の2,649億円、営業利益は前期比17.2%増の96億円となりました。 B不動産業 不動産業においては、「東京駅一番街」の飲食店エリア内に「東京グルメゾン」、新富士駅に「アスティ新富士」を開業したほか、静岡駅ビル「パルシェ」の「食彩館」でリニューアルを実施するなど、競争力、販売力の強化に取り組みました。また、社宅跡地の開発において、岐阜市内の分譲マンション「セントラルガーデン・レジデンス岐阜加納」及び分譲宅地の第2期、愛知県刈谷市内の分譲マンション「セントラルガーデン・レジデンス刈谷」の販売を進め、完売しました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比5.3%増の821億円、営業利益は前期比9.4%増の202億円となりました。 Cその他 ホテル業においては、魅力ある商品の設定や販売力強化に取り組むとともに、海外からのお客様のニーズも踏まえたより高品質なサービスの提供に努めました。 旅行業においては、京都、奈良、東京、飛騨、伊勢志摩等の各方面へ向けた観光キャンペーン等と連動した魅力ある旅行商品を積極的に販売しました。 鉄道車両等製造業においては、鉄道車両や建設機械等の受注・製造に努めました。 上記の結果、当期における営業収益は前期比0.2%減の2,610億円、営業利益は前期比21.9%増の161億円となりました。 次期については、引き続き鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策、土木構造物の大規模改修工事等を着実に進めます。また、N700A(3次車)の投入完了による東海道新幹線全列車の最高速度285km/h化に合わせ、「のぞみ12本ダイヤ」を令和2年春に実現するなど、さらなる輸送サービスの充実に取り組みます。加えて、令和2年7月に予定している次期新幹線車両N700Sの営業運転開始に向けた準備を進めるほか、ハイブリッド方式による在来線次期特急車両の試験走行車を新製し、走行試験を開始します。超電導リニアによる中央新幹線計画については、安全、環境、地域との連携を重視して、着実に進めます。高速鉄道システムの海外展開についても着実に推進するとともに、関連事業については、JRセントラルタワーズとJRゲートタワーの一体的な運営をさらに充実させ、相乗効果を発揮することで、収益拡大を図ります。こうした各種課題を着実に進めるため、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。 次期の業績予想については、以下のとおりとします。 売上高 1兆8,910億円 (当期比0.7%増) 営業利益 6,760億円 (当期比4.8%減) 経常利益 5,990億円 (当期比5.3%減) 親会社株主に帰属する当期純利益 4,160億円 (当期比5.2%減) (2)当期の財政状態の概況 期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ308億円減の7,516億円となりました。また、長期債務残高は、前期末と比べ50億円減の4兆8,511億円となりました。 @営業活動によるキャッシュ・フロー ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移し、当社の運輸収入は増加したものの、法人税等の支払額が増加したことなどから、営業活動の結果得られた資金は前期比92億円減少し、6,003億円となりました。 A投資活動によるキャッシュ・フロー 前期に中央新幹線建設長期借入金1兆5,000億円を信託したこととの比較などから、投資活動の結果支出した資金は前期比1兆789億円減少し、5,975億円となりました。 B財務活動によるキャッシュ・フロー 前期に中央新幹線建設長期借入金1兆5,000億円の借入を実施したこととの比較などから、財務活動の結果支出した資金は前期比1兆4,684億円増加し、336億円となりました。 (3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 当社は、社会的使命の強い鉄道事業を経営の柱としていることから、長期にわたる安定的な経営基盤の確保・強化に取り組むとともに中央新幹線計画等の各種プロジェクトを着実に推進するため内部留保を確保し、配当については安定配当を継続することを基本方針としております。 この方針に基づき、当期の期末配当については、ビジネス、観光ともに輸送量が順調に推移したことなどを踏まえ、本年1月に公表した配当予想1株当たり70円を5円増額し、75円とさせていただく予定です。 また、次期の配当については、上記の基本方針に則って実施していく予定です。配当支払いについては、従来どおり毎年3月31日及び9月30日を基準日とする年2回の配当を継続することとし、変更は予定しておりません。 2.経営方針 (1)会社の経営の基本方針 当社は、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念のもと、鉄道事業において、安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させることに加え、大動脈輸送を二重系化する中央新幹線の建設により、「三世代の鉄道」を運営するということを使命としており、これを長期にわたり安定的に果たし続けていくことを基本方針としています。 当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の収益力強化を図ります。 (2)中長期的な会社の経営戦略 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、経営基盤の強化を図りながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。 東海道新幹線については、これまで安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めてきました。今後についても、安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き東海道新幹線全線を対象とした脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を推進するとともに、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を着実に推進します。また、「のぞみ10本ダイヤ」による弾力的な列車設定に取り組むとともに、N700A(3次車)の投入を完了し、N700Aタイプへの車種統一を行います。加えて、車種統一に伴う全列車の最高速度285km/h化に合わせ、「のぞみ12本ダイヤ」を令和2年春に実現するほか、次期新幹線車両N700Sについて確認試験車の走行試験や営業車両の投入準備を行うなど、東海道新幹線のさらなる輸送サービスの充実に向けて取り組みます。超電導リニアによる中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線は開業から50年以上が経過し、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、中央新幹線の建設の推進を図るため、財政投融資を活用した長期借入を行ったことを踏まえ、まずは品川・名古屋間の工事を進め、開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に着手し、早期の全線開業を目指して、取組みを進めます。 また、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、建設・運営・保守など全ての場面におけるコストについて、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的に圧縮して進めるとともに、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応していく考えです。 鉄道以外の事業においても、「会社の経営の基本方針」に則り、諸施策を着実に推進することにより、グループ全体の収益力の強化に取り組みます。 (3)会社の対処すべき課題 当社グループは、「会社の経営の基本方針」に基づき諸施策を推進しています。重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。 鉄道事業においては、安全・安定輸送の確保を最優先に、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策について脱線防止ガードの全線への敷設を進めるとともに、駅の吊り天井の脱落防止対策や名古屋工場、在来線の高架橋柱等の耐震化等の地震対策を進めます。また、東海道新幹線の大規模改修工事についても着実に進めます。さらに、台風や豪雨等により列車運行に大きな影響が予想される場合に、安全を最優先に、早期に抑止することを含めて適切な運行計画を決定し、抑止後には速やかな運転再開を行うとともに、より迅速かつ的確な案内情報の提供に取り組むほか、自然災害や不測の事態等の異常時に想定される様々な状況に適切に対応するため、実践的な訓練を繰り返し実施します。加えて、G20大阪サミット、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開催にあたり、関係機関と提携し、駅や車内等における安全の確保及び円滑な輸送の提供に努めます。 東海道新幹線については、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、お客様のご利用の多い時期や時間帯に、需要にあわせたより弾力的な列車設定に引き続き取り組みます。また、N700A(3次車)の投入を完了し、N700Aタイプへの車種統一を行うとともに、既存車両に地震ブレーキの停止距離短縮等の3次車の特長を反映させる改造工事を完了します。さらに、車種統一に伴う全列車の最高速度285km/h化に合わせ、「のぞみ12本ダイヤ」を令和2年春に実現します。加えて、次期新幹線車両N700Sについては、地震ブレーキ距離の短縮や状態監視機能の強化等による安全性・安定性の向上やバッテリ自走システム等による異常時対応能力の強化などを実現すべく投入準備を着実に進めます。 在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、引き続き需要にあわせ弾力的に増発や増結を行います。また、東海道本線袋井駅・磐田駅間に開業予定の御厨駅について、建設及び諸準備を進めます。 営業施策については、「エクスプレス予約」及び「スマートEX」の便利さを知っていただき、より多くのお客様にご利用いただけるよう取り組むとともに、「EXのぞみファミリー早特」など観光型商品の販売促進を通じて幅広く需要の喚起を図ります。また、京都、奈良、東京、飛騨等を対象に、魅力ある商品設定や観光キャンペーンの展開に取り組むとともに、「静岡デスティネーションキャンペーン」を通じて、自治体や旅行会社等と連携し、魅力ある観光素材・商品の開発や観光列車の運行等に取り組みます。さらに、海外からのお客様に便利に鉄道をご利用いただけるよう、「スマートEX」の訪日外国人向けサービスのご利用拡大を図るとともに、ラグビーワールドカップ2019日本大会開催による需要も取り込みながら、周遊きっぷ等の販売促進に努めます。加えて、訪日外国人へのご案内の充実を図るため、タブレット端末等を用いた放送や、運行情報を充実させた当社ホームページ等を活用したご案内に努めるほか、無料Wi-Fiサービスの東海道新幹線全車両への導入を完了します。 旅客関連設備については、ホーム上の可動柵について、東海道新幹線では新大阪駅の20〜26番線への設置工事を進め、順次使用を開始するとともに、在来線では、金山駅の東海道本線ホームへの設置工事に取り組みます。また、在来線のホームにおける内方線付き点状ブロックの整備対象を乗降1千人以上の駅に拡大して取替を進めます。在来線駅におけるエレベーターや多機能トイレの設置等バリアフリー設備の整備についても引き続き推進します。 超電導リニアによる中央新幹線計画については、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながらプロジェクトの完遂に向けて、さらなる緊張感を持って着実な推進に取り組みます。また、引き続き、地域との連携を密にしながら、測量、設計、用地取得等を計画的に遂行します。さらに、工事については、工期が長期間に亘り難易度が高い、南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅のほか、山岳トンネル、都市部非常口等について、工事の安全と環境の保全を重視し、引き続きトンネルや非常口の掘削、地中連続壁の構築等の各種工事を着実に進めるとともに、昨年10月の大深度地下使用の認可を受けて、都市部トンネルの掘削に向け、シールドマシンの製作等を行います。加えて、中央新幹線の高度かつ効率的な運営・保守体制の構築に向けて取り組みます。 一方、山梨リニア実験線において、営業線仕様の車両及び設備により、2編成を交互に運用して、引き続き長距離走行試験を実施することなどにより、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた実証等を進めるとともに、さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みます。また、営業車両の仕様策定に向けた改良型試験車を製作するとともに、改良型試験車の投入も見据え必要な走行試験を着実に行う中で、「超電導リニア体験乗車」を実施し、超電導リニアのさらなる理解促進に取り組みます。 高速鉄道システムの海外展開については、米国テキサスプロジェクトの事業開発主体に対し、現地子会社「High-Speed-Railway Technology Consulting Corporation」により技術仕様策定等の技術支援を進めるとともに、現地子会社「High-Speed-Railway Integration Corporation」により、日本側企業とともにプロジェクトのコアシステム受注の契約に向け、事業開発主体との協議を本格化します。さらに、超電導リニアシステムを用いた米国北東回廊プロジェクトのプロモーション活動、台湾高速鉄道における技術コンサルティングを引き続き進めます。また、「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めます。 技術開発の推進については、N700S確認試験車による長期耐久試験や360km/hでの速度向上試験等を行います。また、ハイブリッド方式による在来線次期特急車両の試験走行車を新製し、走行試験を開始します。さらに、状態監視技術等を活用した検査や保守の高度化・省力化、及び設備の維持更新等におけるコストダウンにつながる技術開発を進めるほか、地震や豪雨等の各種災害等に対して、より安全性を高めるための技術開発を実施します。 鉄道以外の事業については、JRセントラルタワーズとJRゲートタワーの一体的な運営をさらに充実させ、相乗効果を最大限に発揮することにより、様々なニーズにお応えし、収益の拡大を図ります。また、流通事業における駅構内の店舗開発や駅ビル事業における駅商業施設のリニューアル等により事業を活性化するとともに、当社所有地の有効活用に取り組み、さらなる収益拡大を図ります。加えて、東京駅において、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え、商業開発を進めます。 地球環境問題については、鉄道本来の地球環境への優位性についてご理解いただく取組みを行うとともに、引き続き大幅な省エネルギーの実現を可能とするN700Aの投入を完了するなどの地球環境保全に資する諸施策を進め、日常の業務遂行にあたっても省資源・省エネルギーに取り組みます。 引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたり、知恵を絞り効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。 3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 当社グループは、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(日本基準)を適用しております。将来の国際会計基準の適用につきましては、我が国における制度適用の状況を踏まえながら検討を進めていく考えです。 ※入力者注:財務諸表は省略いたしました。 |
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