NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.2106 (Re:2104) 2.経営方針 3.会計基準の選択に関する基本的な考え方
ほりうち(ccbu8181) 2017-04-29 21:33:13
2.経営方針
(1)会社の経営の基本方針
 当社は、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念のもと、鉄道事業において、安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させることに加え、大動脈輸送を二重系化する中央新幹線の建設により、「三世代の鉄道」を運営するということを使命としており、これを長期にわたり安定的に果たし続けていくことを基本方針としています。
 当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の収益力強化を図ります。


(2)中長期的な会社の経営戦略
 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、経営基盤の強化を図りながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。
 東海道新幹線については、これまで世界に比類の無い安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めてきました。今後についても、安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き対象を東海道新幹線全線に拡大した脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を推進するとともに、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を着実に推進します。また、「のぞみ10本ダイヤ」による弾力的な列車設定、N700A(3次車)の投入、N700S確認試験車の新製など、東海道新幹線の輸送サービスの一層の充実に向けて取り組みます。
 超電導リニアによる中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線は開業から50年以上が経過し、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、まずは中京圏まで、さらには近畿圏までの実現に向けた様々な取組みを進めます。
 また、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、建設・運営・保守など全ての場面におけるコストについて、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的に圧縮して進めるとともに、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応していく考えです。
 なお、昨年11月に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令に基づき、中央新幹線の建設の推進のため、総額3兆円(予定)の財政投融資を活用した長期借入の申請を鉄道・運輸機構に対して行い、これまでに同機構より、平成28年度に予定していた1兆5,000億円の借入を行い、平成29年度は残りの1兆5,000億円の借入を進めます。
 当社としては、経営の自由、投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定かつ低利の貸付けを受けることにより、経営のリスクが低減され、品川・名古屋間開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大8年間前倒すことを目指して、建設を推進します。
 さらに、鉄道以外の事業においても、「会社の経営の基本方針」に則り、諸施策を着実に推進することにより、グループ全体の収益力の強化に取り組みます。


(3)会社の対処すべき課題
 当社グループは、「会社の経営の基本方針」に基づき諸施策を推進しています。重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。
 鉄道事業においては、安全・安定輸送の確保を最優先に、対象を全線に拡大した東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策、在来線の高架橋柱等の耐震化、名古屋工場や駅舎等の建替・耐震補強工事、新幹線や在来線駅の天井の脱落対策等の地震対策に取り組みます。また、引き続き東海道新幹線の大規模改修工事、在来線の落石対策、踏切保安設備改良等の構造物等の設備の改修・更新を進めるほか、自然災害等へより適切に対処するため、実践的な訓練を繰り返し実施するなど取り組みます。
 東海道新幹線については、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、お客様のご利用の多い時期や時間帯に、需要にあわせたより弾力的な列車設定に引き続き取り組みます。また、N700A(3次車)の投入を引き続き進めるとともに、既存車両に地震ブレーキ停止距離の短縮等の3次車の特長を反映させる改造工事に着手します。また、更なるセキュリティ向上を図るため実施してきた、N700Aの客室内等への防犯カメラ増設工事を完了します。
 在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせ弾力的に増発や増結を行います。また、東海道本線(岡崎駅〜豊橋駅間)において、お客様の利便性のさらなる向上を図るとともに、ご利用状況にあわせた効率的な体制を構築するため、本年10月に集中旅客サービスシステムを導入します。
 営業施策については、エクスプレス会員以外のお客様や海外からのお客様にもご利用いただける新しいネット予約・チケットレス乗車サービス「スマートEX」について、本年9月末にサービスを開始し、ご利用の促進を図ります。エクスプレス予約、プラスEXについては、「EXファミリー早特」など観光型商品の販売促進に継続的に取り組むとともに、「50+」とあわせて観光需要の喚起を図ります。また、京都、奈良、東京、飛騨、伊勢志摩等を対象とした魅力ある商品設定や観光キャンペーンの展開、沿線イベント等を活用した商品の設定、海外からのお客様を対象とした商品販売の促進やご案内強化など、積極的に営業施策に取り組みます。
 旅客関連設備については、ホーム上の可動柵について、東海道新幹線の品川駅、新横浜駅において、追加設置する可動柵の使用を開始するとともに、在来線については、車種や両数が様々であるという当社の実情に適合した可動柵の開発を進め、金山駅での実証試験に向けて取り組みます。また、在来線のホームにおける内方線付き点状ブロックへの取替について、乗降5千人以上の駅での取替計画を3年前倒して完了します。在来線駅におけるエレベーターや多機能トイレの設置等バリアフリー設備の整備についても引き続き推進します。
 超電導リニアによる中央新幹線計画については、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながらプロジェクトの完遂に向けて着実に取り組みます。引き続き、地域との連携を密にしながら、測量、設計、用地取得等を計画的に遂行するとともに、工事については、工期が長期間に亘り難易度が高い、南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅をはじめ、必要な準備が整ったところについて、工事の安全と環境の保全を重視し、トンネル掘削、地中連続壁工等の各種工事を着実に進めます。また、中央新幹線の高度かつ効率的な運営・保守体制の構築に向けて取り組みます。さらに、資金面では、中央新幹線の建設の推進のため、財政投融資を活用した長期借入について、平成28年度から2年間で予定していた3兆円のうち、平成29年度は残りの1兆5,000億円の借入を進めます。
 一方、山梨リニア実験線において、営業線仕様の車両及び設備により、2編成を交互に運用して、引き続き長距離走行試験を実施することなどにより、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた実証等を進めるとともに、さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みます。また、「超電導リニア体験乗車」を引き続き計画的に実施するとともに、会社発足30周年の取組みとして、体験乗車付き子供学習教室を実施します。
 海外におけるプロジェクトについては、米国テキサスプロジェクトの事業開発主体に対し、現地子会社(High-Speed-Railway Technology Consulting Corporation)による技術支援を進めるとともに、超電導リニアシステムの米国北東回廊プロジェクトへのプロモーション活動、台湾高速鉄道における技術コンサルティングの取組みを引き続き進めます。また、「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めます。
 技術開発及び技術力の強化については、N700S確認試験車を新製し、次期営業車両に反映する新技術の最終確認を行うための走行試験の準備を行います。また、状態監視技術等を活用した検査や保守の高度化・省力化や、大規模改修工事、地震対策、設備の維持更新等におけるコストダウンにつながる技術開発をさらに進めるほか、土砂災害等の各種災害により的確に対応するための技術開発を実施します。
 鉄道以外の事業については、本年4月に全面開業したJRゲートタワーの各事業を軌道に乗せるとともに、JRセントラルタワーズと一体的に運営を行い、既存事業も含め魅力あるサービスを提供し、収益の拡大を図ります。また、駅ビル事業や流通事業の活性化、当社所有地の有効活用等の事業推進に取り組むなど、当社グループとして一層の収益力向上、競争力強化に取り組みます。
 地球環境問題については、鉄道本来の地球環境への優位性をアピールするとともに、引き続き大幅な省エネルギーの実現を可能とするN700Aの投入等の地球環境保全に資する諸施策を進め、日常の業務遂行にあたっても省資源・省エネルギーに取り組みます。
平成29年度は会社発足30年の節目を迎える年であることから、お客様をはじめこれまで当社を支えていただいた方々に感謝するとともに、これからも日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献するという決意を新たに、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたり、知恵を絞り効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。


3.会計基準の選択に関する基本的な考え方

 当社グループは、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(日本基準)を適用しております。将来の国際会計基準(IFRS)の適用につきましては、我が国における制度適用の状況を踏まえながら検討を進めていく考えです。


※入力者注:財務諸表については掲載を省略させていただきます。