ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2010-06-27 21:57:10 |
東京堂出版から、「鉄道・路線廃止と代替バス」の発刊案内が参りましたのでここにご紹介いたします。なお、内容から本館「NEWS RELEASE:全般」「メディアプラザ」とともに倶楽部鉄道フォーラムの「バス」「公共交通談話室」でもご案内いたします。
鉄道フォーラム・マネジャー 伊藤 博康 鉄道・路線廃止と代替バス ローカル線は先人から受け継いだ地域の財産 可部線、くりはら田園鉄道、鹿島鉄道、三木鉄道、西鉄宮地岳線… 不採算を理由に廃止された鉄道の代替バスに乗り、鉄道とバスでのサービスの比較、その利用状況、地域交通が抱える問題点と影響を鋭く考察する。 廃止後の現況を克明に紹介 (本書「おわりに」より) 鉄道の価値を評価する場合、従来は採算性や利用者数だけで評価していたが、これからは社会的便益も加味して評価する必要がある。(略)鉄道は「地域のインフラ」と位置づけ、街づくり・地域づくりの明確などジョンを持って、今、存続している鉄道の活性化に取り組んでほしいものである。 タイトル: 鉄道・路線廃止と代替バス 著 者: 堀内重人 発 行 所: 株式会社東京堂出版 定 価: 本体2,000円+税 初版発行: 平成22年4月30日 図書符号: ISBN978-4-490-20696-8 〔著者略歴〕堀内重人(ほりうち・しげと) 1967年(昭和42)生まれ。立命館大学経営学研究科博士前期課程修了。運輸評論家として、執筆や講演活動、ラジオ出演などを行う傍ら、NPOなどで交通問題を中心とした活動を行う。日本交通学会、公益事業学会、日本海運経済学会、交通権学会、日本モビリティ・マネジメント会議、日本環境教育学会、海外鉄道研究会会員、滋賀県地球温暖化防止活動推進員。 著書に、『都市鉄道と街づくり−東南アジア.北米西海岸・豪州の事例紹介と日本への適用−』(文理閣)、『高速バス』(グランプリ出版)、『廃線の危機から蘇った鉄道』(中央書院)など。共著に、『モノレールと新交通システム』(グランプリ出版)など。査読付き論文に、「台北市における軌道系交通の現状と展望」(「運輸と経済』)、「競争市場ある台湾の高速バスの現状と将来性」(『高速道路と自動車』)、「第三セクター鉄道活性化への一考察」(『都市問題』)、「内航海運業界におけるコンテナ船の現状とモーダルシフトへの課題」(『交通権』)、「滋賀県のデマンド型交通の現状とMMを通した活性化の模索−湖北町の「こはくちょうバス」の活性化を通して−』(『公益事業研究』)などがある。 はじめに 鉄道からバスへ転換された路線の現状を報告するため、本著は「給論」と「各論」の2部構成とする。第T部は「総論」として、国鉄改革と鉄道事業法の改正による規制緩和、そしてそれに伴う、事業者の変更による生き残りの模索を中心に述べる。 鉄道からバスへの転換を語る場合、「国鉄改革」と「鉄道事業法の改正による規制緩和」を抜きにしては語れない。国鉄の分割民営化を実施するに際し、輸送密度が低い路線は特定地方交通線と位置づけられ、国鉄から切り離してバス化が望ましいとされた。特定地方交通線の廃止は、第一次、第二次、第三次というように3段階に分けられ、中には第三セクター鉄道として再出発した路線もあったが、大半はバスへ転換された。一度は第三セクターとして存続した神岡鉄道や三木鉄道、北海道ちはく高原鉄道などは、その後の利用者の減少に伴い、バス化されてしまった。 [中略] 一般的に鉄道を廃止してバス化されると、運賃は値上げされ、定時運行ができなくなり、利用者が減少するパターンが多い。もし片道運賃は鉄道時代と同額に据え置かれたとしても、通勤・通学定期券が大幅に値上げされることが多いため、利用者は確実に減少する。中には、利用者の減少に歯止めがかからず、最終的には代替バスすら廃止され、公共交通空白地城が生じてしまう例もある。 そんな中、くりはら田園鉄道の廃止代替バスは、鉄道時代には最高1,020円であった運賃を、最高でも500円に値下げした。このように鉄道時代よりも割安にして利用を促進しようとしている事例もある。 そこで本稿の第U部では、鉄道事業法が改正された2000年3月以降に廃止された鉄道路線の代替バスについて10の事例を紹介する。その中では、鉄道時代と比較してサービスや利用状況がどのように変わったかを説明したい。 2010年4月 堀内重人 鉄道・路線廃止と代替バス●目次● はじめに 1 第I部 鉄道廃止と地域への影響 【1】国鉄改革 10 1 国鉄再建法の成立 (1)国鉄再建法によるローカル線の切り捨て 10 (2)国鉄民営化に向けた第2臨調の設置 12 2 国鉄の分割民営化 (1)国鉄改革の実行と背景 14 (2)鉄道事業法の概要 15 3 第三セクター鉄道 (1)第三セクター鉄道の概要 16 (2)第三セクター鉄道の経営状況 18 (3)廃止および転換された路線のその後 18 【2】鉄道事業法改正による規制緩和 34 1 需給調整規制の撤廃による影響 (1)国の基本方針 34 (2)独立採算制の行き詰まり 36 2 公的補助システムの問題点 (1)国による公的補助の概要 38 (2)国庫補助の問題点 40 (3)地方自治体による公的補助の問題点 44 3 地域公共交通活性化再生法 (1)法案成立の背景 48 (2)地域公共交通活性化再生法の成立で何が変わったのか 49 【3】事業者の変更による生き残り 12 1 大手民鉄から中小民鉄への譲渡 (1)三枝鉄道北勢線 52 (2)和歌山電鐵貴志川線 57 2 民鉄から第三セクター鉄道へ (1)万葉線 62 (2)ひたちなか海浜鉄道 66 3 大手民鉄出資の子会社への移管 (1)養老鉄道 71 (2)伊賀鉄道 75 第U部 最新10例に見る代替バスの現況 【4】長野電鉄河東線の廃止代替バス(2002年廃止) 82 1 長野電鉄の概要 (1)長野電鉄の歴史と現状 32 (2)河東線の歴史 88 2 長電バスの現状 (1)長野電鉄のバス事業 94 (2)廃止代替バスの概要 95 【5】京福電鉄(現:えちぜん鉄道)永平寺線の廃止代替バス 103 1 京福電鉄から、えちぜん鉄道へ (1)京福電鉄の正面衝突事故 103 (2)えちぜん鉄道の誕生 107 2 廃止代替バス (1)京福バス永平寺・東尋坊線 112 (2)永平寺特急バス 114 【6】可部線の廃止代替バス(2003年廃止)117 1 可部線の概要 (1)可部線の歴史 117 (2)横川〜可部間の現状 121 2 廃止代替バス (1)急行バス・在来バス 123 (2)高速バス 128 (3)可部線廃止後の代替バス(急行バス・ローカルバス)の現状 130 3 鉄道復活に向けた市民の動き (1)太田川鉄道 132 (2)可部〜河戸駅間を電化・復活 137 (3)鉄道として復活させるには、何が必要か 139 【7】名古屋鉄道三河線の廃止代替バス(2004年廃止) 142 1 名鉄三河線 (1)三河線の現状 142 (2)廃止された区間 145 2 とよたおいでんバス (1)とよたおいでんバスの概要 150 (2)廃止代替路線であるさなげ足助線の現状 151 3 ふれんどバス (1)ふれんどバスの概要 152 (2)ふれんどバスの現状 153 【8】日立電鉄の廃止代替バス(2005年廃止)156 1 日立電鉄と地元の存続運動 (1)日立電鉄の歴史 156 (2)日立電鉄当時の状況 159 (3)地元高校生の存続活動 162 2 日立電鉄交通サービスバスの現状 (1)会社の概要 165 (2)廃止代替路線8、9、90系統の現状 167 (3)廃止後の利用状況 170 【9】鹿島鉄道の廃止代替バス(2007年廃止)171 1 鹿島鉄道の歴史とかしてつ応援団 (1)鹿島鉄道の歴史 171 (2)沿線住民による存続運動 174 2 関鉄グリーンバスの現状 (1)運賃,運行本数 175 (2)かしてつバス応援団 177 (3)乗車した感想 180 (4)BRT構想 184 【10】西鉄宮地岳線(現:貝塚線)の廃止代替バス(2007年廃止) 188 1 西鉄貝塚線の現状 (1)宮地岳線の廃止区間 188 (2)貝塚線への名称変更 192 2 代替バスの現状 (1)JR福間駅経由 195 (2)都市高速経由天神行き 197 【11】くりはら田園鉄道の廃止代替バス(2007年廃止)199 1 くりはら田園鉄道の概要 (1)沿革と第三セクター化 199 (2)くりでん応援プロジェクト 207 2 ミヤコーパス (1)ミヤコーバスの業務内容 209 (2)廃止代替バスの現状 210 【12】島原鉄道の廃止代替バス(2008年廃止)216 1 島原鉄道の概要 (1)沿革 216 (2)現状 220 2 島原鉄道バスの現状 (1)バス事業の概要 223 (2)沿線住民の対応 228 (3)サービスなど 230 【13】三木鉄道の廃止代替バス(2008年廃止)233 1 三木鉄道の廃止 (1)三木鉄道の沿革 233 (2)廃止を決定づけた市長選挙 235 2 神姫バスの概要 (1)神姫バスの事業 239 (2)廃止代替路線の概要 242 おわりに 248 参考文献/参考論文/インターネット 252 |
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