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No.640 【落語】 大阪・繁昌亭で鉄道落語の会
まるよし(cfcd3435) 2008-12-18 00:59:02
みなさん、こんにちは。福井のまるよしです。

※この話題、ここでいいんでしょうか? 不適切でしたら、ご指導ください。

 上方落語唯一の常打ち小屋である大阪天満天神繁昌亭において、去る16日(夜席)、「『鉄』の世界」と銘打った落語会が催されましたので、鑑賞してきました。
 これは、上方落語界きっての鉄道マニアである、桂梅團治・桂しん吉の両人による二人会です。梅團治さんは撮り鉄、しん吉さんは乗り鉄なのだそうで、昨年に続いて二回めの企画だそうです。昨年はこういう会があるのを知らず、聴くことができませんでした。

 前半は「趣味の演芸」と題して古典落語です。
 前座の笑福亭松五さんは枕で、この間小学校に招かれて子どもに落語を聴かせたり落語のしぐさを教えたりする講座をやってきた、帰りに校長先生が「公立学校は予算が少ないので交通費程度しか出せない」と恐縮しながら封筒を渡してくれた、それでも一万円やそこら入っているだろうと期待して、帰宅後開けてみたら、スルッとKANSAIカードが一枚入っていた、本当に交通費だった、という話をしました。
 この調子で、この日の枕は全て鉄道絡みの話です。両人の出囃子も、いつものものとは違い、この日は「汽車」「汽車ぽっぽ」「はしれ!  ちょうとっきゅう」などのメロディが三味線で奏でられました。
 梅團治さんとしん吉さんも一席ずつ古典を演ったところで仲入です。

 客席は八割方が埋まっていましたが、落語そのものの愛好者や普段からの両人の贔屓筋が半分、鉄道マニアでちょっと落語にも興味がある人(わたしなど)が半分、といった感じでした。中には、電車好きの子供に、この機会に落語を聴かせてみよう、という親の意図でしょう、夜席には珍しい家族連れの姿もいく組かあります。

 後半は「本気の鉄」と題して、鉄道に関する創作落語のコーナーとなりました。

 しん吉さんの噺は、平凡なサラリーマンが飲み会の帰りにふらりと立ち寄ったスナックが、実は「鉄子」のママが切り盛りする「鉄道スナック」だった、というものです。
 カシスオレンジを注文すると、ママに「はい、カシス今里筋線ね」と返され、悩みがある、と言うと、「環状線の103系が減ってきたのが悲しいんでしょう」と見当違いのことを言われ、このところ仕事が忙しい彼女との擦れ違いを口にすると、「あなたは暇な四つ橋線、彼女は忙しい御堂筋線てわけね。でも大丈夫、大国町で会えるから」とわけの分からないたとえとアドバイスに翻弄されます。
 そこへ常連客も入ってきて、いよいよディープな世界に入っていき…、という噺ですが、あまり創作落語のギャグの全貌やサゲをばらすのはルール違反でしょうからこのへんで。ともかく、それほど鉄道に詳しくなくても大阪の人なら笑える範囲のギャグに、と配慮してありました。

 梅團治さんは逆に、鉄道マニアだけれど落語に詳しくない人のための噺で、落語の小道具やしぐさの基本を隠居と八五郎(古典「千早ふる」の登場人物)の、鉄道の話も折り込まれた会話により解説してくれます。
 この噺のクライマックスは、隠居に扮した梅團治さんが、大阪から下関まで在来線の全駅を言っていくところです。概ねスムーズにいったのですが、最後の方で梅團治さんが「新下関」を「新山口」と言い間違いました。すると即座に客席のあちこちから、「違う!」と声がとびました。

 最後に、梅團治さんがこの一年間に撮りだめた写真を観ながら両人がトークするスライドショーが行われました。梅團治さんは俯瞰撮影がお好きなようで、海をバックに高架線を行く0系6連「こだま」の編成全体をとらえた写真、須磨駅付近を通過する「なは」「あかつき」編成の廃車回送を山上から須磨駅の全景と砂浜をバックに撮った写真、など、あまり見かけない構図のものを含め、二十枚の写真を見せてくれました。

 来年もやるかどうかは未定だそうですが、大変楽しませてもらいました。


まるよし(中村よしひで)
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