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No.326 (Re:323) 【鉄道友の会】2008年ローレル賞 車両の解説・選定理由(2)
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2008-06-16 23:16:56
2008年6月16日
鉄道友の会

東日本鉄道旅客鉄道 キハE200形

 東日本旅客鉄道キハE200形は、営業用車両としては世界初のハイブリッド気動車で、現在は、勾配路線として知られる小海線で使用されています。この車両は、ディーゼルエンジンで発電機を駆動し、バッテリーからの電力のアシストにより、VVVFインバータ制御の誘導電動機を駆動させる「シリーズ式ディーゼルハイブリッドシステム」を採用しています。また、回生ブレーキにより発生した電力はバッテリーに充電され、発進時に放電することにより加速を手助けする仕組みとしています。さらに、バッテリー電力で発進した後、ある程度の速度以上になってからエンジンを起動させ、駅停車時にはエンジンを停止し、サービス機器などに必要な電力はバッテリーから供給するため、気動車でしばしば問題になる駅停車中や発進時のエンジン騒音から解放され、加速時の黒煙発生も抑制されました。
 このように、キハE200形は、走行状態や蓄電状況に応じて、きめ細かくエンジンとバッテリーの負担割合を変化させることにより、燃費向上・排ガス低減・騒音低減を実現しました。現在使用されている小海線のように、勾配が多く路線条件の厳しい線区においても、ハイブリッドシステムによる効果は十分発揮されており、今後の展開に期待が持たれます。
 電化区間では、ブレーキ時に発生する電力を架線に戻す回生ブレーキの有効活用もあって、近年、省エネルギー化が急速に進んでいますが、この車両が登場した結果、バッテリーを搭載したディーゼルハイブリットシステムを用いることにより、非電化区間でも同様の効果による省エネルギー化が期待できるようになりました。また、機械部分が多かった従来の気動車に対して、機器類は電車用と共通化を図ることにより、メンテナンス性の向上もめざしています。さらに、ハイブリッドシステムのディーゼル発電部分を将来、燃料電池など新しいエネルギー源に置き換えることにより、さらなる展開も期待できます。したがって、将来の非電化区間の鉄道のあり方を一変させる可能性を秘めた車両と位置づけられます。
 以上のように、「環境世紀にふさわしい最新技術を用いたハイブリッド気動車の実現」という特徴が、選考委員会において評価されたことから、ローレル賞に選定しました。