ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2012-01-07 23:44:28 |
株式会社交通新聞社
書 名 : 交通新聞社新書029 「満鉄」という鉄道会社 証言と社内報から検証する40年の現場史 発行日 : 2011年6月15日 第1刷発行 著 者 : 佐藤篁之 写真提供: 満鉄会、冨 祐次 イラスト: 町田七音 地図製作: 中野商店 発行者 : 山根昌也 発行所 : 株式会社交通新聞社 http://www.kotsu.co.jp/ 印刷・製本:大日本印刷株式会社 図書符号: ISBN978-4-330-21411-5 まえがき かつて、満鉄(南満洲鉄道)という鉄道があった。 [中略] ところが、およそ40年間にわたって走ったこの満鉄というものが実はよく分からない。「赤い夕日の大平原を疾走する弾丸列車」−満鉄が誇った東洋の超特急「あじあ」号、新幹線のアイデア原案ともいわれるこの列車での旅を想像しながら、何冊もの満鉄本を手に取っても、結局その姿はますます漠然としてきてしまう。 [中略] この会社はもちろん、その名称の通り「鉄道」でありながら、決してその枠には収まり得ない存在でもあった。 実際、経営路線の周辺地を独自の都市計画で開発し、鉄道隣接のホテル・リゾートを経営し、シンクタンクの原型ともいう大調査部門を持ち、東洋最大の炭鉱と製鉄所を稼働させ、大連という国際貿易港・埠頭で貿易を行う−あまりに広がるある種の超多角経営が、満鉄そのものの姿を見えにくくする原因ではないか。そんな疑問が、筆を持つ最初のきっかけとなった。 [中略] 戦後、日本へと引き揚げてきたその関係者が作った全図組織を財団法人満鉄会といい、改組して任意団体となった同名の満鉄会がいまも活動を続けている。同会には満鉄社員会の発行誌であり刊行数300号を超える『協和』を始め、関連の各種資料が集積されているのだ。これとともに幾人かの満鉄1世・2世の方の声を拾うことで、当初のもくろみに似たものをどうにか形とすることができた。それがこの1冊である。 [中略] 鉄道に興味を持つ人間の誰もが、ほのかな憧れと郷愁とを感じずにはいられない、“幻”となってしまった日本の鉄道「満鉄」。そのせめて外縁なりとも、この本の中から現れてくれることを望んでやまない。 佐藤篁之 佐藤篁之(さとう・ひろやす) 岩手県九戸郡出身。慶應義塾大学文学部仏文学専攻科卒業後、ヨーロッパ、ユーラシアなどの音楽、旅行、文化等ユマニスム系の取材・原稿執筆を中心にキャリアを重ね、近年は社会インフラ、ビジネス、環境等ヘ興味の対象を広げる。 目次 はじめに……………3 第1章 満鉄とその列車たち ◆満鉄のイメージ「あじあ」号…………14 ◆「あじあ」の開発…………18 ◆「あじあ」の旅…………21 ◆大陸を駆けた満鉄の列車たち…………26 ◆満鉄車両の名称規則−機関車…………30 ◆満鉄車両の名称規則−客車など…………32 ◆満鉄の車両たち…………33 ◆満鉄の車両工場・沙河口…………39 ◆満鉄の車両造りその(1)[金交]鋲(こうびょう)、客車…………44 ◆満鉄の車両造りその(2) 塗裁縫(塗装)、台車、電気…………48 ◆車両修繕の苦労と喜び…………51 第2章満鉄の歴史(1) 1905〜1931年 ◆満鉄(南満洲鉄道)前史…………56 ◆満鉄誕生…………59 ◆後藤新平の経営方針と人材集め…………65 ◆満鉄営業開始…………68 ◆初期満鉄の順調な伸張…………75 ◆内紛の伝統始まる…………82 ◆第一次世界大戦による満鉄発展…………84 ◆満鉄、第一次の衰退期へ…………91 ◆爆音で吹き飛んだ満鉄中興の時代…………99 ◆「満洲某重大事件」と満鉄…………104 ◆満洲は中国の東北部へ…………106 第3章 満鉄の歴史(2) 1931〜1947年 ◆忍び寄る悲劇の始まり…………110 ◆満鉄ならではの「慰安列車」と「装甲列車」…………116 ◆満洲国建国と満鉄改組…………131 ◆松岡洋右総裁の時代…………142 ◆戦時へ向かう満鉄…………154 ◆戦時下の満鉄…………164 ◆満鉄最後の日々…………166 第4章 総裁で描く満鉄 ◆満鉄と17代の総裁…………174 ◆初代 後藤新平…………175 ◆2代 中村是公…………180 ◆3代 野村龍太郎…………182 ◆4代 中村雄次郎…………184 ◆5代 国澤新兵衛…………185 ◆6代(再任)野村龍太郎…………187 ◆7代 早川千吉郎…………189 ◆8代 川村竹治…………191 ◆9代 安広伴一郎…………192 ◆10代 山本条太郎…………195 ◆11代 仙石 貢…………200 ◆12代 内田康哉…………202 ◆13代 林博太郎…………205 ◆14代 松岡洋右…………206 ◆15代 大村卓一…………211 ◆16代 小日山直登…………213 ◆17代 山崎元幹…………215 第5章 鉄道会社満鉄の技術とその造った街 ◆鉄道会社としての満鉄…………220 ◆満鉄の鉄道技術拠点…………225 ◆知られざる世界初の技術…………228 ◆満鉄の装甲列車…………231 ◆満鉄が街を造った…………237 ◆満鉄人が触れた街の表情…………240 ◆変化に翻弄される街、大広野から立ち上がる街…………248 おわりに…………252 主要参考文献…………254 満鉄年表…………256 |
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