ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2010-04-15 16:01:15 |
PRODUCTION NOTES
阿部秀司(製作総指揮) インタビュー 大人になっても、夢をもっていい 〜企画・キャスティング そもそも、この企画は、錦織良成監督の出身地、島根を走る「一畑電車」を舞台に、監督がプロットを起こした企画が基になっています。最初のプロットでは、リストラされたサラリーマンが地方私鉄の運転士になってゆくという話だったのですが、ドラマの展開としては少々ありがちなイメージを受けました。むしろ絶好調でサラリーマン生活をおくっている男が、何らかのきっかけで、現在の職を捨て、電車の運転士になるという物語の方が、何故?と、いう興味もわくし、ドラマとしておもしろいんじゃないか。最初のプロットから、ぼくはこの物語の主人公より10歳ばかり上だけど、それの方が、共感できると。ぼく自身、36歳の時に会社を辞めて、独立して、いまの会社を創りましたが、人が職場を変えるという理由には大きくわけて二つの種類があると思うのです。会社が嫌だ、面白くないから辞める。もう一つは、会社はおもしろいんだけど、自分の更なる飛躍のために、または「夢」をかなえるために辞める。周りにインパクトを与えられるのは当然、後者の方で、潔く辞めることで、次に進む勇気が周りを動かしてゆく力になるという体感が有ったんです。 主人公の筒井肇のように大手企業につとめ、取締役寸前の男が、それを捨て、自分が子供の頃憧れていた電車の運転士になるというその想いは、閉塞感のある現代にあっていると思いました。監督、プロデューサーと、何度も議論を重ね、映画らしい、いろいろなハードルを設定しました。プロットから、脚本まで一年近くかけて練りなおし、完成しました。 これほどまでこだわって、鉄道を描いた映画は他にない 〜撮影 ぼく自身、鉄道を知っている分、鉄道をテーマにした映画を撮ることに相当の制約があることはわかっていました。だから、鉄道ファンがこの映画をみても「鉄道のことが解っている!」と、満足していただけるよう、自分のハードルをさらにあげました。 鉄道は、基本的に公共交通機関ですから撮影といえども、通常の運行に支障を与えることはできませんし、そのうえ架線には常に高圧電流が通っていて危険も伴うので、撮影前にはスタッフ全員で安全の確認を入念に行いました。自分の基準の中で、できるだけディテールには凝りたいのですが、今回は走行音も大きな要素です。 今回のもう一つの主人公は、デハニ50形という昭和初期に製造された電車です。吊りかけ式という、現代の電車とは異なる駆動装置で走っています。そのため、走行音がいまの電車とは全く違うのです。その他にも、ブレーキの軋み音や、コンプレッサの音などデハニ独特の個性ある音が発生します。そのため、録音のための専用の電車を走らせていただきました。また、ダビングの際には、撮影時にお世話になった電車テクニカルアドバイザー(この映画ならでは)の方にスタジオまでお越しいただき、細かいチェックまでしていただきました。こういうことも含め、一畑電車の全面協力なくしてこの映画は成立しませんでした。撮影に立ち会っていただくだけではなく、電車の撮影のためには数日前に撮影用のダイヤを組み、関係部署の方々に伝えなければなりません。したがって、そのシーンの撮影が終わると、さらに先のシーンまで数日後のダイヤを組まなければなりません。助監督と、一畑電車の方々で毎日深夜まで組み替えのすり合わせをしていました。 今回の映画はCGを使う予定は無かったのですが、一カ所だけ使いました。それは、運転士の訓練を受ける中井さんのシーン。京王電鉄の訓練センターの撮影は夏。しかし、映画の設定上は冬です。そのため、リアリティーをだすため、中井さんの吐く息を白くしました。 今回の、ロケ地である島根はふしぎな魅力のあるところで、皆さん、行くと、必ず好きになる。スタッフだけでなく、中井さん、高島さんはじめ、初島根という方が多かったのですが、皆さん島根の魅力にハマっていましたね。神話のふるさととも言われていますし、日本の発祥に深く関係している土地ということもあり、人を惹きつける強い力があるのかもしれません。この映画は、多くの地元の方々に協力していただいて出来上がった作品なので、全国の沢山の人に見てほしい。島根の魅力を知ってほしいという思いがあります。そして、『RAILWAYS』という映画を、『男はつらいよ』とか、『釣りバカ日誌』のように、毎回違う場所、地方で鉄道をテーマにした映画としてシリーズ化したいですね。次にやりたい地方の私鉄の候補もあります。 |
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