NEWS RELEASE:全般      3
No.2105 【交通新聞社】新刊:電車基礎講座 “知ってるつもり”から“確かな知識へ”
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2012-03-23 22:46:25
株式会社交通新聞社
 電車基礎講座
 “知ってるつもり”から“確かな知識へ”


 好評の連載記事が 遂に単行本化!

 オールカラーで
 電車のしくみをわかりやすく解説


タイトル: 電車基礎講座 “知ってるつもり”から“確かな知識へ”
発 行 日: 平成24年3月31日初版発行
定  価: 本体2800円+税
著  者: 野元 浩
発 行 人: 江頭 誠
編 集 人: 邑口 亨
発 行 所: 株式会社交通新聞社
印刷製本: 共同印刷株式会社
編集協力: 株式会社クラッセ
カバー・表紙デザイン: 池田哲久
本文デザイン: 田嶋綾子 堀井慶子 増田理絵 有限会社ウルトラート
図書符号ISBN978-4-330-28012-7

まえがき
[前略]5年ほど前,鉄道ダイヤ情報の助川編集長から,鉄道の技術解説の連載を依頼された時,カラーページが使えたこともあり,昔の経験を活かして,初めて鉄道技術に接する人にもわかりやすいように,カラフルなイラストを添えた「きちんと理解できる解説」を書こうと思った。本書は,足かけ4年にわたった連載をベースに,一部構成を見直してまとめたものである。鉄道が好きで,技術についてもきちんと理解したい人にとっての楽しい絵本でもあり,また,これからの鉄道の技術を担う若い方々にとっての自習教材にもなりうるレベルに仕上がったと考えている。
 [中略]本書では,移動体の特性である「走る」「曲がる」「止まる」という3つの要素をテーマとしてまとめたが,鉄道は一つの大きなシステムであり,それぞれが相互に連携してバランス良く構成されて初めて効率の良い鉄道ができあがる。そして,車両はその一つの構成要素であり,地上設備との協調が不可欠である。本書をお読みになる時は,個々の技術にとらわれることなく,車両全体,そして鉄道システム全体を見渡して,その技術がどのように他の技術と関係を持っているのかを考える,そんな視点も合わせて持っていただきたいと思う。なお,題名を「電車基礎講座」としたのは,日本では「電車」に接する機会が多いためだが,基本原理や制御について,機関車や客車などと同一の技術項目については,本書の記述を参考にしていただけると考えている。

2012年3月 野元 浩


【著者紹介】
野元 浩(のもと ひろし)
1954(昭和29)年生まれ。1976(昭和51)年国鉄入社。1979〜1985(昭和54〜60)年,車両設計事務所(電気車)でブラシレスMGや交流回生システムの開発,改造車の電気回路設計などを,1985〜1987(昭和60〜62)年大井工場設計室で改造車やジョイフルトレインの設計を担当。1989〜2001(平成元〜13)年までJR東日本運輸車両部車両課で車体・ぎ装を担当,251系,253系,255系,E351系,E653系の特急車,209系,215系,E217系の通勤・近郊形車の開発に参画。1997(平成9)年頃からは運輸省令の性能規定化の改正,認定事業者制度の創設にも関わる。2001〜2009(平成13〜21)年はJR東日本研究開発センター・先端鉄道システム開発センターで,次世代通勤電車AC Train,ハイブリッドや燃料電池を搭載したNE Train,多目的試験車Mue Trainの開発のとりまとめを行う。2009年からは同センターの環境技術研究所で,蓄電池駆動電車システムを搭載する「NE Trainスマート電池くん」の開発を推進。2011(平成23)年7月から日立製作所に出向し,輸出車両の開発に参画している。

【著者職歴】
1954(昭和29)年生まれ
1976(昭和51)年 芝浦工業大学電気工学科卒業
1976(昭和51)年 日本国有鉄道入社
1979(昭和54)年 車両設計事務所(電気車)電車の電気回路担当
1980(昭和55)年 芝浦工業大学2部機械工学科卒業
1985(昭和60)年 日本国有鉄道大井工場設計室
             改造車両の企画・電気回路担当
1987(昭和62)年 東日本旅客鉄道(株)営業部
1989(平成 元)年 運輸車両部車両課 車体・ぎ装担当
1995(平成 7)年 運輸車両部車両課 課長代理
2001(平成13)年 JR東日本研究開発センター
             先端鉄道システム開発センター副課長
2003(平成15)年 JR東日本研究開発センター
             先端鉄道システム開発センター課長(車両開発)
2009(平成21)年 JR東日本研究開発センター・環境技術研究所次長
2011(平成23)年 (株)日立製作所 笠戸交通システム本部
              車輌システム設計部 担当部長

目次
「走る」
                         5
最初のテーマは,電車が「走る」ための装置。つまり動力源であるモーターとその制御方法についての解説を進める。JR発足から25年が経過したが,発足前後は走るためのシステムにおいても激動の時代だった。直流モーターから交流モーターへ,抵抗制御からVVVFインバータ制御へと大変革を遂げた。その要因となったパワーエレクトロニクスの発展はどうかかわったのか? 鉄道に適すると言われていた直流モーターがなぜ誘導モーターに主役の座を譲ったのか? そんな疑問について,基本的な原理から見つめ直してゆくことにしよう。

I 直流モーター篇                    6
 1 電車に適したモーターとは?             6
 2 基本的な直流モータ一の制御方法〜抵抗制御〜    11
 3 進歩した直流モーターの制御〜電機子チョッパ制御〜 17
 4 進歩した直流モーターの制御〜界磁チョッパ制御〜  29
 5 進歩した直流モーターの制御〜界磁添加励磁制御〜  32

II 交流モーター篇                   38
 1 誘導モータ一実用化の歴史〜1世紀にわたる“三度目の正直”〜 38
 2 交流の基礎知識                  42
 3 誘導モーターとは                 46
 4 誘導モーターを制御する              51
 5 インバータの改良                 58
 6 インダータに使う素子(GTOからIGBTへ)   66
 7 同期モーターの可能性               71

III 交流・交直流車篇                  75
 1 なぜ交流で電化するのか?             75
 2 交流・交直流車の回路構成             78
 3 交流・交直流車で使われる装置           80
 4 交直流車で必要な機器               84
 5 交流区間での回生ブレーキ             86

「曲がる・支える」                   93
このテーマでは,電車がレールの上を走るために不可欠な台車に関わる解説を進める。台車の役割としては,軌道に沿って電車をガイドし曲線をスムーズに「曲がる」ことに加え,何十トンもある車体を安全に「支える」機能を持っている。支えることは,合わせて揺れを緩和することも重要な機能だ。モーターと制御装置に比べると「メカニズム」主体の解説となるが,ふだん何気なく眺めている台車の部品が意外な機能を持っていたりする。また普段は見ることの出来ない内部のメカニズムもイラストで紹介してゆこう。

IV 台車の基礎知識篇                  94
 1 台車と密接に関わる軌道を知ろう          94
 2 台車の構成要素と各部の名前を確認しよう      97
 3 台車構造の変遷                 100

V 台車各部の機能篇                 104
 1 輪軸                      104
 2 軸受                      111
 3 上下の揺れを車体に伝えないための構造      117
 4 左右の揺れを防ぐ構造              126
 5 台車と車体間でのけん引力の伝達         130
 6 積極的に左右の揺れを改善する          133

VI 特別篇 台車製造現場の最前線を見る!       138
 1 輪軸を造る                   138
 2 台車を造る                   143

VII カーブを高速で曲がるための技術篇         147
 1 軌道の構造と通過速度の制限           147
 2 乗り心地を確保するための手段          149
 3 軌道への影響を低減する             158

「止まる」                      163
最後のテ一マは,電車が「止まる」メカニズムであるブレーキについての解説だ。すでにモーターを使った発電ブレーキや回生ブレーキについては,「走る」の項目で解説しているので,ここでは主にブレーキの指令方法と圧力を調整する方法が中心となる。ふだんは目にすることのない弁装置も圧力の変化をカラーの濃淡でわかりやすく表現したので,じっくり眺めていただきたい。さて,電車を高速で走らせるためには強力なモーターを積んで「走る」機能を強化すればよいと思われがちだが,現代の鉄道では,安全性を確保するため,どのような条件でも最高速度から所定の距離で「止まる」機能が絶対条件となっており,ブレーキの性能向上が高速走行のキーとなっているのだ。

VIII 「ブレーキ」の意味と歴史篇           164
 1 鉄道の「ブレーキ」とは             164
 2 鉄道のブレーキの歴史              167

IX 現在使われている各ブレーキ制御の解説篇      170
 1 自動ブレーキ                  170
 2 電磁直通ブレーキ                175
 3 電気指令ブレーキ                185
 4 速度向上に向けたブレーキの取り組み       192

X 基礎ブレーキ篇                  195
 1 車両を減速する方法               195
 2 摩擦材のいろいろ                200
撮影日:
撮影場所:
キャプション:
画像サイズ: 317×424(原寸表示)