ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2016-01-24 00:51:56 |
この書は、寿都に赴任した測候所職員が、現地で聞き取り等の調査をしてまとめた自費出版本です。寿都といえば、我々にとっては寿都鉄道ですが、もちろん収録されています。それも、鉄道趣味者としてではなく、前述の通り郷土史として、聞き取り調査や文献調査をしてまとめた内容だけに趣味誌とは違う角度での興味深い内容も盛り込まれています。
取扱いは、札幌市内のほっとバス(http://www.hotbus.co.jp/ 札幌市中央区北2条西2丁目セコム損保札幌ビル1階)と、amazonでのネット通販程度だということです。 寿都鉄道に興味のある方には、興味深い内容かと思います。 以下、概要とともにすべての目次を記しますが、目次は多いので、寿都鉄道関連の部分は太字にしてあります。 「メディアプラザ」「鉄道歴史談話室」にダブルポストします。 伊藤 博康 書 名 : 寿都五十話 ニシン・鉄道・鉱山そして人々の記憶 発 行 : 2014年3月15日初版第1刷 著 者 : 山本竜也 発行所 : 書肆 山住 東京都板橋区中丸町31−3 印 刷 : 株式会社イニュニック 定 価 : 本体2400円+税 山本竜也(やまもと・たつや) 1976年(昭和51)、大阪府に生まれる。北海道大学大学院修士課程修了(雪氷学)。2003年(平成15)に気象庁に入庁後、東北・北海道各地を移り住む。2006年(平成18)4月から2008年(平成20)9月まで寿都測候所に勤務。著書に『東海丸の最期 乗員と町民が語る寿都空襲』『北海道空襲犠牲者名簿』(いずれも自費出版)。また、雑誌『BYWAY後志』や後志観光のパンフレット『探求・発見後志の旅』に、南後志地域(寿都町・島牧村・黒松内町)の話題を寄稿している。 函館市在住。 〒041-0806 函館市美原3丁目4番3−204 ホームページ:「南後志をたずねて」 http://homepage3.nifty.com/minami-siribesi/ メールアドレス:minamisiribesi@hotmail.co.jp おわりに −寿都と私 より なぜ寿都のことを熱心に調べているのか? 町の人に話を聞いていると、逆に、この質問をよく受ける。そのたびに色々な理由を話してきたが、きれいにまとめて答えられたことがなかったように思う。こんな本まで出すことになったこの機会に、いままでの経緯を振り返ってみる。 2006年(平成18)4月、仙台航空測候所から寿都測候所に私は転勤した。寿都に行きたいと希望していたわけではない。が、学生時代に地質調査の手伝いで訪れた島牧村を気に入り、社会人になってからも東北からわざわざキャンプに来たことがあったくらいなので、そのとなり町で働ける幸運をよろこびながら赴任してきた。しかし、私にとって寿都は、島牧への行き帰りに通り過ぎたなという程度の印象しかなかった。 [中略] こうやって振り返ってみると、小さなきっかけが積み重なって、寿都のことを調べて書くようになったのだと思う。 [後略] 目 次 口絵写真 2 はじめに−寿都の歴史を調べ、聞き、書く 43 第1話 ニシンで栄えた寿都 55 寿都の人口、ニシンとは、寿都とニシン、ニシンの漁法、漁夫がやってくる、郡来、綱起こし、汲み揚げ、子たたき、モッコ背負い、ニシンつぶし、シメ粕作り、干し場、ニシン漁場の親方、刺網漁師は質素な暮らし、ニシンをあてこむ商店、寿都に住みついた漁夫や出面さん、ニシンの大豊漁、ニシンが獲れなくなる、大漁を夢みる親方たち、一時の復活 第2話 ニシンを買いに行く 94 ニシンを求めて北へ、いまは海外から 第3話 海岸にのこる繁栄の跡 100 海岸にならぶ穴、袋澗政泊町山中のトンネル、建物や袋澗の崩壊 第4話 寿都の名産 生たきしらす佃煮 108 はじめに、佃煮作りを見学、コウナゴとは、コウナゴ漁と生たきしらす佃煮のはじまり、コウナゴの漁獲法、寿都名産として有名に 第5話 港がマグロやブリで埋まった 123 はじめに、海の悪太郎青山武逸、豊凶の激しいマグロ・ブリ漁、町民の思い出、マグロとブリは交互に獲れる? 第6話 サメが山のように獲れた 141 アブラザメとカノコザメ、はじまりから最盛期まで、サメを食べる、サメはどこに行った? 第7話 浅海漁具をつくる職人さん 151 工場を見学、技術を評価された先代、当代が跡を継ぐ、道内外から注文、これからの吉野鉄工 U第8話 寿都に鉄道を! 161 内陸を通った北海道鉄道、函館・小樽間の鉄道開通と寿都、黒松内・寿都間の乗合馬車、誘致運動がつづく、後藤新平の寿都訪問、乗合自動車の開始、私鉄計画がもちあがる、後藤新平への陳情、畑金吉の寿都訪問、寿都鉄道認可される 第9話 寿都鉄道、開通する 175 開通式、板挟みになった畑金吉、ニシンの大不漁、工事はじまる、いよいよ全通 第10話 冬の寿都鉄道 189 大雪になれば運休、人力で除雪、除雪車を導入、除雪工夫の死亡事故も、列車が立ち往生、夏ダイヤと冬ダイヤ、除雪費用も経営を圧迫 第11話 寿都鉄道正面衝突事故 201 機関車同士がぶつかる、事故の真相、代わりの機関車がやってくる 第12話 寿都鉄道のガンガンしょい 206 二枚の写真、写真の女性はだれ?、寿都鉄道社員らが見たガンガンしょい 第13話 鉄道廃止 給料も退職金も不払い 214 給料をもらえない、旅客も貨物も激減、末期の運転状況、岩内線に望みを託す、借金だらけの寿都鉄道、運転休止、全社員を解雇、退職金のかわりのカンパ、その後の寿都鉄道株式会社 第14話 元社員と町民が語る寿都鉄道秘話 229 元社員を訪ねる、町民が語る寿都鉄道 第15話 寿都の鉱業黎明期 255 大和政治の試掘権、今谷多三郎の採掘権、黎明期の採掘量 第16話 製錬所問題 町と鉱山の対立 259 町のなかにある鉱山、武田恭作の手に、製錬所計画が明らかに、町民大会・漁民大会を開催、製錬所完成、一時休止を請願、鉱夫の逃亡、武田鉱業の撤退、高田商会の手に渡る、高田鉱業の製錬事業、規模縮小、やがて休山へ、三菱時代は排水が問題に 第17話 大正時代の寿都鉱山で働く 275 ものがたり−寿都鉱山で働く男、死亡事故が多発、労働条件、余暇、賭博や恐喝、鉱夫を解雇 第18話 寿都鉱山 三菱経営から閉山へ 285 休山中の寿都鉱山、三菱経営となる、鉱山の内部、鉱石のゆくえと生産高、従業員の生活、労働組合、鉱山会館ができる、とうとう閉山、従業員は全国各地に、いまも残る鉱山施設 第19話 作開の山奥に金山があった 309 いまも残る製錬所、大金鉱山の歴史、孫が語る陰山亀太郎、にぎやかだった元山、製鎌所の思い出、朝鮮人も働いていた、戦後の大金鉱山、閉山後日談、珪肺にかかった元鉱夫、元山跡を歩く 第20話 島牧の石灰鉱山と寿都石灰工場 327 泊川沿いの軌道設計図を発見、経営者の移り変わり、道庁の直営となる、寿都石灰工場と軌道、現地探索 第21話 寿都尻糞ガニほいど 340 漫画『北の土龍』、子どもたちの口喧嘩、歴史あるカニ捕り、モクズガニの捕り方、ヤツメウナギやアユも捕った、様変わりした朱太川 第22話 むしろ小屋が並ぶ運動会 347 運動会で小屋を建てた?、旧津軽陣屋が運動場に、明治から大正頃の運動会、子どもたちの思い出−戦前戦中、子どもたちの思い出−戦後、大人たちの思い出、寿都以外の人が見た運動会、ほかの小学校でも、現在の津軽陣屋 第23話 民宿に変わった映画館 寿都劇場 370 たくさんの人が泊まりに来た、寿都劇場はいつ建った?、寿都劇場(寿都座)での催し、最後の映写技師・西崎春吉さん、湯別や歌棄・磯谷でも映画を観た 第24話 樽岸村の池田公園 391 公園造りに40年、町民の思い出、現在の池田公園 第25話 試験管でつくるアイスキャンデー 402 普通が5円で、小豆が7円、本間商店のアイスキャンデー作り、磯谷や島牧でも売っていた、自作する子どもも、ほかにも懐かしいおやつ、あやめが丘の天然氷 第26話 秋田出身者の神社 三吉さん 410 行方不明のご神体、三吉神社の思い出、三吉さんの人助け、残された資料、寂れてしまった三吉さん、三吉さんの解体 第27話 東光丸遭難 ゴンドラで乗組員救助 418 東光丸の遭難を見た、事故の原因、修理作業、東光丸の最期、剣を奉納 第28話 10年ごとに大火があった 427 むかしは火事が多かった、新聞紙面に見る大火の記録、1878年(明治11)寿都郡中歌村、1885年(明治18)大磯町、1886年(明治19)歌棄村字潮路村、1887年(明治20)渡島町、1889年(明治22)新栄・大磯・矢追・渡島町、1889年(明治22)岩崎町、1898年(明治31)新栄・大磯・渡島町、1903年(明治36)磯谷村字島古丹村、1903年(明治36)歌棄村字潮路村、1914年(大正3)大磯・渡島・新栄・開進・岩崎・矢追町、1919年(大正8)磯谷村字横澗村、1925年(大正14)新栄・大磯・矢追町、1949年(昭和24)新栄町 第29話 飛行船がとんできた 446 寿都の上空に飛行船が、飛行船の誕生から黄金時代、ツェッペリン伯号の世界一周旅行、北海道上空へ、上空から見た後志、東京へ、寿都といえば、その後のツェッペリン伯号 第30話 スペイン風邪の大流行 455 新型インフルエンザ騒ぎの背景、小学校が20日間の休校、歌棄・磯谷では小流行、人口の1パーセントが犠牲に、二度目の流行、コレラの大流行、天然痘の大流行 第31話 寿都の温泉 湯別・政泊・歌棄 464 ゆべつのゆ誕生、資料にみる湯別温泉、湯別温泉の思い出、政泊温泉、歌棄温泉 第32話 電機屋さん経営のケーブルテレビ 477 寿都にケーブルテレビ?、田中電機商会の誕生、テレビ共同受信組合、テレビすっつの誕生、HBCにニュース映像を提供、現在のテレビすっつ 第33話 桜の名所壽都神社 493 神社の桜、神社のおこり、桜が名物に、神社を引き受けた佐藤夫妻、神社の移転、跡を継いだ山口夫妻、枯れかけているアカマツ 第34話 文学作品に登場する寿都 506 はじめに、幸田露伴『突貫紀行』、星野天知『磯物語』、星野天知『熊に喰われた男』、長田幹彦『澪』、長田幹彦『漁場より』、葛西善蔵『姉を訪ねて』、小林多喜二『総選挙と「我等の山懸」』、宮原晃一郎『感想と表現』、水上勉『飢餓海峡』、牧野吉晴『海の悪太郎』、八木義徳『漁師の歩く道』、佐々木武観『鰤の海』、夏目漱石と寿都 第35話 寿都の地元新聞 523 地元新聞があった、寿都商業新報、後志新報、澤田商報、寿都新聞(明治)、寿都実業新報、寿都新聞(戦前)、寿都新聞(戦後)、新聞社の支局、どうして原紙が残っていないのか 第36話 東海丸の犠牲者あらたに判明 542 寿都湾の空襲、神戸出身の常深益男さん、今後の課題、あらたな米軍資料も発見 第37話 寿都の名物 だし風 554 寿都のだし風とは、だし風と測候所、風の利用 第38話 幌別川の水力発電所 560 幌別川で遺構を発見、我が町にも電気を!、発電所の概要、その後の幌別川水電、多かった停電、むかしの電気は定額制、発電所の思い出 第39話 幌別川にのこる橋脚 572 謎の橋脚、集落総出で木を切り出す、薪取りの終焉 第40話 鮫取澗山中の牧場跡地 583 鮫取澗に牧場があった、現地探索、あそんだ思い出、むかしはクマもでた、火事になったことも 第41話 政泊村盛衰史 591 900人も住んでいた、91歳の小鷹さんに聞く、栄えた頃の政泊−石田豊作さんの証言、栄えた頃の政泊−資料から、寿都町への合併、政泊小学校の最期、寂れた政泊 第42話 弁慶岬に建つ灯台 605 灯台の思い出、灯台が建つ、電化、そして無人化 第43話 寿都の珍談・奇談 614 はじめに、キツネにだまされた、タヌキの怪、老婆をなぐさめるお地蔵さん、閉じ込められたキツネ、板蔵にクマが籠城?、中ノ川にサルが出た?、クジラの漂着、笹が実る、流れ星が飛ぶ?、ウミガメを捕獲、島牧山中の大蛇、救いを求める手負いのクマ、幌別川の大黒天、横澗村沿岸に無数の蛸貝、弁慶岬の大蛸、狩場山、鳴動す?、ロシアの漁船が漂着、夜に虹が出た、人魂が飛ぶ 第44話 寿都名物の男たち 633 はじめに、クマと闘った2人、頓知をだした老漁師、大のジャンボ、奇人東京さん 第45話 明治はじめの寿都 638 はじめに、旧暦を使う人が多い、お風呂は混浴、商店事情、法螺を吹くニシン漁師、人気の悪い土地、高い宿賃、遊郭が繁盛、歌棄に巡査配置、開進町から樽岸村に新道できる、競馬大会、郵便事情、為替のはじまり、消防組は大工お断り、大工たちの互助団体、久しぶりの神社祭典、カツオが獲れる 第46話 明治事件災害簿 649 はじめに、女に声をかけたばかりに、大雪と融雪で大被害、能津登村の女房殺し、激浪で人家や廊下が破壊・流出、漁業家、借金を苦にして自殺、歌棄で漁船転覆、暴風雨で2艘が行方知れず、離縁を恨み養母を殺害、結婚を反対され、自殺、金貸しの逃亡、バッタの大発生、両親が病気がちな家、大時化で一人死亡、無宿者の凍死、泥棒よりも早い電報、不思議な殺人事件、判事の自刃、元妻を刺し自殺未遂、政泊と島牧で雪崩発生、神経病にかかった寿都郡長 第47話 寿都に支庁があった? 665 行政の拠点、寿都郡役所から寿都支庁へ、支庁廃止 第48話 寿都で栄えた正教会 671 寿都に正教会があった、ニコライ主教の寿都訪問、セルギイ司祭の寿都訪問、寿都教会の最期、衰退の原因は?、信徒の子孫たち、正教会の名残を求めて 第49話 島牧村の神威鍾乳洞 伝説の鍾乳洞、鍾乳洞の探索へ 688 第50話 ゾウが湯治にやってきた 695 島牧村にゾウがいた、三つの動物園を転々と、札幌真駒内開拓地へ、長万部町二股温泉へ、島牧村宮内温泉へ、静岡からパラグアイへ、花子の最期、当時を振り返って 地図資料 709 解説、スッツ場所絵図、明治初期の中歌村市街図、寿都鉄道路線図、寿都鉄道各駅周辺地図、鉱区位置図、寿都鉱山地形図、寿都鉱山断面図 統計資料 736 解説、寿都町の人口、ニシンの漁獲量、マグロ・ブリ・サメ・イカナゴの漁獲量、寿都鉄道の旅客数・貨物量・営業損益、寿都鉄道の列車往復数、寿都地方の試掘権件数、寿都地方の主要な採掘権、寿都鉱山の生産高、明治時代の物価 年表−寿都五十話の軌跡 761 証言者索引 770 おもな地名のよみと由来 774 おわりに−寿都と私 777 付録 寿都五十話の舞台 昭和初期の寿都市街図 |
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