ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2023-07-22 03:12:02 |
2023年 7月20日
株式会社関水金属 65年以上にわたり鉄道模型の製造・販売を続けている株式会社関水金属 (ブランド名:KATO) は、関越自動車道路と圏央道が交差する鶴ヶ島ジャンクション近くに鶴ヶ丘新工場(SEKISUI WORKS)および関連施設を建設しています。この新工場の敷地面積は 3.25ヘクタールで、すでに運用を開始している新倉庫も併設されています。現在稼働中の現工場がある埼玉県鶴ヶ島市とは、ふるさと納税のパートナー企業として、長年にわたり連携を深めてきた経緯があります。今回新たに新工場建設を決めたことを契機として、鶴ヶ島市と令和元年(2019)10月に包括連携協定を締結いたしました。当該協定に基づく連携事業として、工場敷地内の緑地を隣接する鶴ヶ丘児童公園も含め「イングリッシュ・ナチュラル・ガーデン」として一体的に再整備し、新工場の外側からも安全にゆっくりご覧いただけるという構想になっています。 この株式会社関水金属による新工場・倉庫の外周およびイングリッシュ・ナチュラル・ガーデンには、軌間762mmと610mmの2種の軌道が敷設された三線軌条(デュアルゲージ)のナローゲージ保存鉄道【KATO Railway Park・関水本線】が誕生する予定で、日本で一番新しく、そして懐かしいナローゲージとなります。線路は、新工場をとりまくエンドレスにて一周約620mもの非電化の単線鉄道であり、機関庫を併設した駅がひとつ設けられます。また新工場に隣接してナローゲージ展示室が機関庫とは別に設けられ、シンボルとなるナローゲージ車両が保存展示されます。 《車両について》 KATO Railway Park・関水本線で活躍する車両たちは、国内外各地からやって来た古豪や、新たに作られるナローゲージの車両たちによって展示・運行されます。 まず、昭和23年(1943)に製造された元台湾糖業公司のベルギー製蒸気機関車362号機は、昭和61年(1981)に日本に渡り、長野県で長年活躍しましたが、その使用と老朽化のため大改修が行われました。外観も含めてリニューアルされたことで、新たな愛称「OLIVER (オリバー)」号として再起いたします。また、同じく元関東特殊鋼(カントク)の酒井工作所製7トンディーゼル機関車DL3・No.143号機も再整備し、新たに「BILLY(ビリー)」号となりました。ほかの客車たちも再整備によって生まれ変わった姿となり、機関車たちと共に活躍する予定です(軌間762mmの車両)。 一方、地元埼玉県になじみ深い車両として、元西武鉄道初代山口線で狭山・多摩湖畔を走っていた蒸気機関車532号と木造客車34号、同路線でユニークな外観で人気のあった蓄電池機関車と遊覧客車「通称:おとぎ電車」を全国各地から再集結させて整備、特に蓄電池機関車は動態保存として実際に走らせる予定です。埼玉県所沢市に、昭和25年(1950)年から、昭和59年(1984)に実在していたナローゲージ鉄道「西武鉄道初代山口線」に乗車されたことがある方々にとっては、なおのこと懐かしく感じられる車両です。この保存活動は、埼玉県鶴ヶ島市、北海道遠軽町、あしおトロッコ館、西武鉄道の協力のもとに進められています(以上は軌間762mmの車両)。 さらに軌間610mmでは、英国の2軸タンク機関車からインスピレーションを受けた可愛らしい新製蒸気機関車「OSCAR(オスカー) 」号が、羅須地人鉄道協会のTiny Engineeringという工場の匠によって作られています。なお、この製作中の「OSCAR」号は、8月4日(金)〜6日(日)に新宿住友ビル三角広場で開催する「鉄道模型コンテスト2023全国大会」会場にて静態展示される予定です。 《さいごに》 鶴ヶ丘新工場(SEKISUI WORKS)とKATO Railway Park・関水本線が敷かれるイングリッシュ・ナチュラル・ガーデンは、見た目の麗しさばかりではなく、かつてこの鶴ヶ島市の地に存在していた野草を中心に配し、昆虫や野鳥との共生を目指す取り組みもめざします。ちなみに「イングリッシュ」「ガーデン」とつくと、バラ園や綺麗に刈り込まれたイチイの木々などを想像しがちですが、当地ではノアザミやヤマブドウといった草花が当たり前のように摘まれていた時代の環境を蘇らせたいと願っています。これらの考えは、鶴ヶ丘新工場(SEKISUI WORKS)のメインデザインの基礎になっている英国の鉄道遺産から得たものです。英国における鉄道遺産(保存鉄道)は、町または村まるごと時代を保存するというものです。鉄道車両だけ走らせても現役当時を知らない人には伝わりづらい。当時の景色と共に不便さや危うさを体感できてこそ遺産となり得ると考えました。 この鶴ヶ丘新工場(SEKISUI WORKS)のKATO Railway Park・関水本線は、令和6年(2024)度中に完成予定ですが、一般公開と走行については鶴ヶ島市と関水金属が連携して運営する予定です。鶴ヶ丘児童公園(KATO Railway Park)は常時入園可能になりますが、関水本線や機関庫、車両は通常は非公開となります。 |
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