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No.5277 (Re:5161) 【両備G】認可執行停止と処分取り消しを申し入れ
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2018-04-10 23:03:49
                           平成30年4月9日

         「地域交通網を守るために」
        認可執行停止と処分取り消しを申し入れ
     ―国交省認可案件の認可基準に重大な瑕疵が存在―

                              両備グループ
                          代表 兼CEO 小嶋光信
              (両備ホールディングス代表取締役会長 兼CEO、
                     岡山電気軌道 代表取締役社長)


       情報開示された資料にて調査した結果(結論)

1.両備グループの西大寺線に競合会社が出した新路線申請の国交省の認可は違法です。
2.その前提になった岡山市の道路占用許可にも重大な瑕疵があり許可は違法です。
3.従って「手続きの不備による認可取り消し事由」 に該当することが判明しました。

 本日国交省に認可執行停止と処分取り消しを申し入れしました。



 創業以来108年続く両備グループの西大寺線にほぼ並行して、昨年3月に八晃運輸株式会社(以下、「H運輸」といいます。)が申請した新路線が本年2月8日に国交省から認可されました。
 国交省のさる幹部に「こんな酷い申請は見たことがない」と言わしめた申請当初より、何の協議もされず「一部の黒字路線のみを狙い撃ち」にした、地域公共交通網の維持に重大な問題を引き起こす本件認可は、両備グループの多くの赤字路線を支えている数少ない黒字路線の路線収入を半減させるような「健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争」を惹起させるものであり、「抗議と問題提起の廃止届」で31の赤字路線が廃止されようとする事態を知りつつ、記者発表当日の夜中に大急ぎで認可されるという異常な行政対応でした。

 そして、その認可の理由としては、
 1.岡山市が新路線の全ての停留所について設置のための道路占用を許可したこと
 2.岡山県公安委員会から新路線認可について運行上問題がないという回答があったこと

により、国は法第15条において準用する法第6条の許可基準を充たしたものとして認可を決定したとされています。
 そこで、情報開示をお願いし、公開された資料を基に調査を実施した結果、通常手続きによる認可とは齟齬が生じている点が判明しました。
 具体的には、情報開示を精査し、停留所設置予定地の地先所有者及び民地所有者の情報提供並びに弊社で道路占用許可に対する調査を実施したところ、下記のとおり岡山市によって瑕疵があるにもかかわらず不当に許可された違法な道路占用許可2件、申請者が国に民地の許可条件が成就していない事実を隠蔽し、国も確認不足による違法な許可1件の計3件の不当かつ違法な許可が発覚しました。

 従って、
1. 岡山市が全ての道路占用を許可しというのは誤り且つ不法であり無効
2. 無効な道路占用許可で照会された岡山県公安委員会の回答も無効
と言え、認可基準が充たされておらず認可は不当です。本来認可されるべきでない状態で認可され、違法のままで運行は絶対させてはならない状況です。

 これらの重大な瑕疵は「手続きの不備による認可取り消し事由に該当」することから、本日、国交省に対し「認可執行停止」と「認可取り消し」の申し入れをさせていただきました。

 敢えて地域公共交通網の「健全な発達」を考慮せず、その認可基準も虚偽と誤認という杜撰な報告などで、岡山市は出してはならない道路占用許可を2件も出し、国は民地の承認がない状況の確認もせず、認可基準である民地所有者の許可がない状態で認可を出しているということは、極めて遺憾なことです。
 瑕疵の概要は次のとおりです。

                    記

第1  東区内Aバス停について
[要約]岡山市の管理する道路と誤認して申請し、岡山市も調査もせずに地権者の承諾なく許可。地権者の許可の誤りの指摘で、岡山市はH運輸に誤りの是正を連絡し、H運輸は設置申請を取り下げたと地権者に報告したがこれは虚偽であった。バス停の設置場所に関する地権者の許可がないことを認識していたにもかかわらず、これが得られていることを前提としてなされた認可で、認可の際の前提条件に瑕疵があり、上記1.の要件を欠いているケースで、不当かつ違法である。


第2  中区内Bバス停について
[要約]地権者が条件付きの承諾をしたが、認可がなされた2月8日時点では地権者との条件は成就されておらず、当然Bバス停は設置要件を充足していないため、バス停を設置することはできない。にもかかわらず、本件認可はBにバス停が設置されることを前提としてなされているため、ここにも看過しがたい手続的な瑕疵があるケースで、申請者は条件が成就されていないことを隠蔽してあたかも民地の占用許可を取ったかのようにして得た本件認可は不当かつ違法である。


第3  東区内Cバス停について
[要約]このケースは最も悪質で、地先所有者はバス停の標識設置について全く知らず、了解もしていないにもかかわらず、H運輸が虚偽或いは誤認の上で道路占用許可申請をしたのか、岡山市は道路占用許可における特記占用許可条件の潜脱を看過して道路占用許可を出しているケースで不当かつ違法である。

 従って、国交省が本件認可を行った根拠の一つである上記1の「岡山市が全ての道路占用を許可したこと」は誤りであり並びに民地の占用許可には事務手続き上と判断に重大なる瑕疵があり、これを前提に認可の判断をすることは違法である。
 また、上記2.の岡山県公安委員会の意見についても、かかる手続的瑕疵がある認可申請を前提になされたものであり、当然、これを真実のものとして斟酌することは許されない。


 以上のように、本件認可処分はその前提に多くの不法な手続上の瑕疵があり、かかる誤った岡山市の道路占用許可及び地権者のバス停設置許可を前提に判断することは、不当であり、違法と言えます。
 従って前述しましたとおり、本日、岡山支局を通じて国交省に対し上記の「手続的瑕疵について精査」し、「直ちに本件認可の効力の執行を停止」した上で、「本件処分を取り消し」ていただけるよう申し入れいたしました。
 この3件は、調べる気になれば数時間で真偽が分かる内容で、H運輸株式会社の運行開始予定が4月27日と報道されているので、早急に精査を行い、今週中に不法であることが確認できれば本件認可の執行を停止した上で認可取り消しの手続きをしていただけるように要望しています。
 もしも、この認可執行停止が今週中に行われなければ、来週中に次なる一手を実施し、認可取り消しとなるまで、この理不尽な認可と戦います。
 もし国がこの不法な認可を知りながら運行させるようなことがあれば、社会的な批判は免れず、当社としてもあるべき地域公共交通の姿を取り戻すべく対応せざるを得ません。
 国交省は敢えて地域公共交通のあり方や、健全な発達などの競争のあり方の行政判断や議論を避けて、裁判を意識してか、客観性だけで判断できる認可基準による認可を選択しました。従って客観的な事務手続きでの間違いは1件でも許されることではなく、本件のように粗雑、或いは作為あるかのような誤認や偽りの報告、事実の隠蔽などを伴ったものは、絶対に認められるものではありません。
 これは国、岡山市、申請者の本人確認と現場確認が不十分であることと初動動作の手抜きや虚偽の報告によって起こった行政手続きの誤りで、今後の国や岡山市の協議なき地域公共交通への対応や、バス停の道路占用許可のあり方に問題を残した一件とも言えます。
 このような少子高齢化の地域において、「路線網維持と競争が成り立たない」状況が分かっているにもかかわらず、法30条や法9条並びに法1条と交通政策基本法や、改正地域公共交通活性化再生法なども歯牙にかけずに、法6条の許可基準という事務手続き上の問題のみで国の判断で認可されるという行為は、申請のみならず、認可も「こんな酷い認可は見たことがない」と言わざるを得ません。
 国も岡山市も手続き上の瑕疵を認め、地域交通網を守るために責任ある対応をしていただきたく思います。
                                   以上

(なお、上記手続き違反にかかる事実の精査については、国交省には実名入りの記名押印の確認書を参照資料として添付の上、提出していますが、関係者のプライバシー保護等のために今回は敢えて伏せてあります。)


: 参考:[バス停瑕疵詳細説明]

第1  東区内Aバス停について

 H運輸が国交省に提出した事業変更計画において、Aバス停を設置する計画になっているところ、H運輸はAバス停を設置するために平成29年2月1日付で岡山市に対して道路占用許可申請書を提出し、岡山市は平成29年2月9日にこれを許可した。
 しかし、このAバス停設置場所(以下、「本件設置場所」という)は、岡山市が管理する道路ではなく、D氏が所有する純粋な民地である。そのため、ここにバス停を設置するには、本来、岡山市の許可ではなく、地権者であるD氏の承諾が必要である。
 そうであるにもかかわらず、H運輸は、漫然と本件設置場所を岡山市が管理する道路と誤認し、また、あろうことか岡山市も道路占用許可申請を許可するに当たり、現地調査等の本来あるべき調査を行うことなく、漫然と形式審査でこれを許可してしまった。
 その後、地権者からの指摘でこの誤りに気付いたH運輸が改めて地権者にバス停設置の承諾を依頼したが、地権者であるD氏はこれを拒絶している。
 そこで、H運輸はD氏に対して、本件設置場所に対するバス停の設置申請を取り下げた旨の報告をした。ところが、実際には、少なくともH運輸の事業変更計画が認可された平成30年2月8日時点では、かかる取り下げはなされていなかった。
 すなわち、本件認可時点において本件設置場所にバス停を設置するための許可は得られておらず、また、現時点においてもかかる許可は出されていない。
 このH運輸及び岡山市の誤認並びにその後の対応については、そのこと自体重大な瑕疵であり、問題であるが、そもそも仮にH運輸が、本件設置場所が道路だと考えていたのであれば、第3で詳述する道路占用許可の特記占用許可条件に基づき、地先所有者であるD氏の承諾が必要となるはずである。そうであるにもかかわらず本件では、道路占用許可の申請時点においてD氏はかかる承諾をしていないし、そもそも承諾を求められてもいない。このように、H運輸は誤認に基づく手続きを行なったばかりか、仮に誤認でなかったとしても、本来求められるべき手続きを履践していないのである。加えて、岡山市もこのような瑕疵があるにもかかわらず道路占用許可を出しており、いずれにせよ違法な手続きであった。
 平成13年8月29日国自旅第71号自動車局長発「一般乗合旅客自動車運送事業の申請に関する処理方針」及び平成18年9月29中国運輸局公示第70号「一般乗合旅客自動車運送事業に係る事業計画変更認可申請事案等の審査基準について」、同日中国運輸局公示第69号「一般乗合旅客自動車運送事業に係る経営許可申請事案の審査基準について」によれば、このいずれにおいても、停留所に関しては、申請者が、原則として3年以上の使用権原を有するものであること及び道路法、道路交通法等の関係法令に抵触しないものであることと定めているところ、前記した事実からすれば、本件認可処分は同基準に違反し、道路法に抵触する状態でなされたことが明らかである。
 以上のとおり、本件認可はその重要な要素であるバス停の設置場所に関する設置許可がないにもかかわらず、これが得られていることを前提としてなされた認可で、認可の際の前提条件に瑕疵があり、上記1.の要件を欠いている。

第2  中区内Bバス停について

 H運輸は、民地にBバス停を設置するために、民地の地権者であるE氏に承諾を得たとして平成29年9月6日付けのE氏の承諾書を提出している。しかし、かかる承諾書には「別紙、許可条件(バス停留所設置に関する許可条件)の下において承認します。」との記載がある。すなわち、E氏はH運輸との間で取り決めた許可条件が成就されたことを条件としてバス停設置を承諾したに過ぎないところ、少なくとも本件認可時点では、かかる許可条件は成就されておらず、また、現時点においても条件は成就されていない。
 そうであれば、当然Bバス停は設置要件を充足していないため、バス停を設置することはできない。にもかかわらず、本件認可はBにバス停が設置されることを前提としてなされているため、ここにも看過しがたい手続的な瑕疵がある。

第3  東区内Cバス停について
H運輸は、Cバス停の標識を設置するために、岡山市に対して平成29年2月1日付で道路占用許可申請を提出し、岡山市は、平成29年2月9日にこれを許可している。
 岡山市は、道路占用許可を出すに当たって、「占用許可条件」及び「特記占用許可条件」を定めているところ、特記占用許可条件第1条において「設置場所の地先所有者の了解を得ること。」と明記されている。
 この地先所有者の了解については、特段書面等で確認することと明記されていないところ、口頭で地先所有者の了解を得ている旨の報告をすることが実務上なされている。
 かかる特記占用許可条件の下でCバス停の標識設置のための道路占用許可が出されていることに鑑みれば、当然Cバス停の標識の地先所有者の了解も得られていなければおかしい。しかしながら、Cバス停の標識の地先所有者は、そもそも当該場所にバス停の標識が設置されることすら知らされておらず、本件認可後の平成30年3月1日に当社との対話の中で初めて既に当該場所に標識が設置されていることを知ったのである。すなわち、H運輸の道路占用許可申請の時点で、Cバス停の地先所有者の了解がないことはもとより、その後も了解が得られていない。
 これは、明確に特記占用許可条件に反する申請であり、岡山はかかる特記占用許可条件の潜脱を看過して道路占用許可をしているとともに、Cバス停に関しては、岡山市の道路占用許可の法的効果が生じておらず、同バス停に関しては、前記審査基準に適合していないことが明らかである。
                                  以上