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No.86 (Re:80) 【REJ】RAIL EUROPE JAPAN NEWS  2007/7 (旅のヒント4/5)
ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:21:08

◎アフリカ大陸モロッコへ渡る

 8時51分、列車は定刻より18分遅れでボバディーリャ駅に到着。ボバディーリャは町というほどの町ではなく、野原の真ん中に鉄道の乗換のためだけに駅を造ったようなところ。構内にカフェはあったが、駅前には店1軒ない。11時25分、サン・ロケ/ラ・リネア駅に停車した。ラ・リネアはジブラルタルへの入口となる都市だが、駅からはジブラルタルの象徴である岩山、ターリクの山は見えず、国境ゲートまではかなりの距離があることを知る。鉄道でジブラルタルへ行くには、やはり一度アルヘシラスへ出てからバスに乗らなければならないようだ。やがて海と「ターリクの山」が左手に見え、市街地を大きく回り込むように走り、11時40分、アンダルシアエクスプレスは定刻より5分遅れで終点のアルヘシラス駅に到着。ジブラルタル海峡に臨むイベリア半島南端の静かな終着駅であった。

 アルヘシラスでは、特別の予定は立てていなかった。ただ、町自体に特別の魅力はなさそうで、当初の予定より1日早くたどり着いたこともあり、ともかく海を渡ろうとフェリーターミナルへ向かった。海の向こうはアフリカ大陸。港からはスペイン領になっているセウタと、モロッコのタンジェへの船便がある。船は5社ほどが入り乱れるように運航していて普通船と高速船があり、運賃も会社ごとに微妙に違う。セウタとモロッコのどちらへ行こうか迷ったが、せっかくなのでスペインとは別の国、モロッコへ渡ることをまず決め、便を選ぶ。

 最大手とおぼしきトラスメディテラネア社の船は、ユーレイルパスで割引になると「ユーレイルトラベラーズガイド」に記されていたが、同社の便は4時間後の16時発でしかも普通船。ここは時間効率を優先し、13時30分発のノータス社の高速船に乗ることにする。運賃は36ユーロ。船はターリクの山を左手に見ながらジブラルタル海峡に入り、真西へ進路をとってアフリカ大陸北西端の町タンジェへ向かう。船に乗って感じたのは、海峡が非常に狭く、イベリア半島とアフリカとは“目と鼻の先”であるということ。ものの本には「晴れていれば対岸が見える」等と記されているが、それは嘘で、小雨混じりであってもよほど条件が悪くない限り、対岸は見える。最短部は15キロしかない。時計が1時間戻って現地時間の14時45分、船はタンジェ港に入港した。モロッコの入国手続は船内で済ませており、下船時はタラップで係員にパスポートを見せるだけですぐ上陸できる。タンジェ市内では、何より先にホテルを確保してチェックインし、市内を散策する。タンジェの観光地としての見どころは「メディナ」と呼ばれる旧市街で、複雑に入り組んだ迷路のような街に商店が並ぶ様は、確かにおもしろいといえばおもしろい。しかし、ガイドがついて案内するほど魅力があるとも思えず、また素人が安易に入ると迷子になってしまう。タンジェは、スペインから手軽に行ける“アフリカ”を実感できる場所という意味では、一定の価値はある。

 翌日、タンジェから海峡を戻り、旅の最終目的地・英領ジブラルタルへ向かった。