ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2012-01-24 17:32:48 |
株式会社交通新聞社
書 名 : 交通新聞社新書035 「動く大地」の鉄道トンネル 世紀の難関「丹那」「鍋立山」を堀り抜いた魂 発行日 : 2011年10月14日 第1刷発行 著 者 : 峯崎 淳 発行者 : 山根昌也 発行所 : 株式会社交通新聞社 http://www.kotsu.co.jp/ 印刷・製本:大日本印刷株式会社 図書符号: ISBN978-4-330-23911-8 平成23年3月に発生した東日本大震災で、私たち日本人は、地球レベルでの複雑な大地の動きに打ちのめされるという経験をした。しかし私たちはまた、この複雑きわまりない大地を相手に敢然と戦いを挑んできた歴史も持つ。本書では、世界的な難工事であった新潟県の北越急行ほくほく線鍋立山トンネルの工事記録から、技術者たちの苦闘とそれを乗り越えた技術力、人間力をクローズアップする。 「はじめに」より トンネル技術者が先輩たちから言われ続けている言葉は、今も昔も同じです。 「切羽(きりは)(トンネル掘削の最先端箇所)と向き合い、“山”と話をしながら掘れ」 これは何を意味するのでしょう? トンネル工事には、理屈では割り切れない何かがあるということでしょうか? 経験を頼んだトンネル屋は、この言葉がいかに深く、重いものを含蓄しているかを知っています。トンネル掘削現場で幾度となく苦い経験をするうちに、この言葉の重要性、言いかえれば「ありがたさ」がわかってくる、とあるベテランは言います。“山”との対話とは何なのか? トンネル技術には未だに多くの「謎」があります。本書を通じその謎の一端に触れていただければ著者の望外の喜びであります。 峯崎 淳[みねさきじゅん] 作家。1937年札幌生まれ。1962年東京大学文学部イギリス文学科卒。酒造会社のコピーラィクーを皮切りに、日本語教師、翻訳業、フリーランス・ライターなどさまざまな仕事を経験。群馬県に移住した後、海洋冒険時代小説『海の密謀』、『大慾・小説河村瑞賢』をいずれも講談社から出版。訳書として、N・チョムスキー『9・11』(文藝春秋社刊)、P・W・シンガー『戦争請負会社』他。『建設業界』(社団法人日本土木工業協会)誌上において「日本の土木を歩く」を連載。 目次 はじめに………3 序章 豪雪地帯の高速鉄道………15 トンネル屋の不屈の精神と鍋立山トンネル………16 “雪の世界”に現代文明の恩恵を………22 トンネルを掘るということはどういうことなのか………24 ナトム工法はトンネル掘削技術に革命を起こした………28 第1章 日本の鉄道トンネル………35 第2章 トンネルの造(つく)り方今昔………49 木製支柱式支保工の組み方………55 トンネル掘削の順序………56 全断面を一挙に掘る機械化施工………62 テムズ川の地下を掘ったシールド工法………71 第3章 丹那トンネル………79 −湧水と断層との16年間の苦闘が技術を進歩させた− 丹那トンネルのコース選択………80 丹那トンネルの形と大きさ………85 丹那トンネルの掘り方………85 当時の識者の意見………92 ボーリング試験の実施………94 断層と温泉余土………96 最初の大事故(大正10年4月1日)………98 第2回目の大事故(大正13年2月10日)………102 大量の湧水(大正14年12月30日)………109 シールドも立ち往生………111 水の総量は芦ノ湖の2杯分………113 最初のセメント注入………116 2度目のセメント注入………120 経験を積んだ注入作業………124 丹那トンネル工事の意味………129 第4章 鍋立(なべたち)山トンネル………131 −トンネル・ボーリング・マシンも受け付けない膨張性地山との戦い− 前代未聞の地質………132 青函から鍋立山へ………142 順調に進んだ東工区(1750.5メートル)………149 やや難航した西工区(3979メートル)………150 最難関の中工区(3387メートル)………152 さまざまな工法を駆使した中工区単線区間………154 4年ぶりの工事再開………159 TBMの導入………161 着工から19年、中央導坑が貫通………166 第5章 日本の地質の特徴………169 −地質学基準と地質年代− 日本とハワイが合体?………170 日本列島の7つの地質体………173 TBMを100メートルも押し戻した力………179 終章 思い出のトンネル屋たち………185 あとがき………218 |
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