NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.8719 (Re:8708) 【国土交通省】第3回「鉄道貨物輸送における偏積対策に関する検討会」結果
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2014-12-25 21:24:54
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省

第3回「鉄道貨物輸送における偏積対策に関する検討会」の結果について

                            平成26年12月25日

標記検討会を下記のとおり開催しましたので、その概要をお知らせします。

                   記

1.日 時  平成26年12月25日(木) 13:30〜15:00

2.場 所  中央合同庁舎第2号館 低層棟共用会議室1

3.出席者 別紙1のとおり

4.議 事
(1)JR貨物における安全対策の進捗状況について
(2)中間とりまとめ(案)について
(3)その他

5.概 要
(1)JR貨物における対応に関し、輪重測定装置の技術開発の状況等について、説明及び質疑応答が行われた。
(2)中間とりまとめ(案)について、一部修正の上了承された。
(3)今後の検討会について、運輸安全委員会による事故調査や、輪重測定装置の技術開発の状況等を踏まえ、開催することとされた。


                                    別紙1

    第3回 鉄道貨物輸送における偏積対策に関する検討会 委員名簿
                             (順不同、敬称略)
委員
 岡部 展芳  公益社団法人 全国通運連盟 専務理事
 (代理出席: 村田 俊行 公益社団法人 全国通運連盟 業務部長)
 開藤 薫   公益社団法人 鉄道貨物協会 常務理事業務部長
 佐々木 君章 公益財団法人 鉄道総合技術研究所 研究開発推進室 主管研究員
 佐藤 安弘  独立行政法人 交通安全環境研究所 交通システム領域 副領域長
 牛島 雅隆  日本貨物鉄道株式会社 安全推進本部長
 中島 覚   日本通運株式会社 ネットワーク商品事業本部 通運部長
国土交通省
 高橋 俊晴  鉄道局 技術審議官
 潮崎 俊也  鉄道局 技術企画課長
 村田 義明  鉄道局 安全監理官
 三輪田 優子 鉄道局 総務課 貨物鉄道政策室長
 坂巻 健太  総合政策局 参事官(物流産業)


別紙2は、添付画像でお知らせします。


                                    別紙3
                             平成26年12月25日

  鉄道貨物輸送における偏積対策に関する検討について(中間とりまとめ)

                  鉄道貨物輸送における偏積対策に関する検討会

1.検討の目的

 平成24年4月26日に江差線泉沢駅〜釜谷駅間において発生した、貨物列車の脱線事故についての報告書が、平成 26年7月25日に運輸安全委員会より公表された。(別添1)
 同報告書では、本事故の原因については、コンテナ内の積荷の偏積により、脱線した貨車に大きな静止輪重アンバランスが生じていたためとされ、再発防止対策については、JR貨物は、貨物利用運送事業者等と連携して対策をすることが望ましいとされている。
 また、JR貨物が全国主要駅で実施した重量計による計測によれば、一部のコンテナで偏積が確認されている。
 本検討会は、本事故の原因等を踏まえ、コンテナ内の積荷の偏積を防止するための有効な方策を検討することを目的とする。

2.検討会の体制
 鉄道事業者、利用運送事業者の代表、関係団体及び関係研究機関並びに国で構成する検討会を開催し、鉄道貨物輸送における偏積対策について検討した。(別添2)

3.検討会の開催状況等
 検討会の開催状況等は、別添3のとおりである。

4.検討の内容
 本検討会において、偏積対策を行うに当たっての基本的考え方や課題、偏積対策に
けた具体的取組みについて検討した。
 偏積対策を行うに当たっての基本的考え方として、偏積問題については、JR貨物、利用運送事業者がそれぞれできる限りの対策を取ること、また、相互に連携することが重要であるとされた。更には、荷主と情報共有を図って理解と協力を求めていくことが重要であるとされた。
 また、偏積対策を行うに当たっての課題として、コンテナが封印されているため、JR貨物がコンテナ内の積付けの状況を確認できないこと、取り扱うコンテナ数が膨大であるため、全コンテナの重量測定は現実的ではないこと、鉄道貨物輸送において、偏積が発生しない適切な積付け方が現場作業員に周知されていないことが挙げられた。
 これらの課題に対応し、偏積を防止するため、現場作業員の適切な積付けを徹底して偏積を防止させるという基本的取組み及び継続的な重量測定等により、新たな積荷の偏積に対応するという更なる安全対策を柱として具体的な取組みを着実に行うこととした。

(1)JR貨物による対策
@ 利用運送事業者に対する均衡の取れた積付けを定めた貨物運送約款の遵守要請

 貨物運送約款第34条第2項において、コンテナへの貨物積込みは、「貨物は、床面上にその重量が均衡するよう、かつ、容易に移動しないよう積み込むものとします。」と定められており、利用運送事業者又は荷主が積荷をコンテナへ積込み、その後、利用運送事業者が貨物運送約款の規定どおりに積荷が積載されていることを確認した上で施封することとされている。
 JR貨物では、平成24年4月26日の脱線事故発生後の同年5月7日に、JR貨物を利用する全ての利用運送事業者に対して、コンテナ積荷(貨物)を積み込む際には積荷の偏積防止を徹底するように要請するとともに、貨物運送約款の内容の周知徹底を図った。また、同年5月8日に、公益社団法人全国通運連盟に対して、利用運送事業者が貨物運送約款の内容の遵守を徹底するよう要請した。
 JR貨物は、このような要請内容を継続的に周知し続けることが重要である。

A 偏積の可能性があるコンテナの調査の実施及び利用運送事業者向けのコンテナ積付けガイドラインの作成
 JR貨物では、ねじり剛性が高い貨車等の車両の静止輪重比の管理値について車両単体で15%以内としており※1、当該管理値を基にコンテナ貨車に積荷を積載した場合における走行安全性を考慮して各コンテナの左右の偏積率を10%以内とする仮閾値を定め、平成25年12月17日に公益社団法人全国通運連盟を通じ、利用運送事業者に対して当該仮閾値を遵守するよう要請した。
 また、当該仮閾値について、平成26年7月10日に改めて貨物受付けの当面の許容値として運用することとし、同様に公益社団法人全国通運連盟を通じ、利用運送事業者に対して通知した。
 当該許容値については、公益財団法人鉄道総合技術研究所において、コンテナの左右の偏積率と貨車の輪重減少率との関係について検証が進められ、その結果として、コンテナの左右の偏積率が10%以内であれば、輪重減少率が15%以内になることが確認された※2。(別添4)
 このため、引き続きコンテナの左右の偏積率を10%以内にすることが必要である。
 重量計及びトップリフターによる測定の結果、コンテナの左右の偏積率が許容値を超過していた場合、利用運送事業者が現場で積直す(是正)こととし、再度測定して偏積率が許容値以内となったことを確認した上でコンテナを貨車に積載することとしている。
 JR貨物では、積付け時のコンテナに左右偏積率が許容値を超過する可能性があるものとして約500種類の荷姿を抽出し※3、それらについて利用運送事業者に対し積付けの改善を要請するとともに、その改善状況についてJR貨物の社員が積付け時に立ち会う等により確認を行ってきた。
 また、JR貨物では、標準的な荷姿の荷物を積付けた場合のコンテナ左右偏積率について、異なるパレット寸法毎の積載や2段積み積載、ドラム缶積載等の積付け形式別に偏積率を試算した結果や貨物積付け時にコンテナ左右偏積率の試算に利用できるよう簡易計算ソフト等を内容とした「コンテナ積付けガイドライン」を作成し、公益社団法人全国通運連盟を通じ利用運送事業者に対して配付した。
 今後も引き続き、重量計を用いた測定等により偏積が発生する可能性が高いコンテナについて実態を把握し、適切な積付けの更なる改善について、継続的に「コンテナ積付けガイドライン」の必要な見直しを行い、利用運送事業者に対して示していくこととした。

※1 国土交通省では、平成12年の日比谷線列車脱線事故の対策として、左右の車輪にかかる重量がアンバランスになって浮き上がることのないよう、静止状態での左右の重量比(静止輪重比)を一定の範囲内に管理するよう鉄道事業者を指導している。対象車種は、旅客車及び旅客車と同様に台車枠のねじり剛性が高いボギー台車を採用している貨物車、車体のねじり剛性が高い二軸貨車及びこれらの車両と同様な構造を有する車両である。コンテナ貨車は、車両単体で台車も車体もねじり剛性が高くないため、適用除外である。(対象車種に適用される静止輪重比の管理値は、20%以内を限度、10%以内を努力目標とされている)

※2 一般的に、輪重減少率は車両の走行状態や軌道の状態によらず、その時に観測された輪重と軸重の関係を示したものである。一方、静止輪重比は水平面における静止輪重を軸重の1/2で除した値であり、また、静止輪重比の管理値は1から静止輪重比を引いた値である。本検討における輪重減少率は、水平面上の静的モデルとして計算しているため、軸重の1/2から輪重を引いた値を軸重の1/2で除した値となり、これは静止輪重比の管理値に相当する。

※3 積付け時にコンテナの左右の偏積率が許容値を超過する可能性があるものとして、下記の貨物が把握された。
 ・重量物
 ・パレット、フレコン等、同一荷姿を奇数単位で積載する貨物
 ・重量が異なる積合わせ貨物
 ・緊締トラックによる輸送を伴わないで鉄道輸送で引き受ける貨物

B コンテナ毎の偏積状態をチェックできるポータブル重量計及びトップリフターによる測定の導入
 JR貨物では、コンテナ毎の左右の偏積率を測定する装置として、ポータブル重量計及びトップリフターを順次導入することとしており、引き続き配備駅数を拡大することとしている。
 ポータブル重量計は、コンテナの四隅を支持するように地面に配置された4つの計測点からなる重量計であり、これらの計測点のそれぞれの荷重を測定するものである。
 同重量計は、平成26年11月末現在、全国6箇所の貨物取扱い駅に配備しており、積付け時にコンテナに左右偏積率が許容値を超過する可能性があるものをはじめ、広くサンプル調査を行っている。今後、平成26年度内に6箇所の貨物取扱い駅に追加配備する予定である。
 ポータブル重量計による測定の運用を開始して以降、平成26年11月末までに約450個のコンテナを測定し、そのうち9個について左右の偏積率が許容値である10%を超過するコンテナが認められた。これらの全てについて、利用運送事業者が積直し(是正)を行った。
 トップリフターによる測定は、20フィート以上のコンテナを対象として導入しているものであり、スプレッダの部分に偏重測定装置を取付けてコンテナを上から保持した際に4点のひずみ計で計測してコンテナの左右の偏積率を確認するものである。同測定は、現在、東京貨物ターミナル駅及び安治川口駅で実施されているところであり、平成27年度以降、札幌貨物ターミナル駅及び隅田川駅のほか、北海道・本州間の大型コンテナの発送がある駅に追加配備して順次実施する予定である。

C コンテナ内の積付け状態の写真のサンプリング調査
 利用運送事業者は、JR貨物の要請に基づき適切な積付けを確実に行うことを目的として積付け状態を確認した後に写真撮影を行っている。JR貨物はこれらの写真について、偏積が発生する可能性が高いコンテナをはじめとして定期的にサンプリング調査を行い、適切な積付けが行われているか確認することとしている。

D 走行中の左右の輪重バランスをチェックする機能を有する輪重測定装置の技術開

 JR貨物において、貨車にコンテナを積載し列車を編成した状態で、走行しながら輪重を測定して輪重アンバランスを簡易に検知できる歪みゲージを用いた輪重測定装置の技術開発を行っている。
 技術開発に当たっては、一定の速度で走行しながら測定した場合における測定結果の信頼性の検証、耐候性・耐久性等の課題を解決する必要がある。
 これまで、札幌貨物ターミナル駅構内に仮設した輪重測定装置で試験車両を用いた試験を行ってきた。その結果、走行速度40km/h程度以下であればある程度の精度で測定できることが確認された。今後、隅田川駅構内において実際に営業運行している貨物列車の輪重測定データを収集し、これらを踏まえて、閾値設定の検証等を行う予定である。これと合わせて、偏積が認められた場合の通報方法、列車の抑止や貨車の解放の体制等の業務フローの検討を行う予定である。なお、コンテナ内に偏積が発見された場合に迅速に措置できるよう関係者間の連絡体制を常に確認しておく必要がある。
 輪重測定装置は、技術開発が終了した後、順次整備していく。

(2)利用運送事業者による対策
@ 現場作業員に対する適切な積付けの徹底及び積付けに係る教育訓練の実施

 利用運送事業者では、偏積を発生させないために、荷物を引き受けるに当たり荷崩れが発生しないよう適切な積付けが行われることの必要性を現場作業員に理解させるとともに、必要な対策に関する手続きやマニュアルを示して適切な積付けを徹底させる教育を実施している。
 また、利用運送事業者の中には、他の箇所で発生した偏積の事案等に関する情報について、コンテナ積付けに係る全従事者に対し作業前のミーティング等を活用して常に共有する等の情報伝達を円滑にするよう取り組んでいる例がある。
 また、公益社団法人全国通運連盟では、利用運送事業者を対象として、JR貨物より講師を招き、コンテナの左右方向の偏積の問題事例及び貨物運送約款での関連記載事項等を含めた鉄道コンテナの安全輸送に関して教育実習を実施している。

A コンテナ積付けマニュアルの作成及び遵守
 利用運送事業者では、現場作業員向けに必要な対策に関する手続きやマニュアルを作成している。
 利用運送事業者の中には、顧客・荷姿を考慮してコンテナ積付けの具体的な作業手順や注意事項を示したマニュアルを作成し、それに基づいて適切にコンテナの積付けを行うよう取り組んでいる例がある。
 今後、JR貨物の「コンテナ積付けガイドライン」を踏まえ、各利用運送事業者において、コンテナ積付けに係るマニュアルの整備、見直し等に反映する。

B 養生資材の導入及び適切な利用
 貨物駅での荷役はフォークリフトが用いられており、トラック及び貨車への積み下ろし作業では、コンテナをティルト(傾斜)してフォークリフトからコンテナ落下を防止している。その際、コンテナ内の壁面と荷物との間に隙間があると、ティルト等の作業中に荷物がフォークリフト側に偏り、コンテナ内の荷物が偏積の状態となる可能性がある。また、時には、貨車走行中の振動やブレーキ、曲線等の線路形状により、荷物が移動してしまう場合がある。このような荷物の移動を防止するために、コンテナ壁面と荷物との間の隙間をエアバッグや隙間ボード等の養生資材で埋めたりすることや、ラッシングベルト等を用いて積載された荷物を固定することにより、コンテナ内の荷物を適正な重心位置に留めることが可能となる。
 養生資材の活用に係るマニュアルは、利用運送事業者でも整備されているものの、より適切な養生資材の活用のノウハウの蓄積と水平展開が望まれる。
 こうした背景を踏まえ、JR貨物や利用運送事業者、関係団体等が一体となった取り組みであるコンテナ輸送品質向上キャンペーンにおいて、養生改善事例や資材の特徴、輸送中の振動特性等の研究成果をとりまとめた「養生資材を用いた改善事例集」や「荷物事故防止に向けた養生資材活用マニュアル」等の養生資材の活用に係るマニュアルを整備し、効果的な養生ノウハウの水平展開を進めている。また、同キャンペーンにおいて、コンテナ荷役作業の改善等についても取り組んでいる。(別添5)
 また、公益社団法人全国通運連盟では、利用運送事業者の大きな負担となっている養生資材の購入について、繰返し使用可能な養生資材購入費(新規・代換え)の一部を助成し、養生資材の導入を支援している。JR貨物においても、コンテナ輸送品質向上キャンペーン期間内に新規の養生資材利用について一定の助成を行っている。

C 利用運送事業者の具体的取組み
 @、A及びBの取組みにも関わらず、一部のコンテナで偏積が確認されたこと、各利用運送事業者のコンテナ積付けに係るマニュアル、養生資材の活用に係るマニュアルが一部未整備であること、これらのマニュアルが必ずしも鉄道貨物輸送を意識して編集されていないこと等の現状を踏まえ、利用運送事業者において、必要なコンテナ積付けに係るマニュアル等を整備し、これに基づき現場作業員に対し適切な積付けの徹底と教育訓練による偏積を防止する取組みを行う。
 また、荷主からの商品の取扱い方法、性質、重量等の詳細な情報は偏積防止に必要不可欠であることから、荷主に理解と協力を得られるよう情報共有に努める。

5.今後の対応について
 今後について、運輸安全委員会による事故調査や、JR貨物における輪重測定装置の技術開発の状況等を踏まえ、本検討会を開催することとする。

6.参考 (鉄道事故調査報告書「5.1 必要と考えられる再発防止策」への対応)
 運輸安全委員会鉄道事故調査報告書「5.1 必要と考えられる再発防止策」への対応については、別添6のとおり整理された。

(参考資料)
別添1 運輸安全委員会鉄道事故調査報告書(抜粋)
別添2 検討会委員名簿
別添3 検討会の開催状況及びこれまでの検討結果(第1回〜第3回)
別添4 コンテナ偏積率と貨車の輪重減少率の関係についての検討結果
別添5 コンテナ輸送品質向上キャンペーンの実施について
別添6 鉄道事故調査報告書「5.1 必要と考えられる再発防止策」への対応
別添7 鉄道貨物輸送における偏積対策に関する検討について(中間とりまとめ概要)
別添8 江差線における貨物列車脱線事故に対する対応について
(平成26年7月1 日JR貨物定例記者会見資料)

 ※伊藤注:省略します。
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