NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.8036 (Re:8033) 【JR東海】平成26年3月期 決算短信[別紙](3)
ほりうち(ccbu8181) 2014-04-26 23:26:55
1.経営成績・財政状態に関する分析

(1)経営成績に関する分析
 当社グループは、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実を図るとともに、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化等の取組みを続け、収益力の強化に努めました。
 東海道新幹線については、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、技術開発成果を活用して大規模改修工事に着手しました。また、脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を引き続き推進したほか、より弾力的な列車設定が可能な「のぞみ10本ダイヤ」を本年3月にスタートするとともに、新型車両N700Aの投入及びN700Aの機能を反映するためのN700系改造工事を進めるなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
 在来線については、高架橋柱の耐震補強等の地震対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。
 また、エクスプレス予約等の会員数拡大・ご利用拡大に向けた取組みを引き続き推進するとともに、営業施策の積極的な展開に取り組みました。
 超電導磁気浮上式鉄道(以下「超電導リニア」という。)による中央新幹線については、第一局面として進める東京都・名古屋市間について、平成23年から実施してきた環境アセスメントの結果及び具体的なルート、駅位置等を示した環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)を昨年9月に公告しました。その後、各地区での説明会の開催、準備書に対する意見募集等の手続きを進め、昨年11月にこれらの意見の概要及び当該意見についての当社の見解を関係する自治体の長に送付し、本年3月に沿線7都県から準備書に対する知事意見を受け取りました。
 一方、山梨リニア実験線については、42.8kmへの延伸と設備更新の工事を完了させるとともに、昨年8月より再開した走行試験を着実に進めました。
 海外における高速鉄道及び超電導リニアプロジェクトへの取組みについては、海外の政府機関や企業等に精通した米国の会社と提携し、絞り込みを行った対象路線における事業化に向けたマーケティング活動等に取り組みました。また、台湾高速鐵路股イ分有限公司(以下「台湾高鉄」という。)からの技術コンサルティング受託の準備等を進めました。
 鉄道以外の事業においては、ジェイアール名古屋タカシマヤについて商品力・販売力を高めるなど既存事業の強化に努めるとともに、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画等のプロジェクトを推進しました。
 さらに、経営体力の一層の充実を図るため、安全を確保した上で設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化の徹底に取り組みました。
 上記の結果、当期における全体の輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、前期比3.8%増の581億2百万人キロとなりました。また、営業収益は前期比4.2%増の1兆6,525億円、経常利益は前期比23.2%増の4,042億円、当期純利益は前期比27.9%増の2,556億円となりました。
 これをセグメントごとに示すと次のとおりです。

@ 運輸業
 東海道新幹線については、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、技術開発成果を活用して大規模改修工事に着手しました。また、脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策に取り組んだほか、新幹線車両の全般検査(オーバーホール)を担う浜松工場について、耐震性向上等を目的とするリニューアル工事を推進しました。さらに、本年3月のダイヤ改正から「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、需要にあわせたより弾力的な列車設定を実施するとともに、新型車両N700Aの投入及びN700Aの機能(中央締結ブレーキディスク、定速走行装置の搭載等)を反映するためのN700系改造工事を推進しました。加えて、お客様のご利用の多いのぞみ停車駅への新型可動柵の設置工事を進めるとともに、新幹線全駅への喫煙ルームの設置を完了するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
 在来線については、高架橋柱の耐震補強等に加え、在来線の全般検査等を担う名古屋工場の耐震化工事に着手するなど、地震対策を引き続き進めるとともに、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。また、平成21年10月の台風18号により大きな被害を受け現在もバス代行輸送を実施している名松線(家城駅〜伊勢奥津駅間)について、自治体の治山事業・水路整備事業の進捗を踏まえて鉄道復旧工事に着手しました。さらに、20年に一度の式年遷宮の年を迎えた伊勢神宮へのお出かけに便利な臨時急行列車等を運転するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
 営業施策については、エクスプレス予約や、既にお持ちのクレジットカードで東海道新幹線のネット予約とIC乗車サービスをご利用いただけるプラスEXサービスの会員数拡大・ご利用拡大に向けた取組みを引き続き推進しました。また、昨年3月から全国相互利用サービスが開始されたTOICAについては、電子マネー加盟店舗の拡大等に取り組みました。さらに、式年遷宮を迎えた伊勢神宮をはじめ、京都・奈良、東京等の観光資源を活用した各種キャンペーンや、これと連動した旅行商品の設定や拡充等、積極的な営業施策を展開しました。
 当期における輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、東海道新幹線は前期比4.1%増の488億7千3百万人キロ、在来線は前期比2.1%増の92億2千9百万人キロとなりました。
 バス事業においては、安全の確保を最優先として顧客ニーズを踏まえた商品設定を行い、収益の確保に努めました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比2.7%増の1兆2,761億円、営業利益は前期比16.2%増の4,601億円となりました。

A 流通業
 流通業においては、ジェイアール名古屋タカシマヤについて、魅力ある品揃えの充実やお客様のニーズを捉えたサービスの提供等により収益力の強化に努めました。また、本年4月の消費税率引き上げを目前に控えた需要に対応するために適切な対策を講じました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比5.4%増の2,207億円、営業利益は前期比13.2%増の82億円となりました。

B 不動産業
 不動産業においては、名古屋駅において現在建設中のJRゲートタワーの地下工事に当初計画以上の時間がかかり完成が遅れる見込みとなりましたが、改めて工事の安全かつ円滑な推進に努めるとともに、引き続きテナントリーシングに取り組みました。また、「東京駅一番街」をはじめとする駅の商業施設においてリニューアルやイベント等の販売促進策を行うとともに、市中に展開する「ナゴヤセントラルガーデン」においても新たな店舗を開業するなど、お客様の拡大に取り組みました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比3.7%増の674億円、営業利益は前期比8.7%増の138億円となりました。

C その他
 ホテル業においては、レストランのリニューアルによりホテルの魅力を向上させるとともに、お客様の志向にあった商品設定、高品質なサービスの提供、販売力強化に努めました。
 旅行業においては、式年遷宮にあわせた伊勢神宮の旅行商品をはじめ、京都・奈良、東京等の各方面へ向けた観光キャンペーン等と連動した魅力ある旅行商品を積極的に販売するとともに、インターネットを活用した販売に努めました。
 鉄道車両等製造業においては、鉄道車両や建設機械等の受注・製造に努めました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比7.5%増の2,506億円、営業利益は前期比11.6%増の105億円となりました。
 次期については、引き続き鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、地震対策、土木構造物の大規模改修工事、N700Aの投入及びN700系改造工事、武豊線の電化工事、気動車の取替等を着実に推進します。また、超電導リニアによる中央新幹線計画を着実に進めるとともに、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画、また海外における高速鉄道及び超電導リニアプロジェクトへの取組みなどを着実に推進します。こうした各種課題を着実に進めるため、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。

 次期の業績予想については、以下のとおりとします。

  売上高    1兆6,360億円(当期比 1.0%減)
  営業利益     4,590億円(当期比 7.2%減)
  経常利益     3,880億円(当期比 4.0%減)
  当期純利益    2,650億円(当期比 3.6%増)


(2)財政状態に関する分析

 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ3億円増の754億円となりました。また、長期債務については、2,691億円縮減し、当期末の残高は2兆3,708億円となりました。
@ 営業活動によるキャッシュ・フロー
 ビジネス、観光ともに引き続き鉄道のご利用が順調に推移し当社の運輸収入が増加したことなどから、営業活動の結果得られた資金は前期比282億円増の5,405億円となりました。
A 投資活動によるキャッシュ・フロー
 設備投資に伴う固定資産の取得にかかる支出が減少したことなどから、投資活動の結果支出した資金は前期比316億円減の2,304億円となりました。
B 財務活動によるキャッシュ・フロー
 長期債務の返済による支出が増加したことなどから、財務活動の結果支出した資金は前期比499億円増の3,097億円となりました。


(3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当

 当社は、社会的使命の強い鉄道事業を経営の柱としていることから、長期にわたる安定的な経営基盤の確保・強化に取り組むとともに、長期債務の縮減に努め、財務体質の強化を図ることとし、配当についても安定配当の継続を基本方針としています。
 この方針に基づき、当期の期末配当については、経済状況の好転等によりビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことなどを踏まえ、本年1月に公表した配当予想1株当たり55円を5円増額し、60円とさせていただく予定です。
 また、次期の配当については、上記の基本方針に則って実施していく予定です。
 配当支払いについては、従来どおり毎年3月31日及び9月30日を基準日とする年2回の配当を継続することとし、変更は予定しておりません。