NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.7234 【国土交通省】第2回「鉄道構造物の維持管理に関する基準の検証会議」の結果について
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2013-07-27 20:23:41
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省
                             平成25年7月25日

   第2回「鉄道構造物の維持管理に関する基準の検証会議」の結果について

標記会議を下記のとおり開催しましたので、その概要をお知らせします。

              記

1.日 時 平成25年7月25日(木) 13:00〜15:00

2.場 所 中央合同庁舎第3号館 4階 特別会議室

3.委 員 別紙1のとおり

4.議 題
 (1)鉄道構造物の維持管理に関する課題の整理
 (2)その他

5.概 要
 前回(第1回)の議論を踏まえ、鉄道構造物の維持管理に関する課題を抽出・整理し、その内容について意見交換を行った。今後、これらの課題について必要な対応を検討することとした。


添付資料

(別紙1)検証会議名簿
      鉄道構造物の維持管理に関する基準の検証会議名簿
座長 岡田 勝也 国士舘大学 理工学部 都市ランドスケープ学系 教授
委員 岸  利治 東京大学 生産技術研究所 人間・社会系部門 教授
委員 前川 宏一 東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻 教授
委員 森  猛  法政大学 デザイン工学部 都市環境デザイン工学科 教授
委員 笠島 雅之 北海道旅客鉄道株式会社 取締役 鉄道事業本部 工務部長
委員 輿石 逸樹 東日本旅客鉄道株式会社 設備部 担当部長
委員 市川 公洋 東海旅客鉄道株式会社 新幹線鉄道事業本部 施設部長
委員 川井 正  西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 施設部長
委員 松木 裕之 四国旅客鉄道株式会社 取締役 鉄道事業本部 工務部長
委員 前川 聡幸 九州旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 施設部長
委員 三浦 康夫 日本貨物鉄道株式会社 執行役員 保全工事部長
委員 栗原 利夫 東武鉄道株式会社 鉄道事業本部 施設部部長
委員 中野 雅文 阪急電鉄株式会社 都市交通事業本部 技術部長
委員 武藤 義彦 東京地下鉄株式会社 鉄道本部 工務部長
委員 野崎 誠貴 東京都交通局 技術管理担当部長
委員 植林 俊光 大阪市交通局 鉄道事業本部 工務部長
委員 黒川 雄次 小湊鐵道株式会社 鉄道部長
委員 鈴木 昭雄 箱根登山鉄道株式会社 取締役鉄道部長
委員 大石 直  会津鉄道株式会社 代表取締役社長
委員 鈴木 明  独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道建設本部 工務部長
委員 廣瀬 道雄 独立行政法人 交通安全環境研究所 交通システム研究領域長
委員 舘山 勝  公益財団法人 鉄道総合技術研究所 構造物技術研究部長
委員 佐藤 勉  公益財団法人 鉄道総合技術研究所 研究開発推進室 担当部長
委員 秋元 孝生 一般社団法人 日本鉄道施設協会 企画部長
委員 潮崎 俊也 国土交通省 鉄道局 技術企画課長
委員 江口 秀二 国土交通省 鉄道局 施設課長

(別紙2)配布資料
鉄道構造物の維持管理における現状と課題
平成25年7月25日

通常全般検査特別全般検査

≪現状≫

【検査告示】
・橋りょう、トンネルその他の構造物の検査周期(第2条第1項)
 新幹線鉄道:2年、新幹線鉄道以外の鉄道:2年
・検査周期の短縮(第2条第3項第1号)
 施設の状態その他の事情を勘案し検査の周期を短縮する必要が認められるときは、個々の施設又は部分ごとに適切な期間を定
める。

【解釈基準】
トンネルの定期検査(告示第二条第四号に規定する検査を除く)にあっては、十分な照明を用いて徒歩等により目視を行い、必要と判定された箇所について打音又はこれと同等以上の方法により実施すること。

【維持管理標準】
・調査方法
 目視を基本とする。
 ○コンクリート片のはく落等の事象が発生。(第1回検証会議参照)

≪課題≫
○構造物の変状把握に関して、より適した規定の検討。
○「その他の構造物」の内容の検討。



特別全般検査

≪現状≫

【検査告示】
・検査周期の延長(第2条第3項第2号)
 詳細な検査、分析及び評価を行った場合であって、当該検査を行った施設(軌道、トンネル、土構造物及び抗土圧構造物を除く。)が十分な耐久性を有すると認められるときは 個々の施設ごとに、耐久性を損なうおそれがないと認められる期間の範囲内で、基準期間を超えて適切な期間を定め、定期検査を行うことができる。
・トンネル(第2条第4項)
 新幹線鉄道にあっては、10年を超えない期間ごとに、新幹線鉄道以外の鉄道にあっては 20年を超えない期間ごとに詳細な検査を行わなければならない。

【解釈基準】
 第2条第4号に規定する検査にあっては、十分な照明を用いて入念な目視を行い 必要と判定された箇所については 打音又はこれと同等以上の方法により実施すること。

【維持管理標準】
・調査方法
 入念な目視のほか必要に応じて各種の方法によるものとする。
 ○在来線のトンネルは前回(初回)から20年到来していないが、検査時期の平準化を図るため、特別全般検査を開始した路線がある。
 ○打音検査によりコンクリートの変状を適切に把握。
 ○打音調査は、高所作業となるため多大な時間と費用を要している。
 ○打音調査に代えて機械的な調査で代替している事業者もある。

≪課題≫
○構造物の変状把握に関して、より適した規定の検討。
○打音調査実施の負担及び人による打音調査に替わる機械的な調査手法の導入の可否。



初回検査

≪現状≫

【解釈基準】
 トンネルに関する初回検査は、十分な照明を用いて入念な目視及び打音を行い、又はこれらと同等以上の方法により実施すること。

【維持管理標準】
・調査方法
 初回検査における調査方法は、入念な目視を基本とする。なお、構造物の実情を考慮し、必要に応じて目視以外の方法により実施するものとする。
 3.4 健全度の判定
 初回検査における健全度の判定は、通常全般検査における「4.3.4 健全度の判定」に準ずるものとする。

≪課題≫
○構造物の初期状態の把握に関して、より適切な規定の検討。


検査員
≪現状≫


【維持管理標準】
・検査員
検査員は、構造物の維持管理に関して適切な能力を有する者とする。
○構造物の検査要員の確保及び技術力の継続的な取り組みの必要性が強く認識されている。
○検査の質の確保及び技術継承に関する取り組みについて、様々な工夫のもと実施されているが、技術継承に必要な対応ツールの一層の充実が今後とも課題。
○鉄道事業者の規模に関わらず、一部、検査の外注化が実施されている。

≪課題≫
○鉄道構造物の維持管理に係る人材の継続的な確保。
○鉄道構造物の維持管理に関する技術力の継続的な維持向上。
○より実態に即した検査に関するマニュアル等の検討。



健全度の判定措置

≪現状≫

【維持管理標準】
構造物の状態と標準的な健全度の判定区分

健全度  構造物の状態
A    運転保安、旅客および講習などの安全ならびに列車の正常運行の確保を脅かす、またはそのおそれのある変状等があるもの
  AA 運転保安、旅客および講習などの安全ならびに列車の正常運行の確保を脅かす変状があり、緊急に措置を必要とするもの
  A1 進行している変状等があり、構造物の性能が摘果しつつあるもの、または、大雨、出水、地震等により、構造物の性能をうしなうおそれのあるもの
  A2 変状等があり、将来それが構造物の性能を失うおそれのあるもの
  B  将来、健全度Aになるおそれのある変状等があるもの
  C  軽微な変状等があるもの
  S  健全なもの
注)健全度A1、A2および健全度B、C、Sについては、事業者の検査の実態を勘案して区分を定めてよい

トンネルにおけるはく落に関する変状の状態と標準的な健全度の判定区分

健全度 構造物の状態
 α  近い将来、安全を脅かすはく落が生じるおそれのあるもの
 β  当面安全を脅αになるおそれはないが、将来、健全度αになるおそれがあるもの
 γ  安全を脅かすはく落が生じるおそれがないもの
○健全度の判定が難しいと感じている事業者もある。
○健全度の判定の質を統一するためェック体制の強化や機械による補完などの取り組みを実施している事業者もある。

≪課題≫
○健全度判定の質の一層の確保。


≪現状≫
【維持管理標準】

・一般
(1) 措置の方法と時期は、構造物の健全度、重要度、列車運行への影響度等を考慮し、決定するものとする。
(2) 措置の種類は、以下に示す(a)〜(d)より一つあるいは複数を組み合わせて選定するものとする。
 (a) 監視
 (c) 補修・補強
 (d) 使用制限
 (e) 改築・取替
○トンネルにおける変状については漏水に係るものが多く、その対策に多大な労力を費やしている。
○過去に実施した補修を再度措置しているものもある。
○一部事業者に対して、変状に対する適切な補修方法の判断及びその費用の確保が課題。

≪課題≫
○維持管理を踏まえた変状原因に応じた適切な補修方法の選定。
○構造物の変状及び対策に関する情報展開の検討。
○計画的な補修に係る費用の確保。


記録
≪現状≫


【省令】
(記録)
 第九十一条第八十八条及び前条の規定により施設又は車両の検査並びに施設又は車両の改築、改造、修理又は修繕を行ったときは、その記録を作成し、これを保存しなければならない。

【解釈基準】
 施設の定期検査及び改造、改築、修理の記録は、期間を定めて保存すること。また、橋りょう、トンネルその他の構造物の変状記録は、当該構造物の変状履歴が把握できるよう保存すること。なお、トンネルの初回全般検査、通常全般検査及び特別全般検査等の結果は、変状展開図等に記録し、検査の都度これを修正すること。

【維持管理標準】
・記録の項目
 記録の項目は、次の各項について定めるものとする。
(1) 検査
(2) 措置
(3) その他、構造物の維持管理に必要な項目
・記録の保存
検査、措置等の記録は、適切な方法により保存するものとする。

○デジタル技術の活用、映像や写真による記録方法を取り入れた事業者もある。
○維持管理を行う上で、施工時の記録も重要な要素と考えている。

≪課題≫
○維持管理に有効な記録及び保存方法の検討。