NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.1885 【JR東海】定例社長会見(平成21年3月・名古屋)
ほりうち(ccbu8181) 2009-03-25 15:08:18
JR東海 ニュースリリース

2009.03.24
定例社長会見(平成21年3月・名古屋)


■TOICAの新サービスについて

 在来線用のICサービス「TOICA」の新たな取組みを紹介します。

 「TOICA」については、平成18年11月に名古屋地区でサービスを開始しました。また、昨年の3月には、静岡地区でのサービスの開始に加えて、JR東日本の「Suica」、JR西日本の「ICOCA」との相互利用を開始しました。

 これまでに、「TOICA」は、その便利さが受け入れられ、2月末時点の発行枚数は、当初の目標50万枚を上回る約68万枚、名古屋地区での平日の利用率は、定期券で約8割、定期券以外の普通のきっぷを含めても、約6割まで拡大しています。

 このように、当社の在来線の基本サービスとして「TOICA」が定着してきていることを受け、これまでは、新幹線用の「EX−ICサービス」との連携を重視し、「のぞみ」停車駅である名古屋駅を中心としたエリアと、新幹線に並行する東海道線を中心にサービスエリア等を決めてきたところではありますが、平成22年春を目途にして、在来線の駅ごとのご利用状況等を踏まえ、「ご利用の多い駅へ利用エリアを拡大する」とともに、「TOICA定期券で三島・岐阜羽島間の新幹線も利用可能となるサービス」、「TOICAで便利にお買物ができる電子マネー機能の追加」の3つのTOICAの利便性向上策を実施することとしました。

 先ずは、TOICAの利用エリア拡大についてTOICAは現在、115駅で利用可能でありますが、今回、在来線の駅ごとのご利用状況等も踏まえ、御殿場線(沼津・御殿場間)、身延線(富士・西富士宮間)、飯田線(豊橋・豊川間)、高山本線(岐阜・美濃太田間)、太多線(多治見・美濃太田間)の33駅に利用エリアを拡大します。これにより、TOICAの利用エリアは計148駅となりました。

 次に、TOICA定期券で三島・岐阜羽島間の新幹線も利用可能となるサービスについて、豊橋・尾張一宮間のTOICA定期券をお持ちのお客様の例をお示しします。豊橋から新幹線で名古屋まで来て、更に在来線に乗り換えて尾張一宮まで行く場合は、豊橋駅の新幹線改札機にTOICA定期券をタッチして、新幹線に乗車します。名古屋駅では、新幹線の乗換改札機にTOICA定期券をタッチして、改札を通過します。その際、このサービス用の特急料金をTOICA定期券のチャージ残額で精算し、その後、在来線に乗車し、尾張一宮駅でも、TOICA定期券を改札機にタッチするだけで改札を出ることができます。このように、TOICA定期券1枚で新幹線にもご乗車できるようになり、早く、便利にご利用区間を移動することが可能となります。

 このサービスにより、TOICA定期券の利便性向上と比較的輸送力に余裕のある「こだま」や「ひかり」の利用促進を図りたいと思います。

 このサービスを提供する区間は三島・岐阜羽島間で、TOICA定期券の区間に含まれる新幹線停車駅相互間で新幹線にご乗車いただけます。

 最後に、TOICAで便利にお買物ができる電子マネー機能の追加についてですが、当社においても、これまで、電子マネーの導入について、グループ会社で試行するなど、検討を進めてきたところでありますが、利便性向上策にあわせて、TOICAにも電子マネー機能を追加し、同時にSuica・ICOCAの加盟店でTOICAも電子マネーとして利用できるようにいたします。逆に、TOICAの加盟店でSuica・ICOCAも電子マネーとして利用できるようになり、いわゆる相互利用が可能となります。

 電子マネーサービスの開始も、1年後の平成22年春を予定しています。まずは、東海道新幹線ののぞみ停車駅、静岡駅、浜松駅を中心とした駅構内の売店等で電子マネーによるお買い物が可能となります。また、平成22年春以降、東海圏を中心に、駅構内、駅ビル、市中での電子マネーの利用可能店舗の拡大を順次進めてまいります。

 平成22年春には、本日ご紹介した3つの取組みにより、TOICAがますます便利になるので、ご期待ください。



■「紀勢本線全通50周年キャンペーン」の実施について

 紀勢本線は、1959年(昭和34年)7月15日に、三木里(みきさと)駅と新鹿(あたしか)駅間が開通したことで全線開通となり、今年でちょうど50年を迎えることになります。そこで、これを記念してキャンペーンを実施することとしましたのでお知らせします。

 「結ばれ愛され50年」をキャッチコピーにし、期間は4月1日(水)〜9月30日(水)の183日間とします。キャンペーンは、紀勢本線を運行する当社とJR西日本のほか、沿線の自治体等とも連携して行います。

 主なイベントは、全線開通記念日の7月15日(水)に、亀山駅から白浜駅まで記念列車を運転し、ご乗車のお客様には、記念品をプレゼントするほか、亀山駅で出発式、白浜駅で歓迎式を行ったり、途中駅においても地元による特産品の配布などの「おもてなし」イベントを行います。また、夏休み最後の思い出作りとして、8月29日(土)にJR西日本エリアを出発し、紀勢本線を一周して30日(日)に名古屋に到着する団体専用の記念列車を予定しています。行程の中で紀伊半島の魅力が満喫できるイベントを盛り込みたいと思っております。列車の時刻や発売時期等の詳細は後日お知らせします。

 キャンペーン期間中、「全駅対象ウルトラ駅名しりとりラリー」を行います。これは、紀勢本線は全96駅と駅数が多いため、これを活かして駅名による「しりとりラリー」を行おうという企画です。通常のしりとり同様、しりとりでつながるよう駅名を並べて応募用紙に記載していただき、その駅名と本人が写った写真を撮影して一緒に送っていただきます。その駅数に応じて抽選で賞品をプレゼントします。賞品は沿線施設のペア宿泊券や沿線の特産品などを考えています。

 50周年を迎えた7月15日(水)〜31日(金)までの間、懐かしい硬券を使用した入場券・乗車券を記念台紙付で発売します。入場券は主要24駅を1セット(3,340円)とし、計1,300セットを限定発売します。また、全線開通の最後の区間である三木里(みきさと)駅〜新鹿(あたしか)駅間にちなんで、「三木里〜新鹿間(おとな)」・「賀田(かた)〜二木島(にぎしま)間(おとな・こども)」の乗車券3枚1セット500円を、計1,000セット限定発売します。

 また、全線開通区間と世界遺産の「熊野古道」を歩く記念さわやかウォーキングも企画しています。春期間の日程のご案内はすでに2月の会見でご紹介しましたが、今年は熊野古道が世界遺産に登録されて5周年にあたり、これを記念して年間合計7回を計画しています。参加者全員に、7コース毎の別々の「檜のキーホルダー」をプレゼントします。このうち、第4弾の7/18に計画するコースは、賀田駅〜二木島駅間を歩き、紀勢本線全線開通50周年記念として開催します。さらに、秋にも熊野古道を歩くコースを3コース設定する予定であり、全7コース中5コース以上踏破された方全員にクマをあしらった特製ストラップを5匹(5個)プレゼントしますのでお気軽にご参加いただきたいと思います。

 「50年のあゆみ展」として全線開通当時の懐かしい写真や映像の紹介、鉄道用品等の展示を6月〜9月まで、三重県の熊野古道センターにおいて開催します。入場料は無料なので、是非、お立ち寄りください。

 また、全線開通50周年キャンペーンのフィナーレを飾るため、車両展示やミニSLの運転、子供用の制服を着用しての記念撮影、地元特産品の発売などの駅イベントを9月19、20日は新宮駅、9月21、22日は亀山駅で行う予定です。このほか、紀勢本線の沿線地区で様々な地元イベントも企画されています。例えば新鹿海岸のビーチバレーボールフェスタでは、「津ふるさと元気大使:浅尾美和さん」がサインしたロゴマーク入りバレーボールのプレゼントがあります。地元のイベントにも是非お出かけいただきたい。

 50年にちなんだ記念弁当として、松阪市にある老舗のお弁当屋「(株)新竹(あらたけ)商店」から、50年前の紀勢本線全線開通時に発売した牛肉弁当の復刻版や、ジェイアール東海パッセンジャーズから全国の料理コンクールで素晴らしい成績を収めていることで有名な多気の相可(おうか)高校の食物調理科と共同開発した記念弁当を発売します。

 また、50周年記念として、「徐福巻」というお菓子を新たに製造・販売します。これは、これまでの50年に感謝し、これからも末永くご利用いただくという願いをいかに表現、実現するかを地元企業と話をしている中で出たアイデアです。新宮市の菓子舗「柏堂切畑屋(かしわどうきりはたや)」がアイデアを出し、製造・販売もします。

 「徐福巻」の徐福とは、約2,200年前、秦の始皇帝が不老不死の霊薬を求めて東方に遣わしたとされる人物です。徐福が渡来したとの伝説は日本各地に残っていますが、この新宮の地にも渡来したとされ、この地で「不老不死」の薬木「天台烏薬(てんだいうやく)」を発見したと言われています。「徐福巻」にはこの薬木「天台烏薬(てんだいうやく)」の根を粉にした漢方薬も含まれています。新宮駅内にある新宮市観光協会にて、1日30箱の限定発売です。

 JR東海では、名古屋地区から南紀・「熊野古道」へのおでかけ、あるいは南紀から名古屋へのお出かけに便利なきっぷを発売しています。「南紀・熊野古道フリーきっぷ」は、特急南紀号の普通車指定席が往復ご利用できるほか、フリー区間内は、特急列車の自由席及び普通列車に加えて指定区間のバスも乗り降り自由となっており、大変お得で便利なきっぷです。今回、さらにこれまで乗り降りが自由となる有効期間が2日間だったものを3日間にしており、さらにゆったりとした行程でお楽しみいただけるようにしました。このフリーきっぷは、所定のきっぷをお求めになるより約40%も割安になります。また、ハッピー名古屋往復きっぷは、特急南紀号とタワーズプラザ内などでのお食事・お買い物にご利用いただける商品券5,000円分がセットになっており、ご利用人数が増えるほど割安となるきっぷです。4人でご利用の場合は、4人で所定のきっぷをお求めになるより1人あたり約60%も割安です。これらお得なきっぷを是非ご利用ください。

 以上のように、各種イベントの開催や記念商品の発売など、盛りだくさんのキャンペーンを実施します。紀勢本線沿線の自然、歴史、文化を体験し、味わっていただきたいので、この機会に多くのお客様にお越しいただきたいと思っています。これまでの50年を支えてくれたことに感謝するとともに、50年を越えてさらに末永くご利用いただければと思います。



■在来線列車見張員支援システムの導入について

 当社ではJR東海発足以降、線路内作業時の保安度向上を目的に列車見張体制の充実やルールの整備を進めてまいりました。

 在来線の場合、線路閉鎖工事等を除き、列車走行の合間で線路や電車線設備の保守作業を行うため、作業中は列車見張員が列車を監視し、列車接近時は作業を中止し、作業員を安全な場所に待避させています。列車見張員が列車の接近を見逃し作業を継続すると、作業員の安全上重大な事故につながりかねません。当社では、この列車見張員の見張業務を機械的にも支援するシステムの開発を進めてきていましたが、このたび実用化にいたり、導入が決定しましたのでお知らせします。

 このシステムは、作業現場に簡単に持ち込める携帯型端末により列車見張員へ運転状況の情報を常時提供することによって、列車見張員がダイヤを見誤ることなどを防ぎ、線路内作業の保安度を向上させることができます。

 システムの概要は列車見張員が所持している携帯型端末がGPSにより位置を認識します。携帯型端末は、認識した位置を携帯電話回線を通じてCTCに送信し、位置付近の列車運転情報を受信します。携帯型端末は、作業位置付近の列車の位置、列車番号、遅延時分を画面に表示するとともに列車が接近すると音声アラームで繰り返し通知する機能を有しています。

 携帯型端末の主な仕様は、寸法が幅23cm、高さ11cm、厚さ6cmとコンパクトであり、重さは1.1kgと軽量で、持ち運びやすくなっています。

 導入線区は、列車運転情報が得られない太多線と名松線を除く在来線全線区です。また、このシステムは当社だけでなく、協力会社にも配備する予定です。

 平成21年3月末までに完成させ、4月から運用を開始する予定あり、全体の設備投資額は約5億6千万円です。

 今後とも、線路内作業の保安度を向上させ、安全安定輸送に努めてまいりたいと考えています。