NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.6987 (Re:6983) 【JR東海】平成25年3月期 決算短信[別紙](4/4)
ほりうち(ccbu8181) 2013-05-01 18:16:00
2.経営方針
(1)会社の経営の基本方針
 当社は、鉄道事業において、安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させるという社会的使命を、長期にわたり安定的かつ十分に果たし続けていくことを基本方針としています。
 さらに、当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の収益力強化を図ります。

(2)目標とする経営指標
 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、日々の安全・安定輸送を確保すると同時に、長期的にその信頼性を高めるべく、着実に設備投資や社員育成等を進めていくことが必要です。
 中期的な数値目標を設定した場合、情勢等が変化しても数値目標を追うことを優先するあまり、本来の目的である安全・安定輸送の確保と信頼性の向上が等閑にされることがあってはならないので、当社グループは中期的な数値目標を設定せず、年度ごとに長期的な展望に立ち具体的な計画を定めて取り組むこととしています。

(3)中長期的な会社の経営戦略
 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、財務体質の強化を図りながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。
 東海道新幹線については、これまで世界に比類の無い安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めています。今後についても、安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を推進するとともに、東海道新幹線における土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事に着手します。
また、最新の技術開発成果を採用した新型車両N700Aの投入を進めるとともに、N700Aに採用した技術を取り入れるべく、N700系の改造工事を推進するなど、東海道新幹線のより一層の輸送サービスの充実に向けて取り組みます。
 超電導リニアによる中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線は開業後48年が経過しており、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの推進にあたっては、安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに安定配当を継続する健全経営を確保します。その上で、まずは中京圏まで、さらには近畿圏までの実現に向けた様々な取組みを着実に進めます。
 具体的には、第一局面として進める東京都・名古屋市間において環境影響評価準備書の公告をはじめとする環境アセスメントの手続きを進めるなど、着工に向けた諸準備を着実に推進します。また、山梨リニア実験線について、42.8km への延伸と設備更新を完了させ、新型車両L0系により走行試験を再開します。さらに、技術基準が制定され、実用技術として完成した超電導リニア技術のブラッシュアップに引き続き取り組みます。
 なお、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、建設・運営・保守など全ての場面におけるコストについて、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的に圧縮して進めるとともに、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応していく考えです。
 さらに、鉄道以外の事業においても、「会社の経営の基本方針」に則り、名古屋駅新ビル計画などの諸施策を着実に推進します。
 あわせて長期債務については、中央新幹線の建設に向けた取組みを着実に推進しつつ、引き続き縮減に取り組みます。

(4)会社の対処すべき課題
 当社グループにおいては、鉄道事業の原点である安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたり知恵を絞り効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。
 鉄道事業においては、東海道新幹線における土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事に着手します。また、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策、浜松工場のリニューアル工事、在来線の高架橋柱等の耐震化、三島駅等の駅舎の建替・耐震補強工事等の地震対策を着実に推進します。さらに、東海道新幹線のまくらぎ更換をはじめ、軌道及び電車線路設備の維持・更新を計画的に進めます。加えて、各自治体から公表される予定のハザードマップを踏まえ、津波対策の一層の深度化を図ります。
 東海道新幹線については、最新の技術開発成果を採用した新型車両N700Aの投入を進めるとともに、N700Aに採用した技術を取り入れるべく、N700系の改造工事を推進します。また、本年3月のダイヤ改正にあわせて使用を開始した新大阪駅27番線を活用するなど、ご利用の集中する時期・時間帯における弾力的な列車設定に取り組みます。なお、7年の長期にわたる新大阪駅の大規模改良工事が平成25年度中に完了します。
 在来線については、武豊線の電化工事や新型気動車への取替のための設計等を推進するなど、さらなる輸送サービスの充実に向けて取り組みます。
 販売面については、エクスプレス予約及び「プラスEX」サービスの会員数拡大・ご利用拡大に向けた取組みを推進します。また、式年遷宮が行われる伊勢神宮をはじめ、京都・奈良、東京等の観光資源を活用した各種キャンペーンや、海外のお客様向け商品の拡充など、営業施策の積極的な展開に取り組みます。さらに、TOICAについて、全国相互利用サービスの定着を図るとともに、鉄道ならびに電子マネーサービスのご利用促進に努めます。
 旅客関連設備については、東京駅・名古屋駅における新型可動柵の設置工事や新幹線全駅への喫煙ルームの設置を推進します。また、駅におけるエレベーター・多機能トイレの設置や内方線付き点状ブロックへの取替等のバリアフリー設備の整備を着実に進めます。
 技術開発の促進及び技術力の強化については、小牧研究施設等において、新幹線鉄道分野を中心とした土木構造物の維持・強化対策、輸送サービスの充実及び自然災害対策等の実用に即した技術の研究開発に取り組みます。また、高速鉄道及び超電導リニアに関する総合的な技術力を活用し、海外におけるプロジェクトについて、対象路線における事業化へ向けたマーケティング活動を推進します。
 鉄道以外の事業においては、名古屋駅新ビル計画について、平成27年末の完成に向けて新ビルの建設を推進するとともに、テナントリーシングを進めます。また、駅ビルの商業施設や流通事業の活性化に取り組み、さらなる収益拡大を図ります。さらに、保有資産の有効活用や農業事業の充実等に取り組み、当社グループとしての一層の収益力強化に取り組みます。
 地球環境問題については、交通機関として鉄道本来の地球環境への優位性を積極的にアピールしてきましたが、引き続き大幅な省エネルギーの実現を可能とするN700Aの投入、在来線における省エネ型車両への取替等の地球環境保全に資する諸施策を進めるとともに、日常の業務遂行にあたっても省資源・省エネルギーに取り組みます。

※入力者注:諸表については掲載を省略させていただきます。