NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.7549 (Re:7548) 【両備グループ】公共交通衰退の理由
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2013-11-15 16:34:18
5.公共交通衰退の理由
 一般的に、公共交通衰退の理由としては、下記の5点が考えられる。

@マイカー時代の到来で利用者の50〜60%の顧客を喪失したこと。

A地方都市のスプロール化により、交通渋滞が慢性化し、路線バスが定時性を喪失。それが悪循環となり、一層マイカーを増加させる結果となったこと。

B補助金行政の副作用により、
ア)経営不在を助長する結果となったこと。
 コストを削減すれば補助金が減るという誤った経営感覚が生まれ、経営改善努力が進まなかった。
イ)顧客不在の自滅的な労使不仲を助長する結果となったこと。
 ストをして顧客が減少し、業績が悪化すれば逆に補助金は増加し、業績が悪化したら運賃を値上げし、値上げで顧客が減少して業績が悪化すれば、また補助金枠が拡大するという誤った経営判断と労働運動を生み、「負のサイクル」となった。

C規制緩和が衰退に拍車をかけたこと。
 衰退産業の規制緩和は過当競争を生み出し、参入の緩和から供給過剰を引き起こし、あらぬ競争が不当廉売を生み出し、経営を維持するためにコスト引き下げの必要から賃金が低下し、結果、労働の質が低下することで事故を増やし、安全・安心の喪失につながっていった。他の産業より低い賃金によって、良い人が集まらぬという人材力の低下が起こり、さらに業界の衰亡を招いている。

【規制緩和の幻想】…規制緩和は、供給が需要よりも少ない産業に対して行うものであり、逆に、需要が少なくて供給過多の産業で規制緩和を行うと、過当競争によって、供給過多の産業には致命傷となる⇒現実にタクシー(業界)や観光バス(業界)は、滅びる寸前のところまで供給過剰で苦しんでいる。

 昨年(2012)7月、通常運賃140円、170円である区間を100円均一で走る循環バスが岡山市内中心部で運行を開始し、運賃体系の破壊と郊外路線維持の懸念が表面化した。

D公共への誤った費用対効果の概念導入
 公共という事業は、儲からなくても国民へ保障しなくてはならない事業だが、その公共事業に費用対効果の概念が持ち込まれ、儲からない路線やバス事業はやめれば良いという理論で、路線廃止や事業の縮小、もしくは廃止が地方で加速し、ついに地方では老人や子供の移動手段がない地域が現出してしまった。公共的事業の非能率、非効率の是正はしなくてはならないが、誤った費用対効果の概念導入により、地方では、全ての公共事業を廃止・縮小しなくてはならなくなる。
本来、公共交通とは、儲からなくても住民に保障しなければならない移動手段であるはずだ。