NEWS RELEASE:JR&私鉄    3
No.8037 (Re:8033) 【JR東海】平成26年3月期 決算短信[別紙](4)
ほりうち(ccbu8181) 2014-04-26 23:27:31
2.経営方針

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、鉄道事業において、安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させるという社会的使命を、長期にわたり安定的かつ十分に果たし続けていくことを基本方針としています。
 さらに、当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の収益力強化を図ります。

(2)目標とする経営指標

 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、日々の安全・安定輸送を確保すると同時に、長期的にその信頼性を高めるべく、着実に設備投資や社員育成等を進めていくことが必要です。
 中期的な数値目標を設定した場合、情勢等が変化しても数値目標を追うことを優先するあまり、本来の目的である安全・安定輸送の確保と信頼性の向上が等閑にされることがあってはならないので、当社グループは中期的な数値目標を設定せず、年度ごとに長期的な展望に立ち具体的な計画を定めて取り組むこととしています。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、財務体質の強化を図りながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。
 東海道新幹線については、これまで世界に比類の無い安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めてきました。今後についても、安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を推進するとともに、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を着実に推進します。また、「のぞみ10本ダイヤ」による弾力的な列車設定、新型車両N700Aの投入及びN700Aの機能を反映するためのN700系改造工事の推進や、最高速度270km/hから285km/hへの速度向上の実施など、東海道新幹線の輸送サービスの一層の充実に向けて取り組みます。
 超電導リニアによる中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線はまもなく開業50年を迎え、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの推進にあたっては、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに安定配当を継続する健全経営を確保します。その上で、まずは中京圏まで、さらには近畿圏までの実現に向けた様々な取組みを着実に進めます。
 また、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、建設・運営・保守など全ての場面におけるコストについて、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的に圧縮して進めるとともに、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応していく考えです。
 さらに、鉄道以外の事業においても、「会社の経営の基本方針」に則り、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画などの諸施策を着実に推進します。
 あわせて長期債務については、中央新幹線の建設に向けた取組みを着実に推進しつつ、引き続き縮減に取り組みます。

(4)会社の対処すべき課題

 当社グループにおいては、鉄道事業の原点である安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。
 鉄道事業においては、東海道新幹線における土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を着実に進めます。また、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策、在来線の高架橋柱等の耐震化や浜松工場、名古屋工場、駅舎等の建替・耐震補強工事等の地震対策を着実に推進します。また、津波対策について、各自治体のハザードマップを踏まえつつ、実戦的な訓練の実施により錬度を向上させます。
 東海道新幹線については、昨年完成した新大阪駅引上線や27番線ホームを有効に活用し、本年3月に実施した「のぞみ10本ダイヤ」により、需要にあわせたより弾力的な列車設定に取り組むとともに、災害等の異常時におけるダイヤの安定性の向上を図ります。また、新型車両N700Aの投入及びN700系改造工事を引き続き推進します。さらに、平成27年春に予定している最高速度270km/hから285km/hへの速度向上の実施に向けた諸準備を着実に進めます。
 在来線については、平成27年春に向け、武豊線の電化工事を完遂するとともに、新製電車を投入します。また、気動車を新製し、平成26年度に高山本線・太多線、平成27年度に紀勢本線・参宮線に順次投入するなど、輸送サービスの一層の充実を図ります。
 営業施策については、エクスプレス予約及びプラスEXサービスの会員数拡大・ご利用拡大に向けた取組みを強化します。また、京都・奈良、東京等の恒久的な観光資源を活かした各種キャンペーン、海外のお客さま向け商品の拡充など、営業施策の積極的な展開に取り組みます。特に、平成26年度においては、東海道新幹線開業50周年企画として、記念商品やお得な商品の発売等を実施します。
 旅客関連設備については、東京駅・名古屋駅における新型可動柵の設置工事を引き続き推進するとともに、京都駅への設置工事に着手します。また、駅におけるエレベーター・多機能トイレの設置や内方線付き点状ブロックへの取替等のバリアフリー設備の整備を引き続き推進します。
 技術力の強化については、大規模改修等の設備の維持更新におけるコストダウンにつながる技術開発を引き続き進めるとともに、輸送サービスや自然災害対策等の充実につながる実用技術の研究開発を推進します。また、海外における高速鉄道及び超電導リニアプロジェクトへの取組みについては、対象路線における事業化に向けたマーケティング活動を推進するとともに、本年4月9日に台湾高鉄から受託した技術コンサルティングを実施するほか、「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを推進します。
 超電導リニアによる中央新幹線については、第一局面として進める東京都・名古屋市間において環境影響評価書の公告、工事実施計画の認可申請を行うとともに、工事計画を着実に推進します。また、中央新幹線の高度かつ効率的な運営・保守体制の構築に取り組みます。一方、山梨リニア実験線では、営業線仕様の車両、設備により、最長12両編成での長距離走行試験を実施するとともに、車両や地上設備の営業運転に対応した保守体系の確立に向けた確認試験を行います。また、さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに引き続き取り組みます。
加えて、「超電導リニア体験乗車」の諸準備を着実に進め、平成26年度内に実施します。
 鉄道以外の事業については、名古屋駅におけるJRゲートタワーの建設を着実に推進するとともに、開業に向けて事業内容等の具体化、テナントリーシングを積極的に進めます。また、駅ビル事業や流通事業の活性化に取り組むなど、当社グループとしての一層の収益力強化に取り組みます。
 地球環境問題については、鉄道本来の地球環境への優位性をアピールするとともに、引き続き大幅な省エネルギーの実現を可能とするN700Aの投入等の地球環境保全に資する諸施策を進め、日常の業務遂行にあたっても省資源・省エネルギーに取り組みます。
 平成26年度においては、東海道新幹線開業50周年企画として、これまで東海道新幹線をご利用いただいた数多くのお客さまへ感謝の気持ちを伝えるとともに、より一層東海道新幹線への理解を深めていただく取組みを行います。具体的には、記念企画商品の発売、グループ会社やリニア・鉄道館等での各種催し等を実施します。また、新幹線開業50周年記念高速鉄道国際会議(仮称)を平成26年10月に開催します。


※入力者注:財務諸表については掲載を省略させていただきます。