NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.9305 (Re:9084) 【国土交通省】新京成電鉄の鉄道旅客運賃上限変更は妥当
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2023-05-24 01:00:16
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                         Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                            令和5年5月23日
                        総合政策局運輸審議会審理室

     「新京成電鉄株式会社からの鉄道の旅客運賃の
     上限変更認可申請事案」に関する答申について


 運輸審議会は、標記事案について認可することが適当である旨、本日、国土交通大臣に対して答申しました。


 令和5年2月20日付けで国土交通大臣から運輸審議会に対し諮問がありました標記事案について、審議の結果、認可することが適当であるとの結論に達し、本日、国土交通大臣に対して答申しました(事案の内容、答申結果等は別紙のとおりです)。

 審議における配付資料及び議事概要は以下のURLで公表予定です。
 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/unyu00_sg_000021.html

○運輸審議会について
 運輸審議会は国家行政組織法第8条に規定する審議会で、個別法の規定に基づき、国土交通大臣の行う許認可等の個々の行政処分等の適否について諮問を受け、これに対して、公平な立場から各方面の意見を汲み上げ、公平かつ合理的な決定を行う常設の機関です。
 当該事案については今後、国土交通大臣が運輸審議会の答申内容等を踏まえて処分を行う見込みです。


別紙
 ┌───────┬──────────────────────┐
 │  申請者  │新京成電鉄株式会社             │
 ├───────┼──────────────────────┤
 │ 事案の種類 │鉄道事業における旅客運賃の上限設定の認可  │
 ├───────┼──────────────────────┤
 │ 事案の内容 │○改定率 12.4%            │
 │  (概要) │ 普通旅客運賃 11.7%         │
 │       │ 定期旅客運賃 13.1%         │
 │       │ (通勤:13.5%、通学:11.0%)  │
 │       │                      │
 │       │○初乗り運賃(上限運賃)          │
 │       │ 5キロまで: 1円単位 147円→167円│
 │       │       10円単位 150円→170円│
 ├───────┼──────────────────────┤
 │運輸審議会答申│認可することが適当             │
 └───────┴──────────────────────┘



                               国運審第14号
                             令和5年5月23日

国土交通大臣 斉藤 鉄夫 殿
                         運輸審議会会長 堀川 義弘

             答  申  書

       新京成電鉄株式会社からの鉄道の旅客運賃の
          上限変更の認可申請について

                              令5第4002号

 令和5年2月20日付け国鉄事第673号をもって諮問された上記の事案については、審議した結果、次のとおり答申する。

             主     文

 新京成電鉄株式会社からの申請に係る鉄道の旅客運賃の変更については、別紙に掲げる額を上限として認可することが適当である。

             理     由

1.申請者は、平成7年10月1日に運賃改定を行った後、経済情勢の影響等により、利用者数にも増減が見られたものの、所有車両数の削減等の経費削減策を進めるなどして、消費税に係る運賃改定を除いて27年余にわたり、現行運賃を実施しているものである。
 しかし、令和2年当初からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発出等により、外出自粛や通勤客のテレワークへの移行といった行動様式の変容がみられた。
 これらの影響を受け、新型コロナウイルスの感染拡大前には微増傾向にあった利用者数も大幅に落ちこみ、令和2年度には利用者数が前年度に比較して約23%減少するとともに、利用者数が回復に転じた令和3年度においても収支率は90.1%に留まっている。
 申請者は、経費の削減などを進めるとしつつ、今後についても、沿線の生産年齢人口の減少が推計されるとともに、テレワークといった新たな行動様式が一定程度定着すると見込まれるなど、申請者を取り巻く経営環境には大きな変化が生じているとしている。そのような状況においても、申請者は、輸送の安全確保のため、施設の老朽化対策に伴う設備更新など鉄道施設の継続的な整備を実施するとともに、利用者サービスの向上に取り組むとしているものの、事業運営に要する経費の削減のみではそれらの施策の実施は困難であるとして、旅客運賃の上限変更認可を申請したものである。

2.国土交通大臣は、鉄道運送事業者からの旅客運賃の上限の変更の認可にあたっては、鉄道事業法第16条第2項に基づき、当該旅客運賃の上限による総収入が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであることを確認の上、鉄道事業法第16条第1項の認可をするものとされている。

3.当審議会は、本事案の審議にあたり、当審議会に提出された資料、所管局から聴取した説明等に基づいて検討を行った。その結果は次のとおりである。なお、本件については公聴会の開催申出がなかったことから、公聴会は開催していない。
 平年度(原価計算期間)である令和6年度から令和8年度までの3年間の収入算定の基礎となる現行運賃を維持した場合の総収入は合計32,324百万円、適正な総括原価(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの)は36,359百万円と推定されるので、差引き4,035百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
 これに対して、旅客運賃の上限を主文のとおり改定した場合、総収入は36,186百万円、適正な総括原価は36,359百万円と推定されるので、差引き173百万円の不足を生ずるものと見込まれる。

4.申請者は、令和2年当初からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた需要見通しについて、同感染症の拡大前において、申請者の利用者数のおよそ半数を占めていた通勤定期券に関し、テレワークの定着によりコロナ禍前の需要への回復は見通せないとしている。また、それ以外の券種については同感染症の影響は収束すると見込むものの、通勤定期券も含め全体の利用者数は、沿線人口の減少等により、今後は減少に転じるものと見込んでいる。
 これらの点を踏まえて申請者が算出した将来の需要推計については、申請者において入手可能なデータ等を含めて総合的に勘案した場合、合理性があると考えられる。
 これらを踏まえ、輸送の安全確保にかかる設備投資の継続を前提とする原価を推定した結果、本件申請に係る旅客運賃の上限による総収入が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるので、本件申請は上記2.の認可基準に適合するものと認められる。
 したがって、鉄道事業法第16条第1項に基づき、国土交通大臣が本件申請を認可することは適当であると認める。

                要望事項

 新型コロナウイルス感染症については、感染症対策としての法的な位置づけの変更等の動きはあるが、引き続き、その影響については先行き不透明な状況が続いている。新京成電鉄株式会社の鉄道事業における需要見通しは一定の合理性が認められるものの、テレワークの実施状況等により、想定された旅客輸送量と実績が乖離する可能性がある。このため、国土交通大臣は、本件申請の認可にあたり、鉄道事業法第54条第1項及び第2項の趣旨に基づき、期限に係る条件を付すことを検討されたい。
 また、付された期限までの間の新京成電鉄株式会社の経営実績について、実績が想定された収支率となっているかの検証結果について、毎年、書面で提出されたい。
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