ほりうち(ccbu8181) 2016-04-27 18:39:13 |
2.経営方針
(1)会社の経営の基本方針 当社は、鉄道事業において、安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させるという社会的使命を、長期にわたり安定的かつ十分に果たし続けていくことを基本方針としています。 さらに、当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の収益力強化を図ります。 (2)目標とする経営指標 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、安全・安定輸送の確保が最も重要な課題であり、日々の事業運営から、社員教育、設備投資の各面で、この信頼性を高めることを最優先に事業を遂行しております。 中期的な数値目標を設定した場合、情勢等が変化しても数値目標を追うことを優先するあまり、本来の目的である安全・安定輸送の確保と信頼性の向上が等閑にされることがあってはならないので、当社グループは中期的な数値目標を設定せず、年度ごとに長期的な展望に立ち具体的な計画を定めて取り組むこととしています。 (3)中長期的な会社の経営戦略 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、経営基盤の強化を図りながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。 東海道新幹線については、これまで世界に比類の無い安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めてきました。今後についても、安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を推進するとともに、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を着実に推進します。また、「のぞみ10本ダイヤ」による弾力的な列車設定、N700Aの投入、次期車両の開発など、東海道新幹線の輸送サービスの一層の充実に向けて取り組みます。 超電導リニアによる中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線は開業から50年以上が経過し、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、まずは中京圏まで、さらには近畿圏までの実現に向けた様々な取組みを進めます。 また、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、建設・運営・保守など全ての場面におけるコストについて、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的に圧縮して進めるとともに、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応していく考えです。 さらに、鉄道以外の事業においても、「会社の経営の基本方針」に則り、JRゲートタワー計画などの諸施策を着実に推進することにより、グループ全体の収益力の強化に取り組みます。 (4)会社の対処すべき課題 当社グループにおいては、鉄道事業の原点である安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。 鉄道事業においては、東海道新幹線における土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を着実に進めます。また、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策、在来線の高架橋柱等の耐震化や浜松工場、名古屋工場、駅舎等の建替・耐震補強工事等の地震対策を着実に推進します。また、関係機関とも連携しつつ実践的な訓練を実施することにより、自然災害等の異常時への対応力強化や、駅や車内等の安全確保に努めます。 東海道新幹線については、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、お客様のご利用の多い時期や時間帯に、需要にあわせたより弾力的な列車設定に引き続き取り組みます。また、N700A(2次車)の投入を引き続き進めるとともに、技術開発成果を反映させた新たなN700A(3次車)の投入を開始します。さらに、より一層のセキュリティ向上を図るため、客室内等への防犯カメラ増設工事に着手します。 在来線については、ご利用が好調な「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせ弾力的に増発や増結を行います。また、自由通路及び橋上駅舎化の計画を引き続き進め、草薙駅、新所原駅、高山駅、春日井駅で順次供用を開始します。 営業施策については、エクスプレス予約、プラスEXについて観光型商品の販売等の取組みを強化するとともに、「50+」とあわせて観光需要の喚起を図ります。また、エクスプレス会員以外のお客様にもご利用いただける新幹線の新しいネット予約・チケットレス乗車サービスについて、平成29年夏のサービス開始に向けた準備を着実に進めます。さらに、京都、奈良、東京、飛騨に加え、サミット開催で注目の集まる伊勢志摩等を対象とした魅力ある商品設定や観光キャンペーンの展開、海外からのお客様を対象とした商品販売の促進やご案内の強化など、積極的に営業施策に取り組みます。 旅客関連設備については、品川駅・新横浜駅における可動柵の追加設置工事を進めます。また、駅におけるエレベーター・多機能トイレの設置や内方線付き点状ブロックへの取替等のバリアフリー設備の整備を引き続き推進します。 技術力の強化については、新幹線の次期車両等について、最新の技術を取り入れた開発を推進するとともに、状態監視技術等を活用した保守の高度化、省力化や、大規模改修工事、地震対策、設備の維持更新等におけるコストダウンにつながる技術開発をさらに進めます。また、昨今の異常気象を踏まえ、土砂災害等の発生をより的確にとらえる技術開発を進めます。 海外におけるプロジェクトについては、高速鉄道の米国テキサスプロジェクトに対する技術支援等を進めるとともに、超電導リニアシステムの米国北東回廊プロジェクトへのプロモーション活動、台湾高速鉄道における技術コンサルティングを引き続き進めます。また、「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めます。 超電導リニアによる中央新幹線計画については、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながらプロジェクトの完遂に向けて着実に取り組みます。中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その1)については、地域との連携を密にしながら、測量、設計、用地取得等を計画的に遂行するとともに、工期が長期間に亘り難易度が高い、南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅をはじめ、必要な準備が整ったところについて、工事の安全と環境の保全を重視し、工事を着実に進めます。さらに、中央新幹線の高度かつ効率的な運営・保守体制の構築に向けて取り組みます。 一方、山梨リニア実験線では、営業線仕様の車両及び設備により、2編成を交互に運用して、引き続き長距離走行試験を実施することなどにより、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた検証を行うとともに、さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みます。また、「超電導リニア体験乗車」を引き続き計画的に実施します。 鉄道以外の事業については、JRゲートタワー計画について、本格化する内装・設備工事等を着実に推進し、本年11月のオフィス入居開始、来年4月の商業施設「タカシマヤ ゲートタワーモール」、「名古屋JRゲートタワーホテル」等の全面開業に向けて、営業・宣伝活動に積極的に取り組むなど、万全の準備を行います。また、駅ビル事業や流通事業の活性化に取り組むなど、当社グループとしての一層の収益力強化に取り組みます。 地球環境問題については、鉄道本来の地球環境への優位性をアピールするとともに、引き続き大幅な省エネルギーの実現を可能とするN700Aの投入等の地球環境保全に資する諸施策を進め、日常の業務遂行にあたっても省資源・省エネルギーに取り組みます。 3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 当社グループは、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(日本基準)を適用しております。将来の国際会計基準(IFRS)の適用につきましては、我が国における制度適用の状況を踏まえながら検討を進めていく考えです。 ※入力者注:財務諸表については掲載を省略させていただきます。 |
|
|
|
|