NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.928 (Re:926) 1.経営成績・財政状態に関する分析
ほりうち(ccbu8181) 2016-04-27 18:38:24
1.経営成績・財政状態に関する分析

(1)経営成績に関する分析
 当社グループは、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実を図るとともに、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化等の取組みを続け、収益力の強化に努めました。
 東海道新幹線については、大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を引き続き推進したほか、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、需要にあわせたより弾力的な列車設定を実施しました。また、N700Aの投入を進めるとともに、N700系改造工事を昨年8月に完了するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
 在来線については、高架橋柱の耐震補強等の地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進するとともに、新製したキハ25形気動車の紀勢本線・参宮線への投入を完了しました。
 また、本年5月に開催される伊勢志摩サミットに向けて、関係機関と連携し、駅や車内等における安全を確保するための訓練を実施しました。
 営業施策については、エクスプレス予約等の会員数・ご利用拡大に向けた取組みを引き続き推進するなど、積極的な展開に取り組みました。
 超電導磁気浮上式鉄道(以下「超電導リニア」という。)による中央新幹線については、平成26年10月に、国土交通大臣より中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その1)の認可を受け、沿線各地において地区ごとの事業計画等、地域に密着した内容をきめ細やかにご説明するため、自治会等の単位で事業説明会を開催しました。また、路線の中心位置を明らかにするための中心線測量について、予定していた沿線6都県で作業を進めるとともに、補償の考え方等をご説明するための用地説明会を開催するなど、今後の工事に向けた準備を進めました。さらに、長期間の工期が必要となる南アルプストンネル新設工事及び品川駅新設工事の一部について、工事契約を締結し、工事概要や安全対策等について地域にお住まいの方へご説明するための工事説明会を開催しました。このうち、南アルプストンネル新設(山梨工区)工事については昨年12月に、品川駅新設(北工区・南工区)工事については本年1月に安全祈願・起工式を執り行い、本格的な土木工事に着手しました。引き続き、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視して着実に取り組みます。
 一方、山梨リニア実験線においては、営業線仕様の車両及び設備により、2編成を交互に運用して、長距離走行試験を実施することなどにより、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた検証を行うとともに、超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みました。昨年4月には、1日の走行距離が過去最高の4,064kmを記録したほか、速度603km/hを記録し鉄道の世界最高速度を更新しました。また、「超電導リニア体験乗車」を平成26年度から引き続き計画的に実施し、累計3万人を超える多くの方々に速度500km/h走行を体験していただきました。
 海外における高速鉄道プロジェクトへの取組みについては、絞り込みを行った対象路線における事業化に向けたマーケティング活動を推進するとともに、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを推進しました。また、台湾高速鐵路股イ分有限公司から受託した技術コンサルティングを実施しました。さらに、超電導リニアシステムの米国北東回廊プロジェクトへのプロモーション活動を推進しました。
 鉄道以外の事業については、ジェイアール名古屋タカシマヤにおいて商品力・販売力を高めるとともに、駅商業施設のリニューアルを行うなど既存事業の強化に努めました。さらに、本年11月の一部先行開業、来年4月の全面開業に向けてJRゲートタワー計画を着実に推進しました。
 さらに、経営体力の一層の充実を図るため、安全を確保した上で設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化の徹底に取り組みました。
 上記の結果、当期における全体の輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、前期比3.8%増の614億6千7百万人キロとなりました。また、営業収益は前期比4.0%増の1兆7,384億円、経常利益は前期比19.5%増の5,114億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比27.8%増の3,374億円となりました。

これをセグメントごとに示すと次のとおりです。

@運輸業
 東海道新幹線については、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を着実に進めました。地震対策については、脱線・逸脱防止対策に取り組んだほか、新幹線車両の全般検査(オーバーホール)を担う浜松工場について耐震性向上等を目的とするリニューアル工事を推進するとともに、車両基地の建物の耐震化については本年3月の大井基地検修庫の耐震補強をもって完了しました。また、昨年3月に開始した最高速度285km/h運転を定着させるとともに、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、夏季や年末年始等の多客期間を中心に最大限の輸送を提供するなど、需要にあわせたより弾力的な列車設定に努め、本年1月3日には過去最多の約46万8千人(東京口)のお客様にご利用いただきました。さらに、N700Aの投入を進めるとともに、N700Aの機能(中央締結ブレーキディスク、定速走行装置の搭載等)を反映するためのN700系改造工事を昨年8月に完了しました。加えて、新型自動改札機への取替を進めるとともに、お客様のご利用の多いのぞみ停車駅での新型可動柵の設置工事を進め、名古屋駅と京都駅で全ホームへの設置を完了するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
 在来線については、高架橋柱の耐震補強等に加え、在来線車両の全般検査等を担う名古屋工場の耐震化工事等の地震対策を引き続き進めるとともに、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。また、昨年3月の武豊線電化開業による利便性の高い輸送体系を定着させたほか、新製したキハ25形気動車の紀勢本線・参宮線への投入を完了しました。さらに、平成21年10月の台風による被災でバス代行輸送を行っていた名松線(家城駅〜伊勢奥津駅間)について、三重県、津市による治山・治水事業の進捗にあわせて行っていた復旧工事を完了し、本年3月26日に全線での運行を再開しました。加えて、地震をはじめとする自然災害等を想定した実践的な訓練を実施するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
 営業施策については、エクスプレス予約やプラスEXの会員の方を対象に、「EXファミリー早特」等に加え、平成27年度新たに「IC早特タイプ21」や「一緒に☆こだま早特」を発売するなど観光型商品を拡充して、需要喚起を図りました。また、50歳以上の方を対象とした旅クラブ「50+」では、従来の商品に加えWeb会員の方に限定したお得な商品を設定するなど、お客様のご利用拡大に努めました。さらに、京都・奈良、東京等の観光資源を活用した各種キャンペーンやこれと連動した旅行商品を強化したほか、「Shupo」や「徳川家康公顕彰四百年記念事業」を機としたイベント及び販売促進等、地域と連携した取組みを通じお客様のご利用拡大に努めました。加えて、北陸新幹線の金沢開業を契機に、東海道新幹線と高山本線や北陸本線を利用した周遊型商品を設定するなど、積極的な営業施策を展開しました。そのほか、TOICAについて、電子マネー加盟店舗の拡大等に取り組みました。
 当期における輸送実績(輸送人キロ)は、ビジネス、観光ともにご利用が順調に推移したことから、東海道新幹線は前期比4.1%増の521億6千6百万人キロ、在来線は前期比2.6%増の93億2百万人キロとなりました。
 バス事業においては、安全の確保を最優先として顧客ニーズを踏まえた商品設定を行い、収益の確保に努めました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比4.0%増の1兆3,581億円、営業利益は前期比18.0%増の5,568億円となりました。

A流通業
 流通業については、ジェイアール名古屋タカシマヤにおいて、売場のリニューアル、魅力ある品揃えや、お客様のニーズを捉えたサービスの提供等により収益力の強化に努めました。また、東海道新幹線の車内及び主要駅で販売するお弁当のラインナップの見直しなどを行い、増収に努めました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比2.5%増の2,396億円、営業利益は前期比2.1%減の87億円となりました。

B不動産業
 不動産業においては、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画について、建設を着実に推進するとともに、本年11月のオフィス入居開始、来年4月の商業施設「タカシマヤ ゲートタワーモール」、「名古屋JRゲートタワーホテル」等の全面開業に向けて運営計画の策定や広報・宣伝活動を行いました。また、駅の商業施設においては、名古屋駅のレストランゾーン「名古屋うまいもん通り」を拡大するとともに、「アスティ静岡」、「アスティ京都」、浜松駅「メイワン」でリニューアルを行うなど、競争力、収益力の強化に取り組みました。さらに、愛知県岡崎市内の社宅跡地を開発した分譲マンション「セントラルガーデン・レジデンス岡崎」の販売を開始しました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比0.7%減の660億円、営業利益は前期比5.9%減の156億円となりました。

Cその他
 ホテル業においては、魅力ある商品の設定及び販売力強化に取り組むとともに、海外からのお客様の増加にも応じたより高品質なサービスの提供に努めました。また、来年4月の「名古屋JRゲートタワーホテル」の開業に向けて、積極的な営業活動を進めました。
 旅行業においては、「50+」のWeb会員限定商品や京都・奈良、東京等の各方面へ向けた観光キャンペーン等と連動した魅力ある旅行商品を積極的に販売しました。
 鉄道車両等製造業においては、鉄道車両や建設機械等の受注・製造に努めました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比1.7%増の2,430億円、営業損失は17億円となりました。
 次期については、引き続き鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、地震対策、土木構造物の大規模改修工事等を着実に進めるとともに、最新技術を反映したN700A(3次車)の投入を開始します。また、本格的な工事に着手した超電導リニアによる中央新幹線計画について、安全と環境、地域との連携を重視して着実に進めます。さらに、新幹線の新しいネット予約・チケットレス乗車サービスの平成29年夏のサービス開始に向けた準備や、海外における高速鉄道及び超電導リニアプロジェクトへの取組みなどを着実に推進するとともに、JRゲートタワーの開業に向けて万全の準備を進めます。こうした各種課題を着実に進めるため、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。

 次期の業績予想については、以下のとおりとします。

売上高             1兆7,360億円(当期比0.1%減)
営業利益              5,770億円(当期比0.3%減)
経常利益              5,200億円(当期比1.7%増)
親会社株主に帰属する当期純利益   3,630億円(当期比7.6%増)



(2)財政状態に関する分析
 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ1,883億円増の3,183億円となりました。また、長期債務については、2,054億円縮減し、当期末の残高は1兆9,450億円となりました。

@営業活動によるキャッシュ・フロー
 ビジネス、観光ともに引き続き鉄道のご利用が順調に推移し当社の運輸収入が増加したことなどから、営業活動の結果得られた資金は前期比306億円増の6,014億円となりました。

A投資活動によるキャッシュ・フロー
 資金運用による支出が減少したことなどから、投資活動の結果支出した資金は前期比936億円減の1,703億円となりました。

B財務活動によるキャッシュ・フロー
 長期債務の返済による支出が減少したことなどから、財務活動の結果支出した資金は前期比94億円減の2,428億円となりました。

(3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
 当社は、社会的使命の強い鉄道事業を経営の柱としていることから、長期にわたる安定的な経営基盤の確保・強化に取り組むとともに中央新幹線計画等の各種プロジェクトを着実に推進するため内部留保を確保し、配当については安定配当を継続することを基本方針としております。
 この方針に基づき、当期の期末配当については、ビジネス、観光ともに輸送量が順調に推移したことなどを踏まえ、本年1月に公表した配当予想1株当たり60円を5円増額し、65円とさせていただく予定です。
 また、次期の配当については、上記の基本方針に則って実施していく予定です。
 配当支払いについては、従来どおり毎年3月31日及び9月30日を基準日とする年2回の配当を継続することとし、変更は予定しておりません。