ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2022-04-10 23:19:40 |
はじめに
東海道新幹線は、東京オリンピック開催前の1964(昭和39)年10月1日、営業速度時速200kmを超える世界初の高速鉄道「夢の超特急」として東京〜新大阪問に開業し、これまで約66億人に及ぶお客様にご利用いただきました。 開業後、山陽新幹線の岡山・博多開業など、国内外における高速鉄道の需要が高まる中で、東海道・山陽新幹線にも客室設備の向上や車両の速度向上、経費節減のためのモデルチェンジが求められ、併せて、航空機に対する新幹線の競争力を強化する必要がありました。 このため、国鉄は苦しい財政事情や車両の高速化に向けた軽量車体の開発に時間を要する中、「お客様へのサービス向上」を目的に100系新幹線電車を1985(昭和60)年10月1日に誕生させました。 また、並行する形で、抜本的な車両システムの変更による速度向上が可能な新幹線車両「スーパーひかり」の開発を進めました。 JR東海が誕生し、東海道新幹線の輸送量は、当時の好景気にも後押しされて大幅に増加しました。そして、輸送機関としての使命を果たすため、1988(昭和63)年1月、当社は東京〜新大阪間を2時間30分で結ぶ時速270km運転の早期実現に向けた車両開発と地上設備増強、また、増加し続ける輸送需要に対する快適な輸送サービスの提供について検討を開始しました。 1992(平成4)年3月14日には、時速270km、東京〜新大阪間2時問30分運転を可能とした300系新幹線電車がデビューしました。「ひかり」「こだま」に加えて「のぞみ」が誕生し、300系新幹線電車は初代「のぞみ」として東海道新幹線の進化に貢献しました。速度向上による輸送力増強と併せて、輸送サービスの質を飛躍的に高めた「のぞみ」は、この春、誕生から30周年を迎えました。 本書では、300系新幹線電車の誕生から活躍、果たした役割について振り返り、東海道新幹線の高速化に向けた取り組みの経緯などを紹介します。これまで東海道新幹線をご利用いただいたお客様をはじめ、関係された方々に感謝の気持ちを込めて編集しました。未来を担う若い方々をはじめ、多くの方に関心を寄せていただければ幸いです。 2022年3月 書 名 リニア・鉄道館 第11回 企画展 東海道新幹線の進化 〜300系新幹線電車のデビューと果たした役割〜 発 行 令和4年3月28日 編集・発行 東海旅客鉄道株式会社 リニア・鉄道館 販 売 リニア・鉄道館内 総合案内 印 刷 株式会社ジェイアール東海ウェル 写真・資料協力(敬称略、順不同) 須田 寛、宮内忠雄、星 晃、久保 敏、小林一夫、権田純朗、松田和夫、望月 旭、木俣政孝、磯部栄介、公益財団法人鉄道総合技術研究所、近畿車輛株式会社、株式会社交友社 編集協力 株式会社交通新聞社 目次 CONTENTS はじめに 4 第1章 「夢の超特急」誕生と進化 7 第1節 東海道新幹線誕生の経緯 8 第2節 高速鉄道の構想と実用化に向けた研究・試験 10 第3節 東海道新幹線の建設と新幹線モデル線 15 第4節 東海道新幹線の開業と高速化への技術開発 17 第5節 東北・上越新幹線の開業 19 第6節 世界の高速鉄道事情 20 第2章 モデルチェンジ車と「スーパーひかり」構想 21 第1節 新幹線分科会の設置と役割 22 第2節 モデルチェンジ計画と「スーパーひかり」構想 25 第3節 100系新幹線電車の誕生 30 第3章 JR東海の誕生と東海道新幹線の輸送力増強 37 第1節 JR東海の誕生と東海道新幹線 38 第2節 100系新幹線電車の進化 41 第3節 新幹線速度向上プロジェクト委員会 43 第4章 300系新幹線電車の開発と「のぞみ」デビュー 45 第1節 300系新幹線電車の開発 46 第2節 300系量産先行試作車の誕生と営業運転に向けて 49 第3節 「のぞみ」の誕生 50 第4節 「のぞみ」のダイヤ編成・料金体系 51 第5節 「のぞみ」の営業運転開始 53 第6節 300系新幹線電車の紹介 55 第5章 300系新幹線電車の活躍と東海道新幹線の進化 57 第1節 「のぞみ」の増強 58 第2節 「のぞみ」時代の営業施策 60 第3節 300X新幹線プロジェクト 62 第4節 700系新幹線電車の開発 64 第5節 地上設備改良と環境対策 66 第6節 全列車時速270kmへ 68 第7節 新幹線品川駅の開業 69 第6章 300系新幹線電車の果たした役割と その後の東海道新幹線 73 第1節 300系新幹線電車の引退 74 第2節 300系新幹線電車の果たした役割 76 第3節 東海道新幹線の車両の変遷 78 |
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