NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.7988 【JR西】気候関連財務情報開示タスクフォース提言に基づく情報開示
まるよし(cfcd3435) 2022-01-11 18:25:42


                TCFD提言に基づく情報開示

                                2021年12月27日
                            西日本旅客鉄道株式会社

1.基本的な考え方
 JR西日本グループの基幹事業である鉄道は他の輸送機関と比べ、環境にやさしいという特性を活かし、より多くのお客様にご利用いただくことを通じて社会全体としてCO2排出削減に貢献してきました。また、自然災害の激甚化といった地球温暖化に伴う気候変動は年々影響を増しており、社会全体で気候変動への対応の重要性が急速に高まっています。
 当社グループも事業全体として、多くのCO2を排出しているという事実認識を踏まえ、気候変動への対応を将来にわたっての事業継続のための重要な経営課題であると認識し、気候変動から生じる、さまざまなリスクと機会の把握に努めています。
 またJR西日本グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、気候変動のリスクと機会ならびにその分析について、適切な情報開示を進めていきます。
 なお、気候変動に関するリスクと機会ならびにその分析については、当社グループの基幹事業であり、気候変動の影響をとりわけ強く受けると想定する鉄道事業を対象としています。

2.ガバナンス
 JR西日本グループは、持続可能な社会の実現に貢献し、長期にわたり持続的に発展していくため、地球環境保全の取り組みを推進しています。その推進体制として、代表取締役社長を委員長とし、本社部門を所管する常勤取締役や主な部門長で構成する「地球環境委員会」を設置し、原則年2回以上、地球環境保護のグループとしての基本方針や環境に係る中長期の計画および目標設定についての審議のほか、計画や目標に向けた具体的な取り組みの進捗状況の監視をしています。
 なお、地球環境委員会の審議事項は、必要に応じて経営会議、取締役会に付議・報告しています。

【地球環境委員会の構成員および体制図】
 委員長:社長
 副委員長:副社長
 委員:本社部門の執行役員を兼ねる取締役および経営計画、設備投資、財務、ガバナンス、CSR、地球環境、BCP、情報開示(広報、IR)、鉄道以外の各事業を所管する本社部門の長

3.戦略
 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示すシナリオに照らした気候変動の影響や社会経済シナリオに基づき、気候変動における鉄道事業へのリスクと機会を分析しました。
 我が国の電源構成の見直しに伴う再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の金額上昇や炭素税導入による税負担の増加、また台風・洪水の発生頻度増加による被害の増加といったリスクを認識しています。一方、鉄道の環境優位性が評価され、MaaS普及等による利便性向上も通じてご利用増加の機会を得ることも分かりました。
 具体的な分析内容は次のとおりです。(分析は2℃シナリオ、4℃シナリオについて行いました。なお、以下の定性的な分析内容は社会が気候変動に積極的な対応を実施する2℃シナリオに基づいています。)
 また、気候変動を含むさまざまな経営環境の変化に対する技術による解決策の方向性は「JR西日本技術ビジョン」にも示しています。
 (参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/technology/vision/pdf/vision2018.pdf
 今後、JR西日本グループは、認識したリスクと機会に対して適切な対処を講じることで、社会インフラを担う企業グループとして長期持続的な企業価値向上を図りつつ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

【リスクと機会の定性的な分析内容】
(1)認識するリスク

 (注・画像参照)


(2)認識する機会

 (注・画像参照)


(3)リスク等の定量的な影響想定
 定性的な分析により抽出したリスク等において、影響が大きいと見込まれ、分析に用いたシナリオに対応する客観的な将来予測データが入手できる項目について、定量的な影響想定を行いました。加えて、社会経済シナリオに基づく人口やGDPの推計データをもとに運輸収入の推移試算を行いました。
 なお、想定は2030年または2050年の社会とし、移行リスクについては気候変動に対し、社会的に積極的な対応が行われる2℃シナリオにより、また物理的リスクおよび運輸収入への影響については、2℃シナリオおよび4℃シナリオにより算出しました。(影響想定等の試算結果は次ページの図表のとおりです。)
 とりわけ物理的リスクおよび運輸収入への影響については、2℃シナリオと比較し、4℃シナリオにおける影響が大きいことが分かりました。これらを踏まえ、リスクへの対処を講じるとともに、気候変動の抑制につながる脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。

@移行リスクと物理的リスクの影響想定の前提条件
A移行リスクと物理的リスクの定量的な影響想定(財務インパクト)

 (注・画像参照)


B運輸収入の推移試算
 気候変動研究において、分野横断的に用いられるシナリオである社会経済シナリオの人口・GDPのデータをもとに、2050年までの運輸収入の推移を試算しました。
 人口推移データは国立環境研究所「日本版SSP市区町村別人口推計」、GDPデータはIIASA(国際応用システム分析研究所)“Global data set of gridded population and GDP scenarios”を使用し、当社営業エリアにおける人口動態の変化や国内のGDPの変化の予測に基づき、「JR西日本グループ中期経営計画(見直し)」後の2023年度以降の推移を試算しています。
 なお、本試算における将来予測としては人口動態やGDPの推計のみを用いており、今後実施する営業施策をはじめとする収入に影響を及ぼす個別の要素は考慮していません。

4.リスク管理
 JR西日本グループでは、気候変動によるリスクと機会ならびにその対処について、経営環境の変化や公的機関による各種将来予測の公表、更新といった情報をもとに分析内容の更新を行います。そして、分析内容や、環境長期目標の達成に向けた取り組みの進捗状況を定期的に地球環境委員会で審議・監視しています。
 また、地球環境委員会に付議された内容は必要に応じて、経営会議、取締役会にも付議・報告し、経営マネジメントにおいて、気候変動に関するリスク等を重要な経営課題として共有し、管理しています。
 なお、リスクと機会の分析について、各種将来予測情報の充実度等も考慮し、現在は2℃シナリオおよび4℃シナリオに基づき実施していますが、今後の社会経済分析等の進捗、将来予測情報のさらなる充実を踏まえ、1.5℃シナリオへの対応を含めて分析内容のブラッシュアップを行っていきます。

5.指標と目標
 JR西日本グループは、環境長期目標「JR西日本グループゼロカーボン2050」を策定し、その目標として、グループ全体のCO2排出量を2050年に「実質ゼロ」、その達成に向けた中間目標として、2030年度に対2013年度比▲46%減とすることを掲げています。
 なお、この目標はパリ協定においてめざす、産業革命期からの気温上昇1.5℃未満や同2℃未満の目標達成ならびに我が国が掲げるCO2排出削減目標の達成にもつながる水準の目標であると認識しています。
 JR西日本グループは、CO2排出削減の取り組みを推進し、環境長期目標「JR西日本グループゼロカーボン2050」の達成に向けた取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

【環境長期目標「JR西日本グループゼロカーボン2050」のCO2排出削減目標(スコープ1+2)】

 (注・画像参照)

 
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