NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.6068 (Re:6067) 【JR海】決算短信:添付資料−1.経営成績等の概況
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-04-29 19:30:59
○添付資料の目次

1.経営成績等の概況………………………………………………………2
 (1)当期の経営成績の概況……………………………………………2
 (2)当期の財政状態の概況……………………………………………5
 (3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当……………5
2.経営方針…………………………………………………………………6
 (1)会社の経営の基本方針……………………………………………6
 (2)中長期的な会社の経営戦略………………………………………6
 (3)会社の対処すべき課題……………………………………………7
3.会計基準の選択に関する基本的な考え方……………………………8
4.連結財務諸表及び主な注記……………………………………………9
 (1)連結貸借対照表……………………………………………………9
 (2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書……………………11
   (連結損益計算書)………………………………………………11
   (連結包括利益計算書)…………………………………………12
(3)連結株主資本等変動計算書………………………………………13
(4)連結キャッシュ・フロー計算書…………………………………15
(5)継続企業の前提に関する注記……………………………………17
(6)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示………17
(7)連結財務諸表に関する注記事項…………………………………17
(連結貸借対照表関係)…………………………………………………17
(セグメント情報等)……………………………………………………17
(1株当たり情報)………………………………………………………20
(重要な後発事象)………………………………………………………20
5.個別財務諸表…………………………………………………………21
(1)貸借対照表…………………………………………………………21
(2)損益計算書…………………………………………………………23
(3)株主資本等変動計算書……………………………………………25

1 経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
 当社グループは、事業の中核である鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、サービスの一層の充実を図るとともに、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化、設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化等の取組みを続け、収益力の強化に努めました。2月以降は、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出自粛等の影響により、経営環境が厳しくなりましたが、感染防止に取り組むとともに、各種施策を着実に進めました。
 東海道新幹線については、大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を引き続き推進したほか、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、需要にあわせたより弾力的な列車設定に取り組みました。また、N700A(3次車)の投入を完了し、車種統一に伴う全列車の最高速度285km/h化等により3月に「のぞみ12本ダイヤ」を実現しました。さらに、N700S確認試験車による走行試験を引き続き実施しました。
 在来線については、名古屋工場の耐震化等の地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。
 営業施策については、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスである「エクスプレス予約」及び「スマートEX」をより多くのお客様にご利用いただくための取組みを実施し、昨年9月には「スマートEX」の登録者数が300万人を超えました。また、沿線の観光資源の魅力を活かした営業施策を推進するなど、ご利用拡大に向けた取組みを積極的に展開しました。
 超電導磁気浮上式鉄道(以下「超電導リニア」という。)による中央新幹線については、工事実施計画の認可を受けた品川・名古屋間について、地域との連携を密にしながら、測量、設計、用地取得を進めるとともに、名古屋駅東山線工区々岐阜県駅(仮称)、中部総合車両基地等で工事契約を締結しました。また、都市部非常口の工事契約については、品川・名古屋間に設置する13箇所全てにおいて締結しました。さらに、これまでに工事契約を締結した工区において、地域にお住まいの方々へ工事概要や安全対策等についてご説明するための工事説明会を開催したほか、南アルプストンネル静岡工区については、引き続き工事作業員等の宿舎施設の建設を進めるとともに、静岡市と協定書を締結した中央新幹線の建設に伴う林道東俣線の整備を進めるなど、今後の工事着手に向けて取り組みました。工事については、新たに神奈川県の犬蔵非常口、愛知県の第一中京圏トンネル西尾工区及び中間駅として初めてとなる神奈川県駅(仮称)で本格的な工事に着手しました。既に工事に着手している南アルプストンネル山梨工区では斜坑、先進坑及び本坑の掘削、長野工区では斜坑及び先進坑の掘削を進めるとともに、品川駅及び名古屋駅では工事桁等を施工したほか、山岳トンネル、都市部非常口等で工事を着実に進めました。このうち北品川非常口では、都市部非常口として初めて立坑本体が完成するとともに、同非常口からトンネルを掘削するシールドマシンが完成し、搬入する準備を進めました。引き続き、工事の安全、環境の保全、地域との連携を重視して着実に取り組みます。
 一方、山梨リニア実験線においては、営業線仕様の車両及び設備により、2編成を交互に運用して、引き続き長距離走行試験を実施することなどにより、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた実証等を進めるとともに、超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みました。また、走行試験を着実に行う中で、「超電導リニア体験乗車」を実施し、多くの方々に速度500km/h走行を体験していただきました。さらに、営業車両の仕様策定に向け、L0系をさらにブラッシュアップさせた改良型試験車が3月に完成しました。
 海外における高速鉄道プロジェクトへの取組みについては、米国テキサスプロジェクトの事業開発主体に対して、現地子会社「High-Speed-Railway Technology Consulting Corporation」により技術支援を進めるとともに、現地子会社「High-Speed-Railway Integration Corporation」により日本側企業とともにプロジェクトのコアシステムの受注契約に向け、事業開発主体との協議等を行いました。また、引き続き超電導リニアシステムを用いた米国北東回廊プロジェクトのプロモーション活動を推進しました。さらに、台湾高速鉄道において技術コンサルティングを進めました。加えて、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを推進しました。
 鉄道以外の事業については、JRセントラルタワーズとJRゲートタワーを一体的に運営し、積極的な営業・宣伝活動を行うことで、収益の拡大を図ったほか、JRセントラルタワーズでは、開業20周年の取組みを行いました。また、流通事業の活性化や駅商業施設のリニューアルを行い、競争力、販売力の強化に努めました。
 さらに、経営体力の一層の充実を図るため、安全を確保した上で設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化の徹底に取り組みました。
 しかしながら、これらの諸施策を進めた一方で、前述のとおり、2月以降、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出自粛等の影響により、ビジネス、観光ともにご利用が大幅に減少したことから、当期における全体の輸送実績(輸送人キロ)は、前期比3.5%減の634億2千7百万人キロとなりました。また、営業収益は前期比1.8%減の1兆8,446億円、経常利益は前期比9.2%減の5,742億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9.3%減の3,978億円となりました。
 これをセグメントごとに示すと次のとおりです。

@運輸業
 東海道新幹線については、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、不断のコストダウンを重ねながら大規模改修工事を着実に進めました。地震対策については、脱線防止ガードの敷設を進めるなど、東海道新幹線全線を対象にした脱線・逸脱防止対策に取り組みました。また、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、お客様のご利用の多い時期や時間帯に、需要にあわせたより弾力的な列車設定に努めるとともに、N700A(3次車)の投入を完了し、車種統一に伴う全列車の最高速度285km/h化等により3月に「のぞみ12本ダイヤ」を実現しました。さらに、既存車両に地震ブレーキの停止距離短縮等の3次車の特長を反映させる改造工事を昨年9月に完了しました。令和2年7月に営業運転開始を予定しているN700Sについては、投入に向けた準備を進めるとともに、N700S確認試験車により、360km/hでの速度向上試験、バッテリ自走システム走行試験及び長期耐久試験を行いました。加えて、可動柵について、新大阪駅20〜26番線ホームへの設置工事を進め、25、26番線ホームでの使用を開始するなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。
 在来線については、名古屋工場の耐震化等に加え、高架橋柱の耐震化に着手するなど地震対策を引き続き進めるとともに、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良等を計画的に推進しました。また、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせ弾力的に増発や増結を行いました。さらに、可動柵について、金山駅東海道本線ホームへの設置工事を進めるとともに、内方線付き点状ブロックの整備対象を乗降1千人以上の駅に拡大して取替を進めるなど、安全・安定輸送の確保と輸送サービスの一層の充実に取り組みました。加えて、ハイブリッド方式の次期特急車両HC85系の試験走行車を新製し、基本性能試験を開始したほか、3月には、東海道本線御厨駅を開業しました。
 新幹線・在来線共通の取組みとしては、自然災害や不測の事態等の異常時に想定される様々な状況に対応すべく実践的な訓練等を実施するとともに、G20大阪サミットの開催にあたり、関係機関と連携し、駅や車内等における安全の確保に努めました。また、ラグビーワールドカップ2019の開催にあたり、臨時列車を運転するなど、利便性の確保に努めました。さらに、地震対策として、駅の吊り天井の脱落防止対策を進めました。
 営業施策については、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスである「エクスプレス予約」及び「スマートEX」をより多くのお客様にご利用いただくために積極的な宣伝活動を行うとともに、「EXのぞみファミリー早特」をはじめとした観光型商品等の販売促進に取り組み、幅広く需要の喚起を図りました。また、京都、奈良、東京、飛騨等の観光資源を活用した各種キャンペーンを展開し、これと連動しか旅行商品を設定しました。さらに、JR6社で行う「静岡デスティネーションキャンペーン」を通じて、自治体や旅行会社等と連携し、魅力ある観光素材・商品の開発や観光列車の運行等に取り組むとともに、「Japan Highlights Travel」、「Shupo」等を通じて地域との連携を強化し、お客様のご利用拡大に努めました。加えて、訪日外国人の利便性向上を図るため、東海道新幹線における車内の無料Wi−Fiサービスの整備を完了するとともに、百万人キロ、在来線は前期比0.4%減の94億1千8百万人キロとなりました。
 バス事業においては、安全の確保を最優先として顧客ニーズを踏まえた商品設定を行い、収益の確保に努めました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比2.1%減の1兆4,312億円、営業利益は前期比7.1%減の6,176億円となりました。

A流通業
 流通業においては、「ジェイアール名古屋タカシマヤ」と「タカシマヤゲートタワーモール」が連携して、顧客ニーズを捉えた営業施策を展開することで、収益力の強化に努めました。「ジェイアール名古屋タカシマヤ」においては、化粧品売場のリニューアルを実施しました。また、駅構内の店舗においてもリニューアルを実施したほか、品揃えの拡充等を通じて競争力を高めました。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出自粛等の影響により、当期における営業収益は前期比0.6%減の2,632億円、営業利益は前期比23.2%減の74億円となりました。

B不動産業
 不動産業においては、「アスティ大垣」や「アスティ静岡東館」でリニューアルを実施するなど、競争力、販売力の強化に取り組みました。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出自粛等の影響により、当期における営業収益は前期比2.6%減の799億円、営業利益は前期比6.3%減の190億円となりました。

Cその他
 ホテル業においては、魅力ある商品の設定や販売力強化に取り組むとともに、「名古屋マリオットアソシアホテル」において、「コンシェルジュラウンジ」の改装を実施するなど、海外からのお客様のニーズも踏まえたより高品質なサービスの提供に努めました。
 旅行業においては、京都、奈良、東京、飛騨等の各方面へ向けた観光キャンペーン等と連動した魅力ある旅行商品を積極的に販売しました。
 鉄道車両等製造業においては、鉄道車両や建設機械等の受注・製造に努めました。
 上記の結果、当期における営業収益は前期比4.3%増の2,722億円、営業利益は前期比16.1%減の135億円となりました。

 次期については、期初現在、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け国を挙げての取組みが行われており、当社においても、当面厳しい経営環境が続くものの、引き続き感染防止に取り組みながら輸送機関としての役割を果たしていきます。また、安全・安定輸送の確保を最優先にサービスの向上を図り、業務執行全般にわたる効率化・低コスト化に努めて、感染収束後の収益回復・拡大に備えていきます。
 具体的には、鉄道事業において、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策、土木構造物の大規模改修工事等を着実に進めます。また、「のぞみ12本ダイヤ」を活用するとともに、N700Sを投入するなど、サービスの向上を図ります。さらに、オリンピック・パラリンピックを見据え
た中で、国内外の多くのお客様に快適にご利用いただけるよう取り組みます。超電導リニアによる中央新幹線計画については、工事の安全、環境の保全及び地域との連携を重視して、着実に進めます。高速鉄道システムの海外展開についても着実に推進するとともに、関連事業については、JRセントラルタワーズとJRゲートタワーの一体的な運営をさらに充実させ、相乗効果を発揮することで、収益拡大を図ります。こうした各種課題を着実に進めるため、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたり知恵を絞り効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。

 次期の業績予想については、現在、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出自粛等の影響により鉄道等のご利用が大幅に減少しており、今後も業績に影響を与える未確定な要素が多く、現時点で算定が困難であるため未定とし、可能となった時点で速やかに公表します。

(2)当期の財政状態の概況
 期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ97億円増の7,613億円となりました。また、長期債務残高は、前期末と比べ50億円減の4兆8,460億円となりました。

@営業活動によるキャッシュ・フロー
 2月以降の新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出自粛等の影響により、当社の運輸収入、グループ会社ともに減収となったことなどから、営業活動の結果得られた資金は前期比50億円減少し、5,952億円となりました。

A投資活動によるキャッシュ・フロー
 中央新幹線建設に伴う固定資産の取得等による支出は増加したものの、中央新幹線建設資金管理信託の取崩しによる収入により相殺された一方で、資金運用による支出が減少したことから、投資活動の結果支出した資金は前期比450億円減少し、5,524億円となりました。

B財務活動によるキャッシュ・フロー
 長期債務の返済による支出が増加した一方で、社債の発行による収入が増加したことにより相殺され、財務活動の結果支出した資金は前年並みの329億円となりました。

(3)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
 当社は、社会的使命の強い鉄道事業を経営の柱としていることから、長期にわたる安定的な経営基盤の確保・強化に取り組むとともに中央新幹線計画等の各種プロジェクトを着実に推進するため内部留保を確保し、配当については安定配当を継続することを基本方針としています。
 この方針に基づき、当期の期末配当については、本年1月に公表した配当予想どおり1株当たり75円とする予定です。
 また、次期の配当については、上記の安定配当を継続するという基本方針に変更はありませんが、現時点で業績予想の算定が困難であるため、配当予想は未定とし、可能となった時点で速やかに公表します。