ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2019-09-04 18:15:17 |
2019年(令和元年)9月4日
西日本旅客鉄道 近畿統括本部 JR西日本コミュニケーションズ 大阪大学 「仕掛け」が、駅の人の流れを変えた!! JR西日本グループと大阪大学が、JR大阪駅での実証実験結果を発表! <調査結果の概要> 実験期間中、通常時に比べ、階段の利用者は1日あたり1,342人増加* *統計処理により、「仕掛けなし」期間中と「仕掛けあり」期間中の休日の流動・なにわ淀川花火大会(8/10)等の影響等を排除した分析結果。 実験概要: JR西日本グループと大阪大学大学院経済学研究科「シカケラボ(仕掛学ゼミ**)」は、JR大阪駅にて、7月30日(火)〜8月5日(月)の期間、より利用しやすい駅の実現を目指した実証実験『大阪環状線総選挙』を実施いたしました。この実験は、駅構内で混雑や問題が発生しやすいエスカレーターの利用者を減らし、階段の利用者を増やすことを目的としています 実施場所:JR大阪駅 御堂筋口から大阪環状線ホーム下階段【上り用階段】 実施期間:2019年7月30日(火).8月5日(月) 実験協力:JR西日本テクシア、フォトクラフト社、ジェイアール西日本デイリーサービスネット **仕掛学 人の行動を変える「仕掛け」を対象にした学問。「ついやってみたくなる」“仕掛け”により、問題解決につながる行動を誘発する仕組みを見つけ、新たな”仕掛け”を開発する研究分野。 大阪大学大学院経済学研究科 松村真宏教授が提唱。 ■実験結果詳細 【結果@】階段利用の変化 仕掛けの有無による、階段とエスカレーターの利用状況の変化を確認するために、以下の期間を対象にデータ分析を行いました。 分析対象期間* 仕掛けあり期間(実験中) 7/30(火)〜8/ 5(月) の7日間 仕掛けなし期間(実験後) 8/ 6(火)〜8/12(月・祝)の7日間 まず「仕掛けあり期間」と「仕掛けなし期間」を単純に比較すると、階段とエスカレーターの利用者は以下のようになりました。 <1日あたりの平均利用者数> 階段利用数 エスカレータ一利用数 仕掛けあり期間 19,499人 37,452人 仕掛けなし期間 19,311人 38,583人 こちらのデータのうち、今回、利用者増加を目指した「階段利用者数」が、仕掛けがあることで純粋にどれだけ増えたかを推計するために、週末特有の人の流れ、淀川花火(8/10)などの影響を排除する統計処理**を行いました。 その結果、「大阪環状線総選挙」の期間中は、階段利用者が1日あたり1,342人増加したことが推計できました(階段の利用者数は一日あたり15,000〜23,000人ほど)。今回の実験が階段の利用者の増加に一定の効果があり、エスカレーター利用の減少に与える影響が見られる結果を得ることができました。 <他の影響を排除した階段利用者の増加人数(推計)> 階段利用者増加数 福島側 天満側 1,342人 528人 814人 <松村教授の結果についてのコメント> 連日うだるようさ暑さだったので階段を使ってもらえるか心配していましたが、「大阪環状線総選挙」という仕掛けによって階段利用者数が増えたことが明らかになってホッとしました。 また、今回分析したモデルの調整済み決定係数は0.72であり、まずまずの説明力がありました。 今回のお題は「アフター5に行くならどっち?」ですが、このお題を毎週変えることでこの階段を通ることが通勤・通学の楽しみになり、階段利用が習慣化するようにできればと考えています。今回は選択肢を階段にだけ設置しましたが、エスカレーターも使って3択にすることも考えられます。今後、この取り組みが、世の中の流行を検証できる場になればと思います。 * 当初、天神祭に伴う利用者増の影響を受けない、「仕掛けなし」の7/16(火)から7/22(月)と実験期間中の流動人数を分析予定であったが、両期間の気温差により流動が著しく変動したため、気温が近い実験後1週間の流動人数との比較を行った。 **階段利用者数を以下の変数で統制し、重回帰分析を行った。大阪環状線総選挙(ダミー変数)/エスカレーターの利用者数(連続変数)/週末(ダミー変数)/なにわ淀川花火大会(8/10)(ダミー変数)/午後(12時〜18時)(ダミー変数)/夜間(18時〜)(ダミー変数) 【結果A】福島派vs天満 実験期間の1週間の福島派、天満派の得票数(通行人数)は、それぞれ50,731票(人)、85,759票(人)となりました。これがそのまま、それぞれの街の人気を表しているかは分かりませんが、こちらの投票結果は天満派の勝利となりました。 多くの駅利用者の皆様に、投票にご参加いただいたこと、大変感謝いたします。 【最後に】実験による発見と今後に向けて 今回の実験を通じて、仕掛けの有効性と共に、時間・曜日・気温等により階段・エスカレーターの利用状況に違いがあること、さらに条件による階段の左右の通行量の違いも明らかになりました。このような法則を明らかにすることは、今後、新たな仕掛け開発や、駅の施設整備・案内表示改善に役立つ知見になることが期待されます。 JR西日本グループと大阪大学シカケラボは、これからも皆様にとって利用しやすい駅や電車の実現を目指して、さまざまな取り組みを続けてまいりたいと思います。今後も、私たちの活動にご注目ください! |
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