NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.5077 (Re:5076) 【国土交通省】ホームドア整備に関するWGによる提言
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2019-07-31 22:51:36
                           令和元年7月31日
       ホームドアの更なる整備促進に向けた提言
         (ホームドア整備に関するWG)


 鉄道駅のホームドアは、ホームにおける転落・接触事故やそれに伴う列車遅延を大きく減少させる効果を有する。ホームドアの整備については、視覚障害者の累次の転落死亡事故や国の補助制度の創設を契機として、首都圏や地下鉄を中心として進展しており、多くの利用者の安全・安心に貢献している。
 本WGは本年3月から検討を始め、今後のホームドア整備に向けた考え方等について、学識経験者、視覚障害者団体、消費者団体の参画の下、ホームドアを取り巻く現状を分析するとともに、鉄道事業者からの意見聴取や、利用者へのアンケートを実施し、議論を重ねてきた。ホームドアの整備目標等については引き続き検討を深めていくこととするが、ホームにおける転落・接触等が依然として発生している状況に速やかに対応するため、ホームドアの更なる整備促進に向けて、以下のとおり提言する。

1.ホームドアの意義について
○これまで、ホームドアは視覚障害者のホーム転落を防止するための設備として整備が進められてきた。一方、全国で年間 3千件程度発生しているホームにおける転落・接触等は、視覚障害者のみならず、一般利用者においても多く発生している。
○また、アンケート調査結果によると、鉄道利用者(視覚障害者を含む。)の多くは、ホームドアを視覚障害者のための施設にとどまらず、さらに、全ての利用者のための施設であると認識している。
○これらから、ホームドアは視覚障害者等のためのバリアフリー施設であるとともに、一般利用者を含めた全ての利用者の安全性の向上を図るための施設でもあることを認識した上で、ホームドアの更なる整備を推進していくことが必要である。

2.番線に着目したホームドア整備について
○ホームドアの整備は、鉄道事業者等の取組みにより着実に進んでいるものの、これまで優先整備の対象としてきた1日当たりの平均利用者数が10万人以上の駅については、コストや車両の扉位置が揃っていない等の課題から整備済み駅数が123駅/279駅(2018年度末時点)となっており、引き続きその整備を鋭意推進していくことが求められている。○さらに、10万人以上駅には複数の番線があり、番線に着目したホームドアの整備状況については、整備済み番線数が353番線/1219番線(2018年度末時点)に留まっている。
○そのため、今後は番線ごとの整備状況にも着目して、計画的にホームドアの整備を促進していくことが必要である。なお、優先整備を行う番線の考え方については、引き続き本WGにおいて駅や番線の利用実態等を分析し、従来からホームドア整備の課題となっている車両扉の統一等の技術的困難さ、停車時分の増大等のサービス低下、膨大な投資費用等の課題を踏まえた上で、整理を行っていくこととする。

3.軽量型ホームドア等の整備促進について
○ホームドア整備には、ホームドア本体費用、設置費用のほか、ホームの補強費用等を要し、一駅当たり数億円から十数億円にのぼる費用がかかり、普及に当たっての大きな課題となっている。
○現在、安全性に十分配慮しつつホームドア本体の設備費用及びホームの補強費用を低減させる、新たなタイプの軽量型ホームドア等が実用化されつつある。このため、更なるホームドアの普及・展開に資するものとして、軽量型ホームドア等の整備を促す政策的誘因の検討を行っていくことが必要である。


 国、地方自治体、鉄道事業者等には、提言を踏まえた、ホームドアの整備促進に向けた一層の取組みを期待する。
 なお、番線ごとの整備の推進に当たっては、視覚障害者に対してホームドアの有無の誤認を与えないよう、ホームページ掲載、駅構内放送等による各番線のホームドアの設置状況等の情報提供を行うなどの配慮が求められる。
 また、新たなタイプのホームドアの実用化に当たっては、事前に視覚障害者の意見を聴取するとともに、導入に当たっては、視覚障害者の不安を解消するため、ホームドアの形状、動作等の情報に関して、事前に十分な周知に努めることが求められる。



           ホームドア整備に関するWG
              委員等名簿

                            (敬称略・順不同)

座 長 秋山 哲男 中央大学研究開発機構 教授
委 員 鎌田 実  東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授
 〃  竹下 義樹 社会福祉法人 日本盲人会連合 会長
 〃  河野 康子 一般財団法人 日本消費者協会 理事
 〃  松橋 賢一 東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 安全企画部長
 〃  深谷 光浩 東日本旅客鉄道株式会社 総合企画本部 投資計画部長
 〃  田遠洋一郎 東海旅客鉄道株式会社 総合企画本部 投資計画部長
 〃  古橋 智久 東海旅客鉄道株式会社 安全対策部長
 〃  中村圭二郎 西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 安全推進部長
 〃  畑中 克也 西日本旅客鉄道株式会社 総合企画本部担当部長
 〃  前川 聡幸 九州旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 安全創造部長
 〃  志村 健  東武鉄道株式会社 鉄道事業本部 計画管理部長
 〃  寺田雄一郎 京王電鉄株式会社 取締役鉄道事業本部副本部長 計画管理部長
 〃  小川 司  小田急電鉄株式会社 交通サービス事業本部 交通企画部長
 〃  小井 陽介 東京急行電鉄株式会社 鉄道事業本部 事業戦略部 統括部長
 〃  竹内 明男 京浜急行電鉄株式会社 鉄道本部 鉄道統括部長
 〃  金口 正幸 近畿日本鉄道株式会社 鉄道本部 企画統括部 営業企画部長
 〃  中村 規彦 阪急電鉄株式会社 都市交通計画部部長
 〃  田地 朗  東京地下鉄株式会社 鉄道本部 鉄道統括部長
 〃  西川 善宣 東京都 交通局 総務部 安全管理担当部長
 〃  小林 圭治 一般社団法人 日本民営鉄道協会 企画財務部長
 〃  寺田 吉道 国土交通省 鉄道局次長
 〃  江口 秀二 国土交通省 鉄道局技術審議官
 〃  吉田 昭二 国土交通省 鉄道局 都市鉄道政策課長
 〃  馬場 裕子 国土交通省 鉄道局 都市鉄道政策課 駅機能高度化推進企画官
 〃  岸谷 克己 国土交通省 鉄道局 技術企画課長
オブザーバー
    奈良 裕信 国土交通省 総合政策局 安心生活政策課長
 〃  上手 研治 国土交通省 鉄道局 鉄道サービス政策室長