NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.3329 (Re:3327) 経営方針、会計基準の選択に関する基本的な考え方
ほりうち(ccbu8181) 2018-04-27 23:37:09

2.経営方針

(1)会社の経営の基本方針
 当社は、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念のもと、鉄道事業において、安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に選択されるサービスの提供、業務効率化等について不断の取組みを行うことにより、日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させることに加え、大動脈輸送を二重系化する中央新幹線の建設により、「三世代の鉄道」を運営するということを使命としており、これを長期にわたり安定的に果たし続けていくことを基本方針としています。
 当社グループとしても、名古屋駅におけるJRセントラルタワーズ・JRゲートタワーの各事業展開に代表されるように、鉄道事業と相乗効果を期待できる事業分野を中心に事業の拡大を推進し、グループ全体の収益力強化を図ります。

(2)中長期的な会社の経営戦略
 当社グループの中核をなす鉄道事業においては、長期的展望を持って事業運営を行うことが極めて重要であり、経営基盤の強化を図りながら、主要プロジェクトを計画的に推進しています。
 東海道新幹線については、これまで安全で正確な輸送を提供するとともに、不断に輸送サービスの充実に向けた取組みを進めてきました。今後についても、安全・安定輸送の確保を最優先に、引き続き東海道新幹線全線を対象とした脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策を推進するとともに、土木構造物の健全性の維持・向上を図るため、大規模改修工事を着実に推進します。また、「のぞみ10本ダイヤ」による弾力的な列車設定、N700A(3次車)の投入に加え、平成31年度末の東海道新幹線全列車の最高速度285km/h運転化に向けた、利便性・安定性をさらに高めるダイヤの検討、N700S確認試験車の走行試験など、東海道新幹線の輸送サービスの一層の充実に向けて取り組みます。
 超電導リニアによる中央新幹線については、当社の使命であり経営の生命線である首都圏〜中京圏〜近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため計画しているものです。現在この役割を担う東海道新幹線は開業から50年以上が経過し、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。また、東日本大震災を踏まえ、大動脈輸送の二重系化により災害リスクに備える重要性がさらに高まっています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、中央新幹線の建設の推進を図るため、財政投融資を活用した長期借入を行ったことを踏まえ、まずは品川・名古屋間の工事を進め、開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に着手し、早期の全線開業を目指して、取組みを進めます。
 また、このプロジェクトは自己負担により進めるものであり、建設・運営・保守など全ての場面におけるコストについて、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的に圧縮して進めるとともに、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応していく考えです。
 鉄道以外の事業においても、「会社の経営の基本方針」に則り、諸施策を着実に推進することにより、グループ全体の収益力の強化に取り組みます。

(3)会社の対処すべき課題
 当社グループは、「会社の経営の基本方針」に基づき諸施策を推進しています。重点的に取り組む施策は、以下のとおりです。
 鉄道事業においては、安全・安定輸送の確保を最優先に、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策についてより安全性の高い方式に改めた脱線防止ガードの全線への敷設を進めるとともに、駅の吊り天井の脱落防止対策、名古屋工場等の建替・耐震補強工事等の地震対策を進めます。また、東海道新幹線の大規模改修工事についても着実に進めます。さらに、高い感度で設備や工事に内在するリスクを掘り下げ、安全に関する仕組みを再点検し、一層の事故防止に努めるとともに、自然災害等へより適切に対処するため、実践的な訓練を繰り返し実施します。
 東海道新幹線については、「のぞみ10本ダイヤ」を活用して、お客様のご利用の多い時期や時間帯に、需要にあわせたより弾力的な列車設定に引き続き取り組みます。また、N700A(3次車)の投入を進めるとともに、既存車両に地震ブレーキの停止距離短縮等の3次車の特長を反映させる改造工事を進めます。さらに、平成31年度末の東海道新幹線全列車の最高速度285km/h運転化に向けて、利便性・安定性をさらに高めるダイヤの検討を進めます。加えて、当社ホームページに各駅の発車状況や個別列車の運行状況等の表示を加えます。
 在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、引き続き需要にあわせ弾力的に増発や増結を行います。また、当社ホームページに列車の在線位置情報の表示を加えるほか、TOICAについて、平成31年春のご利用エリア拡大に向けた準備を進めます。
 営業施策については、「エクスプレス予約」及び「スマートEX」の便利さを知っていただき、より多くのお客様にご利用いただけるよう取り組むとともに、「EXのぞみファミリー早特」など観光型商品の販売促進を通じて幅広く需要の喚起を図ります。また、京都、奈良、東京、飛騨、伊勢志摩等を対象に、魅力ある商品設定や観光キャンペーンの展開に取り組むとともに、「愛知デスティネーションキャンペーン」を通じて、自治体や旅行会社等と連携し、魅力ある観光素材・商品の開発や観光列車
の運行等に取り組みます。さらに、海外からのお客様に便利に鉄道をご利用いただけるよう、「スマートEX」の訪日外国人向けサービスのご利用拡大を図るとともに、周遊きっぷ等の販売促進、無料Wi-Fiサービスの駅や車内への拡大、在来線駅のナンバリングに取り組みます。
 旅客関連設備については、ホーム上の可動柵について、東海道新幹線の新大阪駅において20〜26番線への設置工事に着手します。在来線については、金山駅における実証試験を進めるとともに、設置に向けた仕様の検討等を行います。また、在来線のホームにおける内方線付き点状ブロックへの取替について、乗降3千人以上の駅での取替計画を2年前倒して完了します。在来線駅におけるエレベーターや多機能トイレの設置等バリアフリー設備の整備についても引き続き推進します。
 超電導リニアによる中央新幹線計画については、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながらプロジェクトの完遂に向けて、さらなる緊張感を持って着実な推進に取り組みます。また、引き続き、地域との連携を密にしながら、測量、設計、用地取得等を計画的に遂行します。さらに、工事については、工期が長期間に亘り難易度が高い、南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅のほか、山岳トンネル、都市部非常口等について、引き続きトンネルや非常口の掘削、地中連続壁の構築等を進めるとともに、平成30年3月に認可を受けた中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その2)に基づく電気関係工事等必要な準備が整ったところについても、工事の安全と環境の保全を重視し、各種工事を着実に進めます。加えて、中央新幹線の高度かつ効率的な運営・保守体制の構築に向けて取り組みます。
 一方、山梨リニア実験線において、営業線仕様の車両及び設備により、2編成を交互に運用して、引き続き長距離走行試験を実施することなどにより、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた実証等を進めるとともに、さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップ及び営業線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組みます。また、「超電導リニア体験乗車」を引き続き計画的に実施し、超電導リニアのさらなる理解促進に取り組みます。
 高速鉄道システムの海外展開については、米国テキサスプロジェクトの事業開発主体に対し、現地子会社(High-Speed-Railway Technology Consulting Corporation)により技術仕様策定等の技術支援を進めるとともに、超電導リニアシステムを用いた米国北東回廊プロジェクトのプロモーション活動、台湾高速鉄道における技術コンサルティングを引き続き進めます。また、「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めます。
 技術開発の推進については、N700S確認試験車による走行試験を行い、量産車の仕様確定に向けて最終確認を行います。また、ハイブリッド方式による在来線次期特急車両の試験走行車の新製を進めます。さらに、状態監視技術等を活用した検査や保守の高度化・省力化、及び設備の維持更新等におけるコストダウンにつながる技術開発を進めるほか、各種災害等に対して、より安全性を高めるための技術開発を実施します。
 鉄道以外の事業については、JRセントラルタワーズとJRゲートタワーを一体的に運営し、既存事業も含めて、相乗効果を最大限に発揮することにより、様々なニーズにお応えし、収益の拡大を図ります。また、流通事業や駅ビル事業の活性化、当社所有地の有効活用、高架下開発等の事業推進に取り組むなど、当社グループとして一層の収益力向上、競争力強化に取り組みます。
 地球環境問題については、鉄道本来の地球環境への優位性についてご理解いただく取組みを行うとともに、引き続き大幅な省エネルギーの実現を可能とするN700Aの投入等の地球環境保全に資する諸施策を進め、日常の業務遂行にあたっても省資源・省エネルギーに取り組みます。
 引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたり、知恵を絞り効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図ります。

3.会計基準の選択に関する基本的な考え方

 当社グループは、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(日本基準)を適用しております。将来の国際会計基準(IFRS)の適用につきましては、我が国における制度適用の状況を踏まえながら検討を進めていく考えです。

※入力者注:財務諸表については掲載を省略させていただきます。