NEWS RELEASE:JR&私鉄    4
No.6099 【JR海】在来線降雨運転規制に「土壌雨量」「レーダ雨量」を利用
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-05-15 21:46:17
                           2020年5月15日
                           東海旅客鉄道株式会社

        在来線の新しい降雨運転規制の導入について

 当社の在来線においては、駅などに設置した147箇所の雨量計を用いて、降雨量が規制値に達した場合に徐行や列車抑止などの運転規制を実施し、安全を確保しています。
 このたび、一層の安全確保を目的として、土砂災害の発生危険度の把握に優れた指標である「土壌雨量」を用いた運転規制を導入します。また、線路から離れた場所を発生源とする土石流の危険度を評価するシステムを用いた運転規制を導入しますので、お知らせします。

1.概要
(1)「土壌雨量」を用いた運転規制(別紙1) 
・雨量計による運転規制は、現在「時雨量」と「連続雨量」の2つの指標によって行っています。このたび、長雨による災害を評価する指標である「連続雨量」に代えて、気象庁が土砂災害警戒情報等に用いるモデルを活用して算出する「土壌雨量」を導入します。具体的な「時雨量」と「土壌雨量」の運転区間ごとの規制値については、地形や過去の災害履歴など、当社のデータに照らして設定します。このような方法により、運転規制をより的確に行うことができるようになります。

(2)土石流発生危険度評価システムを用いた運転規制(別紙2) 
・線路から離れた場所を発生源とする大規模な土石流が想定される渓流を対象に、レーダ雨量(※)を用いて、渓流ごとの危険度をリアルタイムに評価するシステムを新たに開発し、そのシステムを活用した運転規制を導入します。 
・本システムは、2014年度から当社において研究開発を進めてきた成果を活用したもので、鉄道沿線の渓流からの土石流発生の危険度を評価し、鉄道の運転規制に取り入れるのは国内初となります。

※レーダ雨量とは、降雨量を直接計測する雨量計と異なり、気象庁や国土交通省が
地上に設置しているレーダから空中に電波を発射することで、雨の強さを把握するもので、1km四方程度の降雨の状況を面的に観測できるものです。
 なお、当社は局地的な集中豪雨等をきめ細かく捉えるためにレーダ雨量を活用した運転規制を2020年6月1日から行います。これを全線で導入するのは国内初です。

2.開始時期
 2020年6月1日(予定)


別紙1

「土壌雨量」を用いた運転規制

【現行】「時雨量」と「連続雨量」の組合せによる運転規制(1972年開始)
 「時雨量」:過去1時間に降った降雨量
 「連続雨量」:降り始めからの単純な累積(12時間降雨なしで0mmにリセット)

【導入後】「時雨量」と「土壌雨量」の組合せによる運転規制
「土壌雨量」:土壌中に浸み込んでいる水分量
 =貯留している水分(前に降った雨の影響)+現在の降雨による浸透水
・土砂災害の発生危険度の把握には、これまでの「連続雨量」より、「土壌雨量」を用いることが有効
・「土壌雨量」は、気象庁が土砂災害警戒情報や大雨警報で用いているモデルを活用して算出
・算出した「土壌雨量」を、地形や過去の災害履歴など、当社のデータに照らし、運転規制を実施


別紙2

土石流発生危険度評価システムによる運転規制
これまでの課題
 線路から離れた場所を発生源とする土石流の危険度が高まったことを事前に把握して運転規制を行うことが課題
本システムの特徴(特許出願済)
・渓流ごとに現場調査を行い、渓流の地形・地質を考慮した評価システムを構築
・渓流域のレーダ雨量から、土石流発生の危険度をリアルタイムに評価
・危険度が高まった渓流を含む運転区間に警報を出し、運転規制を実施
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