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No.6587 【鉄ピク】6月号別冊 [国鉄形車両の記録] キハ55系気動車
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-05-26 21:44:11
株式会社電気車研究会
鉄道図書刊行会
http://www.tetsupic.com

鉄道ピクトリアル
THE RAILWAY PICTORIAL(c)
鉄道ピクトリアル6号別冊
雑誌06412-6 (L)-7/20
特別定価2200円[本体価格2000円]

2020年6号別冊 国鉄形車両の記録 キハ55系気動車

 戦後における国鉄の内燃動車開発の歴史事情は,実際の技術展開についても捉え方によって評価が賛否さまざまに分かれていて,興味深いものがある.いずれにしても,DMH17系機関の改良と液体変速機の確立が気動車発展の基盤となったことは事実であり,1954(昭和29)年にキハ45000(→キハ17)の系列が登場し各地のローカル列車に気動車の普及が急速に進み,戦後の輸送近代化を活気づける役割を果たした.
 気動車がローカル列車として一定の実績を挙げるようになると,さらに優等列車などへ気動車投入の期待感が高まるのは当然のことであった.こうした流れに沿って勾配区間に対応した出力の増強や車体の大型化などの技術開発・改良が進められ,客車や電車と同等の接客設備に持った準急用キハ44800(→キハ55)形が1956(昭和31)年に登場,東京から国際的観光地・日光への輸送をめぐる東武鉄道との対抗から日光準急に投入されて大幅な時間短縮とサービスアップを実現し注目を浴びた.これを契機に,従来の小型で簡易な車体のイメージが強かった気動車は,他の車種と遜色のない汎用な車種としての概念が形成され,ローカルから優等列車まで幅広く発展していくこととなる.キハ55系は,その後改良・増備を重ねて都市間,観光輸送の準急列車へ展開され,さらに1959(昭和34)年には本格的な気動車急行として上野−仙台間の「みやぎの」に投入された.急行「みやぎの」ではそれまでの準急色の外部塗色を一新した急行色が採用され,のちのキハ58系へと引き継がれていった.
 一方,キハ55系のグループとして1960(昭和35)年にはキロ60 1,キハ60 1・2が新製された.この3両は400PSの大形機関を搭載した強力形気動車の試作車であり,走行システムはもとより車体各部で新しい試みが取り入れられ,次世代の気動車開発の基盤を築いた.その方向性は後年の急行形キハ65形や特急形キハ181系などに引き継がれて,さらなる気動車普及の下地を形成したものとして,この時代において特筆すべき車両といえる.
 キハ55系は大形車体となった国鉄初の気動車であり,優等列車用としても先駆けを担ったが,1961(昭和36)年からは急行形キハ58系が開発されるに及び,準急・急行として主役の座を担った時代は長くはなかった.後年はキハ17系やキハ20系などに混ざってローカル輸送に就く機会が多く,数ある国鉄形気動車の中では,どちらかといえば不遇な存在である.しかし,国鉄車両史における展開のうえで,その存在感は高く,気動車発展の歴史を語るうえでは欠かすことができない系列である.本別冊において,そうしたキハ55系の技術と歴史上の価値などについて理解を深めていただき,読者の皆さまの知見の広がりにお役に立てれることができれば幸いである.
 2020年4月 鉄道ピクトリアル編集部


目 次

花開く気動車の時代
 長谷川 明・星 晃・久保 敏・根本幸男・豊永泰太郎・浜村正弘……1

キハ55系気動車のあゆみ              平石大貴……10
            (キハ55系が運用された優等列車の編成 37)

私鉄におけるキハ55系               平石大貴……42

キハ55系気動車 形式集           構成:平石大貴……50

キハ55系準急形ディーゼル動車 運転史セレクション    ……140

キハ55系気動車 車歴表          作成:鏑木隆史……150
撮影日:
撮影場所:
キャプション: ■準急「せと」/高松1961-4 星 晃 ■キニ26 1/倉敷1979-12-14 久保 敏 ■キロ25形/東京1960-3-34 星 晃 ■キハ44800形/東京1956-10-5 星 晃 ■島原鉄道キハ2602/南島原1964-5-10 星 晃
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