ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2009-03-16 18:11:02 |
非営利活動法人 名古屋レール・アーカイブス 2009年3月
http://nagoyarail-acv.or.jp/nra/ NRA NEWS No.5 「新金沢文庫」解題 和久田康雄 このたびNRAに寄託した私の「新金沢文庫」について、簡単な解題をしておこう。なお、以下の書名に付けた番号は私の整理番号であり、各冊の末尾にスタンプしてある。 まず、これらの本は私が購入したり寄贈を受けたりしたものだが、総記関係の2冊だけは昔からわが家に伝わっていた。それは1008『普国軍用鉄道記事』と1009『軽便鉄道』(ともに1905年)で、鉄道大隊がまとめた冊子。祖父が日露戦争に鉄道兵として出征した(このため私の父は鐵雄と名付けられた)関係から、浜松にあった実家の土蔵で見つかったものである。なお、普国とは日本陸軍がお手本にしたプロイセンであり、ここでいう軽便鉄道とは軍用軽便鉄道のことである。 次に、この文庫の特色は歴史・伝記関係が多いことである。中でも私鉄の社史や公営の局史は、ごく最近のものを除いてかなり網羅されている。2151『東京市電気局十年略史』(1921年)あたりから始まり、大戦中の刊行も2087『東京横浜電鉄沿革史』(1943年)がある。また、百年史としては2567南海電気鉄道、2623伊予鉄道、2776名古屋鉄道、2861東武鉄道、2893京浜急行、2936阪神電気鉄道などが見られる。 春秋社の「鉄道交通全書」(1936〜1939年)は、ほとんど揃っている。経済・法制関係に3074中川正左著『交通原論』、3017喜安健次郎著『鉄道法規論』など14冊(1〜12,14,15巻)があるほか、施設関係に6082古川淳三・中川一美著『停車場』(16巻)、車両関係に4011朝倉希一著『鉄道車両』(17巻)、電気関係に5047森田重彦著『電気鉄道工学』(20巻)が入っている。 車両関係でちょっと特色があるのは、4033『Locomotive Dictionary 1909』、4034『Locomotive Dictionary and Cyclopedia 1919』、4125『Locomotive Cyclopaedia 1938』があり、同じようなもので電気関係の5023『Electric Railway Dictionary』(1911年)もあることである。これらは日本で入手した古書であり、当時の鉄道マンは先進国アメリカの技術情報をよく調べていたことがわかる。なお、こうした革装の洋書は、手入れをしてこなかったため革がボロボロになっていて、さわると手や衣服が茶色く汚れるのでご用心いただきたい。 趣味・芸術・随筆関係では、国鉄出身の作家・上田廣の本がかなり集まっている。7430『黄塵』(1938年)、7286『建設戦記』(1939)、7044『指導物語』(1940年)、7272『歳月』(1942年)、7310『濃霧』(1946年)、7041『海底トンネル第一号』(1956年)、7387『津軽海峡』(1957年)、7242『新橋ステーション』(1966年)といった具合。1970年代後半からの紀行作家・宮脇俊三とレイルウエイライター・種村直樹の作品も、ほとんどが収められている。 運転・時刻表関係では、庚寅新誌社の『汽車汽船旅行案内』が数冊あるのに続いて、これが公益社などと合同して成立した旅行案内社の『公認汽車汽船旅行案内』の1915年から1921年までの各1月号が所蔵されている。これはかつて古書展に揃いで出た時に、私には全部買う資力がなかったため、1月号だけを抜いて売ってもらった結果である。 定期刊行物では、1929〜1938年発行の『鉄道』誌が揃っているが、1930年代の『鉄道趣味』誌は数冊あるだけ。それよりも『私鉄統計年報』が1949年度以降、『民鉄統計年報』を経て現在の『鉄道統計年報』に至るまで欠号なく所蔵されているのは、研究家のお役に立つのではないか。1958年度以降の『私鉄要覧』→『民鉄要覧』→『鉄道要覧』も同様である。 NRAの作業日・打ち合わせ日は、第2・第4日曜日午前10時からです。 ぜひ、ご参加ください。 |
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