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No.324 (Re:323) 【鉄道友の会】2008年ブルーリボン賞 車両の解説・選定理由
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2008-06-16 23:16:49
2008年6月16日
鉄道友の会

東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道 N700系

 2008年ブルーリボン賞は、有効投票数2512票のうち最高得票の629票を獲得した東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道 N700系を選定することに決定しました。
 N700系は、東海道・山陽新幹線用として航空機などとの競争に対応すべく、曲線の多い東海道区間とトンネルが多く最高速度の高い山陽区間の双方で、最高の性能を発揮させることを意図して、両社において共同開発された新幹線電車です。新幹線では初となる車体傾斜装置を採用し、東海道区間において乗り心地を損なうことなく曲線通過速度を高めています。また、先頭形状は「遺伝的アルゴリズム」を用いた設計手法により、流体力学的に最適な形状としたエアロ・ダブルウィング形とし、連結面を覆う全周ほろの採用とともに、走行抵抗と騒音の低減を図っています。これにより、山陽新幹線区間での運転最高速度300km/h運転を実現しています。さらに、編成全体にわたる出力増強と動力配置の最適化により、加速力の向上と、回生ブレーキの効果向上による省エネを同時に実現し、セミアクティブ制振制御装置を全車に設置したことにより、乗り心地向上も実現しています。ATCや制御伝送システムのデジタル化といった列車や車両の制御や保安のための技術の充実も活かし、日本が誇る鉄道システム「新幹線」の新しい時代に高い次元で調和する車両として、今までにない機能を実現しています。
 旅客サービスとしては、グリーン車へのリクライニング操作と連動して座面が傾斜するシンクロナイズド・コンフォートシートの導入や、客室内電源コンセントの大幅な増設といった近年の生活やビジネススタイルの変化に合わせた装備の充実などの意欲的な試みが、乗り心地や静粛性の向上に惜しみなく投入された技術と相まって、格段の快適性が得られています。
 このN700系の投入により、品川、新横浜など大都市圏での停車駅増加を実現しながら、「のぞみ」号が持つ速達性の維持・向上が可能となっただけでなく、さらなる省エネ化も達成され、鉄道輸送の優位性を示すことになりました。このような東海道・山陽新幹線用車両として歴代最強となる存在感と快適性が鉄道友の会の多くの会員の支持を集めたことから、ブルーリボン賞に選定しました。