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No.1804 (Re:1802) 【映画】『RAILWAYS』シリーズについて
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2011-09-29 18:57:27
PRODUCTION NOTE  『RAILWAYS』シリーズについて

風光明媚な日本の風景の中を走る電車の映像を切り取りながら、決して大規模ではないけれど、地元の足として頑張っている地方鉄道に光を当てていきたい。そして、それが地方を元気にすることに繋がれば―。前作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』に続き、製作総指揮を務める阿部秀司エグゼクティブプロデューサー(以下、EP)は、シリーズのコンセプトをこう語っている。

実際に、前作の公開後、ロケ地となった島根県の一畑電車は脚光を浴び、映画が公開された5月から客足が伸び始め、公開後の期の営業成績が前年同期比8.7%増となるなど、映画がその地の活性化に一役かっている。今でも一畑電車の出雲大社前駅の駅舎には、『RAILWAYS』の初日に使われた出演者のメッセージが書かれた伝言板が置かれ、地元の人々に利用されている。更に映画公開に合わせ、かねてからの懸案であったデハニ50形活用策の一環として開始した「デハニ50形体験運転」も人気を博し、今年から通年実施されるなど、『RAILWAYS』が今も島根で息づいている。
そして、今作でロケ地に選ばれたのは、富山県の富山地方鉄道。富山市内から宇奈月温泉や立山までを網羅する、シリーズコンセプトにも合っている地元に密着した鉄道会社。前作では、一畑電車が宍道湖のほとりを走る美しい風景が印象的だったが、今回は、巨大な立山連峰を背負って電車が走る独特の勇壮な風景も決め手となった。
ロケ地決定を受けて、富山市は、本映画への出資を決定した。自治体が、映画に補助金を出すなどの例はあるが、出資して委員会に名を連ねるのは初めての出来事。映画を通して、富山を全国的に発信したいという期待もあるが、鉄道に光を当てるという作品のコンセプトが、路面電車などの公共鉄道を核に、環境に優しいコンパクトな街づくりという、全国からも注目される富山市の取り込みとも合致し、出資の運びとなった。

一方で「団塊の世代がどんどんと定年を迎えている中、"その後の人生をどう過ごすか"という、その世代の人々の一番の関心事を映画の題材にしたかった。」という阿部EPの思いが込められた、シリーズ第2弾となる今作。

前作から引き続き描かれるのは、人と人の絆。そのテーマを、日々行きかう人々の人生が交錯し、人と人の絆をレイルが繋ぐ"鉄道"を舞台に描かれるというのもシリーズの大事なコンセプトである。車が個人的な空間だとするならば、鉄道は人と人とがある時間を共有する空間。人との出会いや別れ、知らない人との触れ合いやそこから生まれるドラマ─。多くの人が降り立つ場でもあり、また新たな場所へと旅立つ場でもある駅のプラットホームは、色々なことを乗り越えたり、様々な人生の選択をしながら、共に同じ地に根ざして生きている夫婦の在り様にどこか似ている。

今作は、人の絆の中でも、そんな夫婦の絆が描かれる。
加藤諦三・著「うまくいく夫婦、ダメになる夫婦の心理学」(PHP研究所)に、"鳩型夫婦は最後に息が詰まる"という章があるが、今作で描かれるのも、まさにその典型のような夫婦。鳩型夫婦は、決して言い争わない。それは、言いかえれば、相手に本当の自分を見せず、一方で、相手の本当の姿も見ていない夫婦なのかもしれない。

同著書でさらに、"自分の望みや意見を述べながら。相手とケンカしつつ生活している夫婦には真の親密さがある。"と述べられる。男と女は根本的に違う生き物だから、伝えなければ伝わらないこともあるのに、いつしか自分の気持ちを素直に伝えられなくなっている。まさに"愛を伝えられない大人たち"─。

今回の物語は、夫の定年という夫婦にとっての一大時を前に、この"鳩型夫婦"が、とうとう"大喧嘩"を繰り広げるところから始まる。富山地方鉄道の車両が、ようやくケンカをした夫婦を乗せて、『RAILWAYS』シリーズの新たな旅の始まりである。


「RAILWAYS[レイルウェイズ]49歳で電車の運転士になった男の物語」
監督:錦織良成 主演:中井貴一
オリジナル作品ながら全国動員60万人記録。
劇場鑑賞者への満足度調査(松竹調べ)では満足度96%(大変満足52.4%、満足43.6%)、 再鑑賞意欲40%を獲得。 
Blu-ray  2枚組 3,990円(税込)/DVD  2枚組 3,990円(税込)
発売・販売元:松竹(株)映像商品部
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