ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:13:51 |
ユーレイルパスなど欧州の鉄道パスを日本に輸入している総代理店「レイルヨーロッパジャパン」の月刊ニュースの2007年6号の内容をご紹介します。
旅行代理店向けのニュースですが、ヨーロッパの鉄道きっぷ・鉄道旅行商品についての情報が満載ですので、皆様に紹介させていただきます。 「旅のヒント」は、ユーレイルパスを利用しイギリス・ロンドンから西ヨーロッパを縦断、もう向かいはアフリカ大陸というジブラルタルまでの鉄道旅行をご紹介。ぜひご一読ください。 ///鉄道フォーラム リリース文入力担当 堀内 聡/// RAIL EUROPE JAPAN NEWS 2007/7 2007年 第7号(7月31日発行 通巻 第78号) 発行:RAIL EUROPE JAPAN 今月のニュース ●鉄道アライアンス「レイルチーム」が発足 ●ゴッタルド鉄道125周年で、パノラマ車両が登場! ●「ブリットレイル・ゲストパス」プロモーション継続中! ●氷河特急に“ユーレイル・パスホルダー料金” ●TGVリリアに新たな食事サービス ●TGVリリアの新料金 ●CNLのスケジュール変更 お知らせ ●「ヨーロッパ鉄道パス&チケットカタログ2007」、申込み受付け中 ●一般消費者向けメルマガ会員のご登録について 旅のヒント ●ロンドン発ジブラルタル行き「欧州大縦断旅行」 |
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ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:14:50 |
*【REJ】RAILEUROPE JAPAN NEWS 2007/7つづき*
今月のニュース 鉄道アライアンス「レイルチーム」が発足 ヨーロッパ高速列車を運行する7カ国の鉄道会社が、鉄道アライアンス「レイルチーム」を発足しました。参加メンバーは、フランス国鉄(フランス)、スイス国鉄(スイス)、ユーロスター(英国、フランス、ベルギー)、ドイツ国鉄(ドイツ)、ベルギー国鉄(ベルギー)、NSハイスピード(オランダ)、オーストリア国鉄(オーストリア)の7社、およびタリスやTGVリリア、Alleoを含みます。 レイルチームの発足により、旅行者は今まで以上に西ヨーロッパの高速鉄道網を利用した鉄道旅行がスムーズにでき、利便性が向上します。今後は、列車の遅延によって予定の列車に乗り継ぎができなかった場合、チケットのタイプにかかわらず、次の列車に乗れるよう保証します。また、海外からの旅行者が、どこで、いつ、どのように次の列車に乗り継ぐことができるか容易に分かるように、車内や駅構内では、数カ国語で情報提供を普及させ、サービスの向上を図ります。 レイルチームの各社は、3000万ユーロを投資して新たな流通システムを構築中で、09年には海外からの旅行者が、最適なチケット料金の組み合わせを探し出し、予約や支払い、チケットの受取りがレイルヨーロッパを通して一度の手続きで可能となります。 レイルチームによる情報ポイント(運行情報などが入手可能)が、ブリュッセル、ケルン、リール、フランクフルト、シュトゥットガルトの5つの主なハブ駅に設けられ、今後、ロンドン、ストラスブール、アムステルダム、パリの高速列車の主要駅に設置されます。 西ヨーロッパの高速列車ネットワークはすでに45の主要都市を結び、総距離は4700キロメートル以上におよびます。このネットワークは2010年までに6000キロメートルに延長される予定で、2020年にはその3倍の距離に達する予定です。さらに、レイルチームのメンバーは、2010年までにヨーロッパの高速列車ネットワークを利用する海外からの旅行者は2500万人に達すると期待しています。 ゴッタルド鉄道125周年で、パノラマ車両が登場! 07年、人気のゴッタルド鉄道が125周年を迎えました。これを記念し、ゴッタルド鉄道にパン・ゴッタルド・パノラマ・コーチ(1等のみ26席)が誕生しました。最大の特徴は、座席の向きがボタンひとつで自由に調整できるということです。アルプスの雄大な風景を存分にお楽しみいただけます。さらに、車内にはスクリーンを設置し、螺旋トンネルやアルプスの雄大な風景、ゴッタルド鉄道に関してさまざまな情報を提供します。 同パノラマコーチは10月28日まで、バーゼル〜ロカルノ間、チューリッヒ〜ロカルノ間のルートに導入されます。乗客はファーストクラスの乗車券、もしくは、ファーストクラスのスイスパス、スイスフレキシーパス、スイスを含むユーレイルパスにてご乗車いただけますが、座席予約が別途必要です。 「ブリットレイル・ゲストパス」プロモーション、夏も継続中! ブリットレイルの「ブリットレイル・ゲストパス」プロモーションは今夏も継続中です。ブリットレイルパスを購入した外国人旅行者と、同行する英国在住者(“ゲスト”)のパスのノーマル料金が、1等、2等のどちらのパスにも適用され、いずれも通常料金の25%割引となります。 対象となるパスは、ブリットレイルパス、ブリットレイルフレキシーパス、ブリットレイルイングランドパス、ブリットレイルイングランドフレキシーパスです。お客様におすすめください。 氷河特急に“ユーレイル・パスホルダー料金” スイスを含むユーレイルパス所持者は、氷河特急にご乗車の際、ディセンティス〜ツェルマット間の区間乗車券を25%割引にてご購入いただけます。 氷河特急にご乗車の際には、区間乗車券、または対象となるパスと、座席予約券が必要です。スイスパス所持者は、座席予約のみでご乗車いただけますが、ユーレイルパスはサンモリッツ〜ダヴォス〜ディセンティス間にのみ適用となりますので、ユーレイルパス所持者は別途、氷河特急にご乗車の際、ディセンティス〜ツェルマット間の区間乗車券を購入いただくことになります。 ユーロネットでは氷河特急ユーレイルパスホルダー料金(Glacier Express Eurail Pass HolderFare)として表示されます。 25%割引にてディセンティス〜ツェルマット間の乗車券を購入いただけるのは次のユーレイルパス所持者です。 ・ユーレイル グローバルパス ・ユーレイル セレクトパス(スイスを含む) ・ユーレイル オーストリア-スイスパス、ユーレイル フランス-スイスパス、ユーレイル ジャーマン-スイスパス TGVリリアに新たな食事サービス TGVリリアではこのほど、ワゴン・リー(アコーグループ)とともにパリ〜ローザンヌ線、パリ〜ベルン線、パリ〜バーゼル〜チューリッヒ線で、スイス人シェフFranck Feriguttiによる新たな食事サービスを開始しました。パリ〜ジュネーブ線には同食事サービスは提供されません。 ファーストクラスの乗客は座席にて食事サービスが受けられます。料理、デザートともにその味に定評のあるシェフFranck Feriguttiが、伝統的な料理を基本にしながらもアレンジを加えた創作料理を提供します。メニューは週代わりで、往路・復路ではメニューも異なり、バラエティに富んだ創作料理をお楽しみいただけます。 ◎食事の料金 朝食:12.40ユーロ(21.40スイスフラン) 昼食/夕食:33ユーロ(56.90スイスフラン) スペシャルメニュー:18.50ユーロ(32スイスフラン) ◎メニュー 昼食/夕食:前菜、メイン(その日の料理の中からお選びいただけます)、 チーズ、デザート、 ミネラルウォーター(ボトル)、ホットドリンク スペシャル:前菜とメインの料理、あるいはメイン料理とデザートのどちらかをお選びいただけます。 ※スペシャルメニューをご希望のお客様は、チケット購入時にご予約ください。また、パリ〜ジュネーブ間では食事サービスはありません。 TGVリリアの新料金 TGVリリアのパリ〜ローザンヌ線、パリ〜ジュネーブ/ベルン線の乗車料金が値上がりします。新料金は8月28日以降のチケット販売と乗車分について適用されます。TGVリリアから発表になり次第、エクストラネットの料金表にてお知らせいたします。 TGVリリアは、ジュネーブ、ローザンヌ、ヌシャテル、ベルン、チューリッヒなど、スイスの代表的な年へ乗り入れています。夏季にはレマン湖やバレーへのサマー便が、冬季にはスノートレインも運行されています。 CNLのスケジュール変更 ドイツを中心に各国を結ぶシティナイトライン(CNL)の一部スケジュールが変更となります。 ◎オリオン号(CNL362号)、センパー号(CNL1459号/1458号): 8月17日発便について、建設工事のため、Dresden-Neustadtには停車しません。 ◎オリオン号(CNL362号/363号): 9月1、2日発着便について、建設工事のため、Dresden-Neustadtには停車しません。 |
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ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:16:30 |
*【REJ】RAIL EUROPE JAPAN NEWS 2007/7 つづき*
お知らせ 「ヨーロッパ鉄道パス&チケットカタログ2007」、申込み受付け中 レイルヨーロッパジャパンでは、毎年ご好評いただいている、一般消費者向けの「ヨーロッパ鉄道パス&チケットカタログ」の2007年版の申込みを受付けています。同カタログは、日本で販売している鉄道パス、列車などの情報を網羅しているもので、幅広くヨーロッパ鉄道の販売にご利用いただけるものと確信しています。 (カタログ申し込み自体は代理店向けですが、ニュースとして掲載しました) 一般消費者向けメルマガ会員のご登録について レイルヨーロッパジャパンでは、一般消費者を対象にした「レイルヨーロッパジャパン メールマガジン」の配信を行っています。このメールマガジンには、鉄道に関する最新ニュースだけでなく、レイルエキスパート作成のモデルコース、政府観光局とリンクした各国の現地情報などが満載。一般消費者のヨーロッパ鉄道旅行へのモチベーションを高める内容となっています。 配信は月1回、登録は無料です。受信ご希望の方は、http://www.raku-mag.jp/~re/reg-unreg.htmlまで。 |
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ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:17:38 |
*【REJ】RAIL EUROPE JAPAN NEWS 2007/7つづき*
旅のヒント レイルエキスパートが体験した 鉄道の旅 このコーナーでは、レイルエキスパートが体験したヨーロッパ鉄道旅行を紹介しています。ルートを組む際に気をつけたいポイント、日本でチケットを購入するメリットの具体例など役立つ情報が満載です。販売にお役立てください。 ロンドン発ジブラルタル行き「欧州大縦断旅行」 (近畿日本ツーリスト 高橋 淳) ロンドンからジブラルタルまで、鉄道による「欧州大縦断旅行」に行ってきた。今回の旅は、当初の予定を変更してモロッコ・タンジェへも海を渡って足を伸ばし、総移動距離はバスと船舶による区間も合わせると約3,000キロに及んだ。わずか一週間での大移動、私と同じルートの旅をする人が今後いるとは考えにくいが、部分部分で捉えれば、お客さまに有益な情報も少なからず得られたと思う。私はいわゆる「バックパッカー」で、荷物を預けることなくエッフェル塔に登るという芸当ができる身軽な状態にあったことをお含み置きいただきたい。また、一人旅ゆえ、損得勘定がすべて一人であることが基準になっていることも考慮した上でお読みいただければと思う。 ※スペースの関係上、10月29日〜11月1日までのレポートを掲載しますこと、ご了承ください。 旅程 1日目 成田空港からロンドンへ。着後、ホテルへ。 【ロンドン泊】 2日目 ユーロスターでパリへ。午後はエッフェル塔へ。 夜、エリプソスにてマドリッドへ。 【車中泊】 3日目 朝、マドリッドに到着。ピカソの『ゲルニカ』で有名なソフィア王妃芸術センターへ。午後は、プエルタ・デル・ソル、マヨール広場、王宮など市内観光。 【マドリッド泊】 4日目 朝、コルドバへ。着後、世界遺産のメスキータを見学。 予定を変更してマラガへ。 【マラガ泊】 5日目 マラがからジブラルタル海峡に面した港町アルヘシラスへ。 その後、モロッコ・タンジェへと船で渡る。 【タンジェ泊】 6日目 早朝、タンジェ港から、スペインに囲まれた英領ジブラルタルへ。【ジブラルタル泊】 7日目 朝、空路ロンドンへと向かう。その後、ヒースロー空港から帰国の途へ。 【機中泊】 |
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ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:18:39 |
セールスポイント ◎フランシスコ・デ・ゴヤ号でマドリッドへ 午前中、ロンドンからユーロスターに乗車し、一面の田園地帯をパリへひた走り、13時50分、パリ北駅に到着した。この日は、夜にスペインへの直通夜行特急エリプソス「フランシスコ・デ・ゴヤ号」でマドリッドへ向かう。フランシスコ・デ・ゴヤ号の発車時刻は19時43分。予約した客車を探して乗り込む。クラスは簡易寝台の「T4」(ツーリストクラス)。67ユーロ(パスホルダー料金)のチケットは、現地でも買えそう(=満席になることはない)に思えたが、念のため日本で購入しておいた。T4は二段ベッドを向かい合わせた相乗りの4人個室(ただし、異性が混じらないよう配慮はされているらしい)で、中央に洗面台(蓋をするとテーブルになる)があるほか、各自にミネラルウォーター(330ml)と歯ブラシセット、石けん、耳栓が用意されている(「タオル」は見当たらなかった)。 部屋はかなり狭く感じる。「タルゴ」と呼ばれるこの車両は、フランスの標準軌(1435mm。日本の新幹線と同じ)とスペインの広軌(1668mm)の両方を走れる構造になっていることと関係あるのかないのか、車高が非常に低く、二階建て車両の1階部分だけが走っている感覚で、座席と座席の間隔も短い。自分は一番で部屋に入ったが、出発までに3人が乗り込んできて部屋は満室となる。男4人が膝をつき合わせるとかなり窮屈で、日本のB 寝台車のほうがゆったりしている。廊下とは扉で仕切られ、完全な個室になっている。 列車は音もなく定刻に出発。やがて車掌がやってきて、チケットとパスポートを提示するよう求められ、「朝まで預かる」と言った。エリプソスは、床位置が低いからか、揺れはあまり感じないが、天井が低いだけでなく通路の幅も狭く、車内の移動もやや窮屈だ。7両分くらい歩いて、ビュフェ(カフェテリア)車に着く。もう1両向こうには別に食堂車があり、ともに営業はしていたが、客はほとんどいなかった。同室の4人の誰もがほとんど言葉を発しないまま、うたた寝モードに入った21時半前、再び車掌がやってきてベッドをセットした。個室の中が狭いのでいったん全員が廊下に出され、準備ができたところで部屋に戻った。 サマータイムの終わったスペインの夜明けは遅い。太陽が顔を出すのは8時近くなってからである。エリプソスのビュフェは、6時前から営業していた。席に座ると係が「モーニングか?」と訊いてきたので、何も考えずに頷く。最初にオレンジジュースが出て、次にパン3種(クロワッサン、トースト、チョコレートデニッシュ)とバター、小瓶入りのジャムが出る。飲み物はコーヒーと紅茶の選択。値段は6.50ユーロ。まあ妥当といったところだろう。 夜が明けて、列車はスペイン中央高地の赤茶けた大地を進む。沿線に町らしきものはほとんどなく、生えている植物はオリーブの木と牧草だけ。麦などが植わっていたとおぼしき畑地も見当たらない。なだらかな丘の尾根には風車(発電用)の風車。ドンキホーテが風車を敵の兵士と思って突進したという話は、日本人が聞くとバカげていてあり得ないと感じるが、実際にスペインへ来てみると、必ずしも荒唐無稽だとは言えないように思えた。9時31分、列車は20分弱遅れてマドリッド・チャマルティン駅に到着した。この日は月曜日で、プラド美術館は定休日のためソフィア王妃芸術センターを訪れ、午後は時に歩き、時に地下鉄に乗ってプエルタ・デル・ソルやマヨール広場、王宮などマドリッド市内中心部を観光。夕食はプエルタ・デル・ソル近くの生ハム店に併設されたバールに入った。 |
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ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:20:01 |
◎アヴェでコルドバへ、メスキータを見学 この日はスペイン版新幹線「AVE」に乗車する。AVE に乗るには、パスを持っていても1等は23ユーロ、2等は10ユーロの追加料金(座席指定料金)がかかる。列車は8両編成で、定刻に発車。やがて朝食のサービスが始まった。AVE の1等に乗れば食事が付くことはまったく失念していたが、幸いにもごく軽いものしか食べていなかったので、お腹に余裕はあった。 メニュー(スペイン語と英語併記)が配られ、ユーロスターで出たのとほぼ同様の食事が出る。違う点は、バターとマーマレードとは別に、パンにつけるオリーブオイルの小瓶がついていること。AVE のコルドバまでの所要時間は約1時間40分(350キロ)。10時12分、列車は定刻にコルドバ駅に到着。コルドバ駅は半地下構造で、駅舎が地上にあってそのまま段差なくバスに乗り継げる、バリアフリーのお手本のような駅。3番の市内バス(運賃0.95ユーロ)に乗り、世界遺産の「メスキータ」へ向かう。イスラム教寺院として建設されながら、支配者が変わった結果、キリスト教寺院になってしまったというメスキータ。今後メスキータを訪れる方には、荷物をコルドバ駅のコインロッカーに預けておくよう、強くお勧めしたい。この日は、当初予定ではそのままコルドバに泊まる予定だった。しかし、メスキータを出た時点でまだ正午過ぎで、コルドバの町にほかにめぼしい観光スポットはないらしいことを知り、次なる目的地マラガまで行くことにした。再びバスに乗ってコルドバ駅へ戻り、マラガへの列車の指定券を買う。列車は、アンダルシアの野をマラガへ南下する。16時45分、ほぼ定刻に列車は終点、マラガ駅に到着。マラガ駅から市内中心部まで1km 足らずの距離。秋のスペインは日の出が遅い分、日本に比べれば日の入りも遅いが、17時を過ぎて回れる観光スポットはさすがにない。 この日はマラガからジブラルタル海峡に面した港町アルヘシラスへ向かう。都市間バスのほうが、乗車距離が短くて早いのはわかっていたが、パスを活用すべく列車でボバディーリャまで戻り、そこでグラナダからの列車に乗り換えることにする。ところが、マラガ駅ではすでに出発しているはずのマドリッド行がホームに停まっており、出発案内のモニター画面を見ると、乗るつもりだったセビーリャ行の列車は「AUTOBUS」(=バス代行)と書いてある。何があったか知らないが、朝から災難である。ボバディーリャでの乗換時間は30分弱。バス代行では間に合わない可能性がある。そこで、まだ出発していないマドリッド行に乗ることを考え、窓口で指定券を買おうと掛け合う。 ところが、係員が発券したのはバス代行になったはずのセビーリャ行の列車で、しかも指定席料金が4ユーロかかった。代行バスは定刻に発車したが、市内を10分ほど走ったところで、セルカニアスのロス・パラドスという小さな駅に停車した。ホームには真新しい3両編成のディーゼルカーが停まっている。ここからは列車に乗れるらしい。改めてチケットを見て、指定された号車・番号の席に座る。バス代行は初めから末端区間だけだったようで、マラガ駅員が指定券を発行した意味がようやく理解できた。「トーマスクック」で確認すると、この列車は「R-598」なる種別の列車。座席のグレードは昨日乗った「T200」と大差なく、特急よりワンランク下の「急行」と呼ぶべき性質のものらしい。発車してすぐに検札にやってきた車掌は、指定券を見て、ユーレイルパスとともに鋏を入れる。この旅4回目(近郊線等を除く)の列車乗車にして、パスに初めて鋏が入る。車掌は「ボバディーリャで降りるのか?」と訊いてきたので、「アルヘシラス!」と答えると、ニッコリ微笑む。これは、当初予定どおり乗り継ぎができると確信した。 |
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ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:21:08 |
◎アフリカ大陸モロッコへ渡る 8時51分、列車は定刻より18分遅れでボバディーリャ駅に到着。ボバディーリャは町というほどの町ではなく、野原の真ん中に鉄道の乗換のためだけに駅を造ったようなところ。構内にカフェはあったが、駅前には店1軒ない。11時25分、サン・ロケ/ラ・リネア駅に停車した。ラ・リネアはジブラルタルへの入口となる都市だが、駅からはジブラルタルの象徴である岩山、ターリクの山は見えず、国境ゲートまではかなりの距離があることを知る。鉄道でジブラルタルへ行くには、やはり一度アルヘシラスへ出てからバスに乗らなければならないようだ。やがて海と「ターリクの山」が左手に見え、市街地を大きく回り込むように走り、11時40分、アンダルシアエクスプレスは定刻より5分遅れで終点のアルヘシラス駅に到着。ジブラルタル海峡に臨むイベリア半島南端の静かな終着駅であった。 アルヘシラスでは、特別の予定は立てていなかった。ただ、町自体に特別の魅力はなさそうで、当初の予定より1日早くたどり着いたこともあり、ともかく海を渡ろうとフェリーターミナルへ向かった。海の向こうはアフリカ大陸。港からはスペイン領になっているセウタと、モロッコのタンジェへの船便がある。船は5社ほどが入り乱れるように運航していて普通船と高速船があり、運賃も会社ごとに微妙に違う。セウタとモロッコのどちらへ行こうか迷ったが、せっかくなのでスペインとは別の国、モロッコへ渡ることをまず決め、便を選ぶ。 最大手とおぼしきトラスメディテラネア社の船は、ユーレイルパスで割引になると「ユーレイルトラベラーズガイド」に記されていたが、同社の便は4時間後の16時発でしかも普通船。ここは時間効率を優先し、13時30分発のノータス社の高速船に乗ることにする。運賃は36ユーロ。船はターリクの山を左手に見ながらジブラルタル海峡に入り、真西へ進路をとってアフリカ大陸北西端の町タンジェへ向かう。船に乗って感じたのは、海峡が非常に狭く、イベリア半島とアフリカとは“目と鼻の先”であるということ。ものの本には「晴れていれば対岸が見える」等と記されているが、それは嘘で、小雨混じりであってもよほど条件が悪くない限り、対岸は見える。最短部は15キロしかない。時計が1時間戻って現地時間の14時45分、船はタンジェ港に入港した。モロッコの入国手続は船内で済ませており、下船時はタラップで係員にパスポートを見せるだけですぐ上陸できる。タンジェ市内では、何より先にホテルを確保してチェックインし、市内を散策する。タンジェの観光地としての見どころは「メディナ」と呼ばれる旧市街で、複雑に入り組んだ迷路のような街に商店が並ぶ様は、確かにおもしろいといえばおもしろい。しかし、ガイドがついて案内するほど魅力があるとも思えず、また素人が安易に入ると迷子になってしまう。タンジェは、スペインから手軽に行ける“アフリカ”を実感できる場所という意味では、一定の価値はある。 翌日、タンジェから海峡を戻り、旅の最終目的地・英領ジブラルタルへ向かった。 |
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ほりうち(ccbu8181) 2007-08-07 00:22:06 |
◎おわりに 最後に、ヨーロッパの鉄道全般について一言。ヨーロッパの鉄道は、便利である。路線網が充実しているし、運行本数も、日本の新幹線と比べると少ないという話になってしまうが、不便を感じない数がある。車内サービスのレベルも高く、ダイヤも基本的に正確だ。乗ること自体を楽しめる観光路線も多い。“世界一”と言ってよい日本の鉄道サービスに慣れている日本人が利用しても、不満に感じることはほとんどないだろう。諸外国の事情はわからないが、今日の日本では、あちこち周遊する形態の個人旅行が減ってきているといわれる。効率最優先で、長距離は飛行機、短距離はバスを使って、点と点を結ぶ旅行が多くなっている。しかし、旅のほんとうの醍醐味は、スケジュールに縛られず、自分で自由に予定を決め、行きたいところをマイペースで訪ねて回ることだと思う。そんな旅に、鉄道は非常に便利だ。便利なだけでなく、鉄道は乗っている間、点と点の間の“線”の部分も楽しむことができる。欧州大陸ほぼ全域が乗り放題の「ユーレイルパス」は、ヨーロッパ自由旅行の必須アイテムと言える。 ★利用する鉄道商品 ユーレイルパス1等を利用。ユーロスター、エリプソス、AVE などに乗車。 ○レイルエキスパート プロフィール 高橋 淳(たかはし じゅん) 近畿日本ツーリスト(株)勤務。入社以来、本社事務の仕事をしているが、趣味として国内外を広く旅行し、国内は全鉄道完乗、海外もヨーロッパのみならずアフリカ、アジア、北南米、オセアニアの計24か国の鉄道に乗車(H19.7現在)。社内の鉄道趣味サークル「ひまわりレールファンクラブ」の幹事も務める。 |
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