ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2023-09-23 01:12:51 |
News Release
2023年09月21日 JR西日本カスタマーリレーションズとLLM DXパートナー ELYZA、 通話内容要約業務に言語生成AIを導入 GPTシリーズの組織的な活用を実現。法人におけるLLM活用の先進事例に ※LLM:大規模言語モデル JR西日本お客様センターを運営する株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ(代表取締役社長:堤 恵理子、以下JWCR)と言語生成AIの社会実装を進める東京大学松尾研究室発・AIスタートアップの株式会社ELYZA(代表取締役:曽根岡 侑也、以下ELYZA)は、JWCRのコンタクトセンターにおける通話内容要約業務に、マイクロソフト社のAzure OpenAI GPTシリーズ(以下GPTシリーズ)をベースとしELYZAが開発した言語生成AIを導入いたしました。 コンタクトセンターとして言語生成AIを導入・活用した事例は、国内でも希少となります。 ■ニュースサマリ ・JWCRとELYZAは共同で、通話内容要約業務における実証実験(5〜8月)を実施した。 ・現場活用にたる生成精度・業務短縮効果が確認されたため、実業務での言語生成AI活用を開始した。 ・本業務の言語生成AIは、基盤にGPTシリーズを援用。 ・JWCR・ELYZAは本AIサービスの商品化も視野に入れ、今後も検討を進める。 ・コンタクトセンターとして言語生成AIの導入・活用は、国内でも希少事例。 ■JWCRとELYZAは共同でLLM DXプロジェクトを推進 2022年より、JWCRとELYZAは、顧客対応業務の品質向上・業務負荷削減を目指し、システム及び業務フローのあり方を言語生成AI起点で一から見直すLLM DXのプロジェクトを共同で実施していました。 端緒として、2023年3月にはメール問い合わせの内容要約業務において言語生成AIの活用を開始しています。(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000047565.html) 今回の「通話内容要約業務」への言語生成AI導入も、本プロジェクトの一部となります。 ■今回の対象業務は、電話問い合わせの通話内容要約業務 JWCRの案内コンタクトセンターには月間で約7万件の電話問い合わせを受け付けており、お客様へのスムーズで正確な応対やサービス改善に結びつけるためにその応対記録を全てテキスト化して保存しています。 その際、対話ログのままのテキストデータは情報を共有するには非効率なため、オペレーターによる要約処理を行ったうえで保存しています。 一方で、この要約処理自体に非常な労力がかかっていたほか、オペレーターによる要約品質のばらつきも存在する状況でした。 この要約の素案作成に言語生成AIを活用することで、要約業務の品質向上と業務負荷削減を目指したのが、今回の取り組みの概要となります。 ■構築したAIサービスの詳細 本AIサービスの導入以前は、ご意見対応の場合、オペレーターが電話応対後に応対結果を要約し、スーパーバイザーが実応対音声や音声認識により書き起こされたテキストを確認してダブルチェックする運用で応対記録の保存を行っていました。 今回、電話要約AIを搭載するアプリケーションを業務に導入したことで、オペレーターが電話応対後に音声認識により書き起こされたテキストを貼り付けさえすれば、自動で要約結果が出力される状態となりました。これにより、オペレーター及びスーパーバイザーにおける要約作成・チェック負荷の軽減、及び要約品質の均質化によるVOC(顧客の声)分析への効果を見込んでいます。 ■実証実験の結果 実証実験ではAIの精度検証のほか、電話要約AIの利用有無による後処理時間の比較を行いました。 結果、後処理時間が長い3つの業務領域 (お問い合わせ、ご意見・ご要望、介助申込) に対し、電話要約AIを利用すると後処理時間が18%〜54%効率化できたことがわかりました。 この評価を受け、JWCRとELYZAは正式に本AIサービスを通話内容要約業務に導入することを決定しました。 ※後処理時間:要約作成以外の事後処理時間も含む、オペレーターにかかる応対後処理時間 ▼実際のオペレーターの声(一部抜粋) 電話要約AIの実証実験に携わったオペレーターの定性評価を一部抜粋し掲載します。 ・商品、制度などの簡単なものはほとんど手直しなしで反映されているので助かります。 ・とりとめのない内容を物語のようにまとめてくれている生成結果があった。 ・AIを育てていくのが楽しい。 ・複数の内容を抽出して日本語としてうまくまとめていることには感心した。 ■取り組み成功の要点 本取り組みはJWCRとELYZA間の強固な連携と工夫により実現しました。 要点は以下のとおりです。 ▼AIサービス自体の工夫 @ 基盤にGPTシリーズを選定・援用 ELYZAではお客様からいただくLLM活用テーマを経済性・経営課題や業務との親和性・実現性等観点で見極めを行い、その時点での最先端LLMモデルや自社開発モデルなど幅広く選択肢に入れながら、最適な技術選定を行っています。既存データ総量や解くべきタスクの性質を加味した結果、今回は基盤となる大規模言語モデルにGPTシリーズを援用することとしました。なお、問い合わせ内容によってGPT-3.5とGPT-4を使い分けることで、精度を大きく毀損することなくコスト最適化も図っています。 A 入力データの前処理・後処理の設計 要約処理の前に音声データからフィラー(不要語)除去などを行い、LLMが要約しやすい形式にデータを整える前処理システムや、要約出力後にJWCRの表現や表記のルールにしたがって記載を修正するような後処理システムを一気通貫して設計しました。 ▼体験設計・運用の工夫 B 現場主義で密に情報や知見を連携 ELYZAのコンサルタント・機械学習エンジニアがJWCRの現場に赴き、実業務を直接見学しつつ、オペレーターとの対話やフィードバックの回収を行いました。かたやJWCRもELYZAまで赴き、多くのディスカッションを通じてAI活用の勘所についてインプットを進めました。密な連携を通じて、ELYZAは現場の課題感や理想のあり方の解像度が高まり、実用に足るAIサービスや運用フローの構築をスピーディに行えたほか、JWCRはAIサービスを活用するための全社的な知見の獲得を一気に進めることに成功しました。 C 「言語生成AI起点」で運用から変更 AIサービスで要約することを前提に、電話応対フローの一部を組織的に変更しました。AIがひとや業務に合わせるだけでなく、ひとや業務からAIに寄り添うことで、精度や成果の向上に大きく貢献しました。 ■今後の展開 ▼JWCR 本AIサービスについて、2023年9月19日より利用を開始しております。JWCRは中期経営計画において、戦略拠点としてお客様センターのありたい姿を掲げ、コンタクトチャネルの拡充、オペレーション支援、VOC分析の深度化を進め、顧客体験の向上を目指しております。これらの実現のためには言語生成AIを活用した業務の高度化が不可欠であり、本取組みはそのスタートと位置付けています。今後、コンタクトセンターの標準的な業務フローについて言語生成AIによる開発を行い、先端技術によるDX化を加速させたいと考えています。また、言語生成AIによる本取組みや今後の開発は、コンタクトセンター業界や他の領域についても大きく貢献できるものと確信しており、ELYZAとの協業による商品化も視野におきながら社会へ貢献してまいりたいと考えています。 ▼ELYZA GPTの登場以降、言語生成AIの注目度は高まり続けています。一方で、各社が研究開発を通じて模索を進めつつも、実業務への実装というかたちでの企業活用事例は、まだまだ少ない状況です。ELYZAは、言語生成AIの社会実装を推し進める専門家集団として、この技術の価値を社会が実感し、活用可能性が追求され続ける市場に成長させる責務があると自負しています。 そのためには、個人利用だけではなく、企業という集団活動のなかに言語生成AIを位置づけ、実現場で多くの方に活用いただける状況を増やす必要があると考えており、今回のJWCRとの取り組みもその一端となります。 ELYZAは今後も、各社が解決を諦めていた未踏課題に対し、最先端技術とビジネス実装力をもって取り組み、実益のあるかたちで社会実装を行ってまいります。 ■各社代表者コメント ▼株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ 代表取締役社長 堤 恵理子 JR西日本グループをご利用いただくお客様との重要な接点であるコンタクトセンターは、お客様の問題解決だけでなく、「お客様の声」の分析など任される業務は複雑多様です。さらに、駅係員の無人化など新しい駅サービス・運営体制への移行に伴い、コンタクトセンターは益々重要な役割を果たすことになりましたが、複雑化するサービス内容、オペレーターの採用難などの課題に直面しています。 この変化に適応するために、私たちはELYZA社と提携し、言語生成AIを導入して業務の省力化に取り組んで参りました。最初は要約業務から始めるスモールスタートですが、今後もAIを活用できる領域を検討し、AIのサポートによる効率的な業務運営と、人間らしいお客様への親切で丁寧な対応の両立を目指していきます。また、AIによって要約されたお客様からの貴重なご意見を分析し、サービスの改善につなげ、顧客体験の向上に貢献したいと考えています。 ▼株式会社ELYZA 代表取締役 曽根岡 侑也 LLMを業務で本格的に使うには、LLM・情報処理フロー・UI/UXと各レイヤーごとに最適化を行うことが肝要ですが、今回はまさに各レイヤーをバランスよく改善することができた事例です。JWCR社は「言語生成AI起点」での業務内容・業務フロー変革を本格的に進めている日本でも数少ない先進企業であり、今回の成果はJWCR・ELYZA両社の強みを最大限発揮し得られた賜物です。ELYZAでは引き続き、コンタクトセンターをはじめとしたホワイトカラー業務のDXに向け、言語生成AIの取り組みを進めてまいります。 ■株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ 会社概要 JR西日本のグループ会社として、JR西日本の組織の一つである「JR西日本お客様センター」の運営の他、忘れ物コンタクトセンター、インターネット予約サポート、ジパング倶楽部・SMART ICOCA・モバイルICOCA・WESTERに係るJRの各種サービスに関する対応窓口としてサービス提供しています。お客様とJR 西日本グループとの架け橋として、お客様との対応を通じて、高品質なサービスの提供を目指しています。 社名 :株式会社JR西日本カスタマーリレーションズ 所在地 :〒661-0976 兵庫県尼崎市潮江一丁目2番12号 代表者 :代表取締役社長 堤 恵理子 設立 :2009年8月3日 URL :https://www.jw-cr.co.jp/ ■株式会社ELYZA 会社概要 株式会社ELYZAは、「未踏の領域で、あたりまえを創る」という理念のもと、日本語の大規模言語モデルに焦点を当て、企業との共同研究やクラウドサービスの開発を行なっております。先端技術の研究開発とコンサルティングによって、企業成長に貢献する形で言語生成AIの導入実装を推進します。 社名 :株式会社ELYZA 所在地 :〒113-0033 東京都文京区本郷3-15-9 SWTビル 6F 代表者 :代表取締役 曽根岡 侑也 設立 :2018年9月4日 URL :https://elyza.ai/ |
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