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No.7574 【国土交通省】中部空港滑走路増設に係る環境配慮に対する国交大臣意見
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2022-08-25 22:47:54
[出典:国土交通省ホームページ]
国土交通省                         Press Release
Ministry of Land,Infrastructure,Transport and Tourism

                            令和4年8月25日
                        航空局近畿圏・中部圏空港課

    中部国際空港滑走路増設事業に係る計画段階環境配慮書に対する
          国土交通大臣意見の送付について


 本日、環境影響評価法第3条の6の規定に基づき、中部国際空港滑走路増設事業に係る計画段階環境配慮書※(以下「配慮書」という。)について、事業者である中部国際空港株式会社に対し、国土交通大臣意見を送付しましたので、お知らせします。
 なお、国土交通大臣意見の内容は別紙のとおりです。


 環境影響評価法においては、事業者から配慮書の送付を受けたときは、主務大臣は環境大臣の意見を勘案し事業者へ配慮書に対する意見を述べることとされております。
 今回の環境影響評価手続きでは、令和4年6月30日に事業者から国土交通大臣へ配慮書送付がなされ、8月18日に環境大臣から国土交通大臣へ配慮書に対する意見の送付があったところです。

※計画段階環境配慮書…事業内容が確定する前の計画段階で、環境保全のために配慮しなければならない事項(騒音、水環境、生態系等)の状況を文献等で調査し、事業に伴う影響を予測・評価するもの。


別紙
中部国際空港滑走路増設事業に係る計画段階環境配慮書に対する国土交通大臣意見

 本事業者においては、中部国際空港を含む想定区域及びその周辺における適切な環
境保全に向け、以下の措置を適切に講ずること。また、その措置の検討経緯及び内容
については、方法書以降の図書に適切に記載すること。

1.総論
(1)適切な環境保全に向けた対象事業実施区域の設定及び事業計画の検討
ア 滑走路及び関連施設等(以下「事業設備等」という。)の構造・配置又は位置・規模(以下「配置等」という。)の検討に当たっては、環境保全上重要と考えられる以下の(@)〜(B)について、離隔確保等により本事業の実施に伴う影響を極力回避又は低減し、想定区域及びその周辺における適切な環境保全を図ること。
 (@)大気環境
 (A)水環境
 (B)動植物及び生態系

イ 環境影響評価手続を進めるに当たっては、社会状況の変化等に応じ、可能な範囲で航空需要予測を実施し、今後の環境影響評価に反映させること。また、オフピーク時間帯の活用等、現在の中部国際空港における空港設備を最大限有効活用するための方策や、中部国際空港 PI推進協議会及び中部国際空港 PI評価委員会による事業計画の検討状況等を踏まえ、環境保全上最適な計画となるよう、精査すること。

(2)今後の手続における留意事項
ア 方法書以降の手続における対象事業実施区域の設定及び事業設備等の配置等の決定に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。
イ 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。
ウ 関係地方公共団体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民等の関係者の関与についても十全を期すこと。また、中部国際空港 PI推進協議会、中部国際空港 PI評価委員会等における、環境保全面を含めた最適な計画の立案に係る検討の経緯及び内容について、公表していくこと。

2.各論
(1)航空機騒音
 本事業の実施により完全な24時間運用が実現されることに伴い、離発着回数の増加、航空機のルート変更、深夜帯の利用増加等による航空機騒音の増加が懸念されるため、適切に調査、予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、適切な環境保全措置を検討すること。

(2)鳥類
 想定区域において、種の保存法に基づく国内希少種に指定されているハヤブサのバードストライクが確認されており、本事業の実施により完全な24時間運用が実現されることに伴う離発着回数の増加等による追加的な影響が懸念される。
 このため、専門家等からの助言を踏まえた適切な調査を実施し、本事業の実施によるバードストライク等の鳥類に与える影響の予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、適切な環境保全措置を検討すること。

(3)温室効果ガス
 我が国の 2050年までの脱炭素社会の実現に向け、航空分野の脱炭素化をより一層進めていく必要がある。具体的には、令和3年3月に立ち上げた「空港分野における CO2削減に関する検討会」及び「航空機運航分野における CO2削減に関する検討会」における議論や、本年6月に成立した改正航空法等を踏まえ、以下の事項に取り組むこと。
ア 空港管理者等からなる空港脱炭素化推進協議会を組織し、2050年までの脱炭素社会実現に資する、改正航空法等に基づく空港脱炭素化推進計画の作成を進めること。
イ 本事業の工事に伴う温室効果ガスの排出をできる限り削減するよう、工事における省エネルギー化の推進や再生可能エネルギーの利用等について、検討を進めること。
ウ 航空機の発着回数の増加に伴う温室効果ガスの排出量の増加が懸念されるため、エネルギー効率の良い航空機材の導入促進、地上動力装置(GPU)の使用率向上等により、温室効果ガスの排出量を最大限抑制すること。また、航空機の運航に伴う温室効果ガスの排出量が大幅に削減されることが期待される持続可能な航空燃料(SAF)については、その実用化に向けた動向を踏まえ、その導入及び普及促進に向けた検討を行うこと。エ空港施設の既設設備の更なる省エネルギー化や最新の省エネルギー技術の導入等によりエネルギー使用量を最大限抑制し、再生可能エネルギーの導入を促進すること。特に、使用電力については、再生可能エネルギー発電設備の導入や再生可能エネルギー由来の電力を購入すること等により、脱炭素化を図ること。
オ 「エコ・エアポート」等の枠組を通じて空港関係事業者における脱炭素経営への取組が促進されるよう、空港管理者として実行可能な措置を検討すること。

(4)地域住民等への説明及び関係機関との連携
 本事業の実施に伴う環境影響及び環境保全措置の内容について、地域住民等に対し丁寧に説明すること。また、本事業の推進に当たっては、関係機関等と調整を十分に行い、方法書以降の環境影響評価手続を実施すること。