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No.6655 【中日新聞社】よみがえる記憶『北陸の鉄路』 昭和の北陸 鉄道写真集
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-07-20 21:44:57
   昭和の北陸 鉄道写真集
   昭和の鉄道と北陸の人々の情景を1万カットから厳選
   ありし日を、あの路線を、写しとった宝物の様な一冊
    よみがえる記憶 北陸の鉄路 1960-1984

本書は、北陸3県の廃止路線含む38路線を、
1960年から24年にわたって撮影した1万点のネガフィルムの中から
昭和の時代の街並みや行きかう人々の様子も映し込んだ500点を選り抜き、
デジタル化、修整して、解説とともに書籍化したものです。

著者の西脇恵氏は、金沢市の鉄道カフェ「かがやき」のオーナーで、
鉄道友の会北陸支部の支部長でもあります。


書  名: 昭和の北陸 鉄道写真集
      よみがえる記憶 北陸の鉄路 1960-1984
著  者: 西脇 恵、泉 竜太郎
定  価: 本体1,800円+税
発 行 日: 2020年7月28日
発 行 所: 中日新聞社
図書符号: ISBN978-4-8062-0767-2 C0065 \1800E


はじめに  西脇 恵
 金沢美術工芸大の学生だった昭和35年春、「学校の課題でどうしても必要だ」と両親を説得し、ずっと欲しかったカメラを手に入れた。すぐに、大学の同級生で、後に一緒に鉄道友の会北陸支部を立ち上げる内藤博君と金沢駅に。力強く煙を吐く蒸気機関車(SL)を夢中で撮影したのを覚えている。当時はレンガの校舎だった美大の暗室に戻り、フィルムを皿現像。印画紙に焼き付け、現像液の中でじわりと浮かび上がるSLの姿に、思わず息をのんだ。
 それ以降は学校の課題もそこそこに、毎日撮るのは鉄道ばかりだった。就職後も週末は必ずどこかへ足を延ばした。結婚してからは「みんなで遊びに行くぞ」と一家で出掛けるものの、そこには必ず鉄道があり、いつも家族にあきれられていたのも今では良い思い出だ。
 鉄道写真は、まさにライフワークだ。昭和の終わりごろまではモノクロ写真、昭和40年代からは並行してカラー写真、そしてデジタル写真と移り変わったが、80歳を超えた今でも鉄道を撮るためなら遠出もいとわない。「いつか何かの役に立つかもしれない」と使命感を持って記録してきた。写真集とはいうものの、資料としても活用できるように当時の情報も詰め込んだ。
 写真を見返すと、撮影時の情景や、鉄道に関わる人の顔が次々と浮かび上がってくる。昭和の終わりまで記録したモノクロの風景から、皆さんの中にある「鉄路の記憶」をよみがえらせていただければ、と願う。


写真を見渡すと、撮影時の情景や鉄道に関わる人の顔が次々と浮かび上かってくる。

北陸鉄道・金沢市内線
にぎやかな金沢の街を走った金沢市内線の電車たち。緑色に塗られた木造車が懐かしい。ピンク色とクリーム色のボギー車はハイカラな色合いであったがこれもまた風情があり。意外にも街に溶け込んでいた。(本書P26より)

北陸鉄道・能登線
夏季の海水浴シーズンには国鉄・金沢駅から、七尾線・羽咋駅を経由して北陸鉄道能登線に入り、柴垣駅あるいは能登高浜駅まで国鉄のC58が7両の客車を引いた。能登高浜駅までの列車は復路の出発まで留置されていたが、機関士はその間、海水浴をしていたそうである。(本書P107より)

尾小屋鉄道
廃止を迎えた尾小屋鉄道であったが、最後の営業日に尾小屋駅まで行くことはかなわなかった。社員総出で除雪作業に当たったのだが、倉谷口駅から先までは行けず、社員の方が尾小屋の住人に「どうしても行くことができなかった。許してほしい」と言っており、住人に愛された鉄道だったと実感した。(本書PI26より)

北陸鉄道・能美線
隧道を歩いて反対惻の入口で待ち伏せ。壁に身を寄せて電車が手取川橋梁を渡って隧道に入る風景を撮影した。北陸鉄道で隧道がある場所はここだけ。目の前を通り過ぎる電車は徐行していたものの、大きな電車が迫ってくるときには背中を壁に張り付け、息を飮んで通過を待ったのもよい思い出。(本書P78より)


編集後記  泉 竜太郎
 「後世に残すため、書籍にして何とか多くの人の手に渡るようになれば」。平成29年9月に始まった西脇恵さんの鉄道写真展を紹介する記事の取材で、鉄道評論家の川島令三さんが語った。「各地に鉄道のオーソリティー(権威)がいるが、北陸といえば西脇さん。写真も、丁寧にしっかりと記録している」とも。
 私が西脇さんに初めてお目にかかったのは、同年7月。西脇さんがオーナーの鉄道カフェ「かがやき」(金沢市)を訪ね、名刺を手渡すと「鉄道の記事ばっかり書いている泉さんか」と微笑まれた。報道カメラマンとしての本業の傍ら、興味のある鉄道に関するニュースや出来事を折々で執筆、記事化しており、西脇さんはそれらに目を通してくださっていたのである。
 さて私はその日、西脇さんがカメラを手にした昭和35年から撮影したモノクロ写真1万カット超、24冊のネガアルバムを拝見した。そこには、過去の資料を読み想像するしかなかった車両、北陸地方に住む人々の生活と深く関わり合っていた鉄道の情景、そしてモータリゼーションが進み各地の鉄道が廃止されていく様子が、ありありと写し出されていた。こんな宝物を埋もれさせてはならない、と私の心の中で使命にも似た衝動が湧き起こってきたのである。
手始めに、カフェで路線の廃止月に合わせた写真展を提案した。冒頭でも紹介した「北陸の廃止鉄道路線・モノクロ写真展」が始まり、弊紙1面トップで報道。毎回30枚の写真が入れ替わる度、計9回にわたり紙面で紹介した。これを機にテレビや他紙でも、西脇さんや鉄道カフェ「かがやき」にスポットライトが当たる機会が増えていったのである。
 しかし、その後も川島さんの「書籍に…」という言葉が頭から離れず、出版する方法を考えていた。平成30年春、私がそれまでプロ向けの写真講座で指導を仰いでいた写真家・田中伸明先生が写真集制作ゼミを始めることになり、参加を決意。いよいよプロジェクトが実現に向けて動き出した。自分自身の手で西脇さんの写真集を作ろうと、金沢から東京に通って画像の仕上げや編集のノウハウを教わった。
 特に時間を要したのは、モノクロネガフィルムを全てデジタル化する作業だった。約60年を経て劣化したネガからの画像を、可能な限り修復した。また、いわゆるカタログ的な鉄道写真は少なくし、街並みや服装、車など人々のライフスタイルの変遷も併せて考察が深められる写真を中心にセレクト。写真をメインにしつつも、古い記憶をたどって書いてくださった西脇さんならではの「豆知識」を文章にして随所に添えた。常に手探りで試行錯誤を重ねて3年近くと時間はかかったが、ようやくこの1冊にまとめるまでにこぎつけた。掲載できなかった中にも、貴重な記録や素敵なシーンが多くあって惜しい気持ちも残るが、実際にその情景を目にした西脇さんの計500枚の写真と解説は、いずれも見応え、読み応えがあり、在りし日の鉄道を雄弁に語る書籍になった。何より「西脇さんの傘寿の記念に」との思いで編集を進めたため、無事に出版が決まり胸をなで下ろしている。
 末筆ながら、この書籍の出版に携わっていただいた全ての方々に感謝するとともに、ご覧になった人に、すでに現代の世界からは失われた「北陸の鉄路の記憶」を心に留めていただけたら、と願っている。

●西脇 恵(にしわき・めぐむ)
昭和14年5月生まれ。金沢市出身。昭和37年、金沢美術工芸大学産業美術学科商業美術専攻卒。幼少期から鉄道に興味を持ち、大学時代の昭和35年にカメラを手に入れて以来、北陸を中心に各地で鉄道写真を撮影。「鉄道ピクトリアル」誌に「私鉄車両めぐり・北陸鉄道」などのレポートを発表した。大学卒業後はマイクロフィルム会社役員、インテリアデザイナーを経て、現在は福祉の仕事に携わり、NPO法人「WAC輝き」会長兼鉄道カフェ「かがやき」オーナー。また昭和36年、国鉄・金沢鉄道管理局と協力し鉄道友の会北陸支部を立ち上げ、今は同支部長を務める。著書に「私鉄の車両10 富山地方鉄道・加越能鉄道」(保育社、ネコ・パブリッシング)、「写真が語る金沢市の130年」(いき出版・編集委員として参加)がある。金沢市在住。

●泉 竜太郎(いずみ・りゅうたろう)
昭和51年4月生まれ。金沢市出身。平成6年、全国高等学校総合文化祭(写真部門)石川県代表。平成11年、大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。同年、中日新聞社入社。名古屋本社写真部、瀬戸支局(愛知県)記者を経て、平成16年より写真記者として北陸本社(金沢市)編集局報道部勤務。令和元年、「写真が語る金沢市の130年」(いき出版)に編集委員として参加。同年、西村京太郎著「飯田線・愛と殺人と」(光文社カッパノベルス)の表紙カバーに写真が選出される。鉄道友の会北陸支部監事。金沢市在住。


目 次

はじめに……………………………………………2
主な参考文献………………………………………3

石川県
●日本国有鉄道
 北陸本線…………………………………………6
 七尾線・能登線………………………………18
 松任工場………………………………………24
●北陸鉄道
 金沢市内線……………………………………26
 金石線…………………………………………52
 石川線…………………………………………64
 金名線…………………………………………72
 能美線…………………………………………74
 小松線…………………………………………81
 加南線(山中線・山代線)…………………84
 加南線(粟津線・連絡線)…………………93
 加南線(片山津線)…………………………94
 浅野川線………………………………………96
 能登線………………………………………104
●尾小屋鉄道…………………………………118

福井県
●日本国有鉄道
 北陸本線……………………………………130
 三国線………………………………………133
 越美北線……………………………………134
 小浜線………………………………………134
●京福電気鉄道
 永平寺線……………………………………136
 丸岡線………………………………………138
 三国芦原線…………………………………139
 越前本線……………………………………140
●福井鉄道
 鯖浦線………………………………………144
 南越線………………………………………145
 福武線………………………………………146

富山県
●日本国有鉄道
 北陸本線……………………………………156
 富山港線……………………………………158
 神岡線………………………………………159
 城端線………………………………………160
●加越能鉄道
 加越線………………………………………162
 伏木線………………………………………165
 高岡軌道線…………………………………166
●富山地方鉄道
 射水線………………………………………168
 笹津線………………………………………169
 本線…………………………………………170
 不二越線・上滝線…………………………171
 山室線………………………………………171
 富山市内軌道線……………………………171
 立山線………………………………………171
●黒部峡谷鉄道………………………………174

編集後記………………………………………176
撮影日:
撮影場所:
キャプション:
画像サイズ: 606×863(53%表示)
NEWS RELEASE:全般      3
No.6662 (Re:6655) 【北陸中日新聞】発売記念写真展:よみがえる記憶『北陸の鉄路』
ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2020-07-24 21:59:59
                           2020年7月23日
                           北陸中日新聞
                           編集局報道部写真

鉄道友の会北陸支部長の西脇(にしわき)恵(めぐむ)さん(81)=金沢市大桑町=が、昭和35年から撮影していたモノクロのカット1万超から500枚を選んで収録した写真集「よみがえる記憶 北陸の鉄路」を、中日新聞社から7月28日に出版する。これに合わせて発売記念写真展を開催する。
写真集では、北陸三県(石川、福井、富山)の廃線を含む38路線を掲載。うつのみや金沢香林坊店では、香林坊や片町など金沢市の繁華街を走る北陸鉄道・金沢市内線を中心に31点。JR金沢駅と金沢ビーンズでは、金沢駅や国鉄時代の写真をメインに36点。車両単体でなく、車や商店など周りの風景を写し込んでおり、当時の人々の暮らしぶりが分かる点が特徴。鉄道ファンはもちろんだが、どなたでも楽しみ、昔を懐かしんでもらえる。
西脇さんは金沢美術工芸大の学生だった昭和35年春にカメラを手にして以降は、休日はほとんど鉄道の撮影に費やしてきた。「いつか、何かの役に立つのではないか」と思いながら記録を続けてきたという。現在でもデジタルカメラを持って撮影に出掛けている。
写真集と写真展いずれも、ことし発刊60年を迎えた北陸中日新聞の記念事業。


■写真展名
 北陸中日新聞発刊60周年記念
 よみがえる記憶 北陸の鉄路
 写真集 発売記念写真展

■期間・場所(7月23日現在の確定分)
@2020年7月22日(水)〜8月16日(日)
 金沢市香林坊の東急スクエア地下1階「うつのみや金沢香林坊店」

A2020年8月3日(月)〜8月7日(金)
 JR金沢駅・改札口前コンコース

B2020年8月9日(日)〜8月31日(月)
 金沢市鞍月の「金沢ビーンズ明文堂書店金沢県庁前本店」


                                 以上