ひろやす/伊藤(vnnc8158) 2009-02-23 01:45:16 |
東海道すれちがい夫婦 −レールの上の青春−
発 行 日: 2009年2月11日 初版発行 著 者: 檀上完爾 発 行 者: 富田康裕 発 行 所: 株式会社クラッセ http://www.klasse.co.jp 図書符号: ISBN978-4-902841-03-9 C0093 定 価: 本体1500円(税別) 作者の檀上完爾さんは、JRの前身である日本国有鉄道に昭和二十年から二六年間にわたり勤務し、在職中より鉄道をモチーフにした作品を発表されてきました。なかでも鉄道の職場における人間関係を見事に表現している数々の作品は、実際に現場で体験された事実に基づくもので、リアリティに満ち溢れた作品を著しています。 本書『東海道すれちがい夫婦』は、国鉄職員から作家に転進した著者が、自身と夫人の経験をもとに昭和30年代の国鉄東海道本線の長距離夜行列車で繰り広げられる、専務車掌の夫と食堂車で働く妻との実録を描いた感動の小説です。本書は著者の最初期の脚本作品で、昭和38年にNHK、その後、東京12チャンネル(現・テレビ東京)でドラマ化されましたが、作品自体を読まれた方はごくごくわずかです。 国鉄時代の長距離列車の車掌業務と食堂車業務の成り立ちと人間模様を、フィクションという構成で見事に表現している内容は、舞台の大半である長距離列車内や列車が到着した現地での模様を丁寧に描写しており、高度経済成長以前の日本の懐かしい旅の雰囲気が存分に味わえるとともに、消え行く夜行列車の記録としても価値あるものです。 この作品の中に登場する列車の舞台となった昭和29年から35年当時、国鉄東海道本線では、昭和31年11月19日に米原から京都のまでの電化によって全線が電化されるという一大エポックメーキングな出来事がありました。元祖ブルートレインの寝台特急<あさかぜ>が登場し、電化区間での到達時分も大幅に短縮となり、九州へ直通する東海道・山陽急行が設定されたのもこのころでした。本書は、夢の超特急といわれた新幹線さえ存在しなかった当時の鉄道事情や世相とともに、インターネットなどなかったアナログ時代の懐かしさ長閑さを感じ取っていただける絶好の図書と確信しております。3月14日で東京発のブルートレインがすべて消え去ろうとしているなかで、ぜひとも振り返っていただきたい昭和の鉄道書です。 [著者プロフィール] 作家。昭和4(1929)年、東京都三鷹市生まれ。昭和20年から46年まで旧国鉄に勤務し、盛岡・東京車掌区で車掌として乗務する。35年から、国鉄東京鉄道管理局広報課勤務。46年3月に退職し、執筆活動に入る。「新幹線ものがたり」(実業之日本社)「乗り物に生きる」(現代旅行研究所)「鉄道一代」(現代旅行研究所)「山手“感情線”」(交通新聞社)「駅長の帽子」(心交社)など著書多数。 目次 彼岸花 7 冬の蝿 29 急行『安芸』 55 バトンタッチ 75 出戻り坂 93 急行『西海』 113 片割れ月 133 疑惑 151 流れ星 169 マスコット 189 テールライト 209 解説 富田康裕 檀上完爾君のこと 市川 潔 あとがき |
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